「SHIROBAKO Advent Calendar」 8日目担当します。かわせです。
今年も参加させていただきました。
今回がいつも頭をよぎる、12話「えくそだす・クリスマス」の台詞について書きたいと思います。
どうしてわしに頼んできたの?誰でもよかった?
私はエンジニアとして(知らぬ間に)中堅みたいな感じになっていて、管理の仕事をして下の子がつくことも多くなりました。
そうなると当然、作業を振らなければならない立場になります。
そのときに常に頭をよぎるのはこの言葉です。
宮森さん、これをわしが描く意味ってなんだろう。
どうしてわしに頼んできたの?誰でもよかった?
切羽詰まっているのはわかった。
けどアニメータも人間だから、この仕事はお前にしかできないって言われたいんだよね。
©「SHIROBAKO」製作委員会
12話は前半の一番の山場で、アニメ『えくそだすっ!』の最終回の原画が残ってしまい宮森あおいが担当している人を探して奔走するという状況です。
この状況での彼女の心境は言ってしまえば「やってくれる人がいれば誰だってよい」という感覚だったと思います。
自称原画マンという人でも良かった可能性すらある状況です。
宮森あおいがこの状況になるのは非常によくわかります。
実業務でも作業が山場になって切羽詰まっていて、増援を頼めない状況はよくあります。
そのときにとりあえず手が空いていている子をいったんおいておこう見たいな感じになります。
だいたい新人の子だったり、工数的にちょっと空きそうだなみたいな戦力というよりは数合わせのような感じになります。
これはチームでやっている上で仕方のないことだとは思います。
チームでやってる上で負荷を分散させるため、仕事を終わらせるための仕方のない犠牲(というのもいい方おかしいですが)かなと上の立場になって感じます。
TBDを埋めてしまいたい……。
私もやられる立場にいた(今でもそういう立場になる)場合があって、そのときになぜ「自分がこれをやらなくてはならないのか」と思うことも多いです。
自分の能力よりあまりにも高い/低いものを求められているのを渡されるのはストレスです。
どうして私に頼んできたの?誰でもよかった?
そういうときに私は菅野さんの台詞を投げかけることがありますが、返答が返ってこない場合もあります。
でもそれって悲しくないですか?
あなたが今しか得られないことがあるんだよということをちゃんと考えて伝えたい
チームで働く以上、割に合わない作業もあるというのは分かるし、飲んでもらわないと困ります。
ですが、作業を振る側はちゃんと明確な理由を考えて伝えてあげなきゃいけないんじゃないか、そう思います。
けどアニメータも人間だから、この仕事はお前にしかできないって言われたいんだよね
何故私でなければならないか、何故あなたでなければならないか。
私が上に立ったときに最初に思ったのがこれでした。
あなたのやる作業は確かにしょうもない(ハードル高め)かもけど、あなたにしかできないし、あなたが今しか得られない情報が多くあるんだよということをちゃんと考えて伝えてあげたい。
あなたがやる意味ってなに
昔私が新人の時、1ヶ月ずっと議事録だけとっていたプロジェクトがありました。
「1ヶ月ずっと議事録って私はエンジニアでコードを書く人じゃなかったんですか?」って強く思いました。
その1ヶ月は暗澹たる気持ちでした。
誰も私に議事録を取る必要性を教えてくれなかったし、何故私がこれをしなくてはいけないのかを教えてくれる人はいませんでした。
ただよくわからない話を聞いて書いてレビューされて、読まない可能性のほうが高い資料を作ってなんになるんだ、意味が分からなかった。
今でも嫌な思い出のひとつとしてあります。
この作業に意味があると自分で気づいたときに、この陰々滅々とした気持を味わうのは私だけでいい。
この経験から私は新人の子に議事録を取らせたときには
「これはホントしょうもない作業だと思う。最初はわけわからない言葉ばかりだと思うし。
だけど議事録を取るとプロジェクト内用語や今のスケジュールの状況がキャッチアップできて、すぐ追いつけるようになれるから、癖付けておくのがおすすめだよ。
最初は全然できなくてもいいから頑張ってやってみて」
そう話すようにしています。
その内容を飲み会で今でも覚えていてくれて、すごく納得したと言ってくれた時に「自分がやる意味」というのはきちんと話す必要があるなって強く感じました。
私の役割
確かに穴埋め的に入れちゃうときもあるけど、できるだけちゃんと伝えたい。
これはあなたにしかできないこと
この気持ちを忘れずにいろよっていうのが、上に立つことが多くなってきた「私にしかできないこと」のひとつなのかなって思います。