中国の輸入7カ月ぶり増、対米国が急回復 11月

貿易摩擦
中国・台湾
2019/12/8 14:41

輸入回復の勢いが続くか注目される(河北省の鉄鉱石輸入港)

輸入回復の勢いが続くか注目される(河北省の鉄鉱石輸入港)

【北京=原田逸策】中国税関総署が8日発表した2019年11月の貿易統計(ドル建て)は、輸出が前年同月比1.1%減の2217億ドル(約24兆円)、輸入は同0.3%増の1830億ドルだった。輸出は4カ月連続で前年同月の水準を下回ったが、輸入は4月から7カ月ぶりに前年同月の金額を上回った。

米国からの輸入が増えたのが原因だ。11月の対米輸入は前年同月比3%増の109億ドルで10月(同14%減)から急回復した。前年同月の水準を上回るのは18年8月から1年3カ月ぶりだ。

米国と中国は10月の貿易協議で、部分合意をめざす方針で一致し、中国は米国産の大豆や豚肉を大量に買い付けた。米国向けの輸出は11月に前年同月比23%減の355億ドルと低迷したままで、輸出から輸入を差し引いた対米貿易黒字は同31%減の246億ドルに減った。

輸入では最大品目である集積回路も前年同月比18%増の293億ドルに膨らんだ。集積回路の輸入規模は中国の製造業の先行きを占う。中国の内需回復を裏づける動きかどうか注目される。

一方、輸出は回復が鈍いままだ。品目別でみても主力のパソコンや携帯電話、労働集約型の家具、衣服、紡績品など幅広い品目で前年同月の水準を下回った。米国による追加関税の影響が本格化しているのがうかがえる。

国・地域別では東南アジア諸国連合(ASEAN)向けは前年同月比18%増と急増したが、その他の国・地域は振るわなかった。米国向けの大幅減少が止まらないほか、大規模な抗議活動がつづく香港向けも低迷している。

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