15年の“空白”が埋まると、身長184センチのアンジェ・ポステコグルー監督(54)は雄たけびを上げ、選手たちを強く、強く抱き締めた。
「選手たちが自信を持ってやってくれた。選手たちがヒーローだ」
昨季、J2との入れ替え戦を得失点差で辛うじて回避したチームが一転、旋風を巻き起こした。
「ボス(ポステコグルー監督)が言うこと、やろうとすることは何も変わってません」とMF扇原。最終ラインを高く取り、サイドバックは中央でパスの配球をしたり、ゴール前まで駆け上がったりもする。自在のパスワークでボール支配率を高め、前線の連係と突破力でゴールを襲う。仲川は「相手を圧倒して勝利する。ボスのサッカーを選手全員が信じ、実践している」と胸を張った。
イングランド・プレミアリーグの王者マンチェスター・シティーを家元とする大胆なプレーモデルは昨季、失敗を重ねた。だが、降格という断崖絶壁に立たされながらも指揮官は「うまくいかなかったら、自分が責任を取るだけ」。信念は一度たりとも揺らがなかった。
▼アンジェ・ポステコグルー 1965年8月27日生まれ、アテネ出身の54歳。幼少期に家族とともにメルボルンに移住し、オーストラリア(豪州)国籍を取得した。現役時代はDFとして活躍、A代表歴もある。指導者に転じてからはA(豪州)リーグのブリスベン・ロアーやメルボルン・ビクトリーなどを指揮。2013~17年は同国のA代表監督を務め、15年のアジア杯で優勝した。18年から横浜Mを率い、今季で2季目。来季の続投も決まっている。