kz(livetune)が考える、VTuber文化ならではの魅力「僕らが10年かけたことを、わずか2年でやってる」

kz(livetune)が考える、VTuber文化ならではの魅力「僕らが10年かけたことを、わずか2年でやってる」

 2017年12月にある種のブレイクポイントを迎え、以降急速に発展してきたバーチャルYouTuber(VTuber)シーン。勢力図が次々に変化し、企業が積極的に介入するなど、何かと騒がしいこの界隈を、リアルサウンドテックでは様々な方向から取り上げてきた。

 活動の場もYouTubeのみならず、さまざまなプラットフォームへと変化し、もはや“バーチャルタレント”と呼ぶべき存在となった。そんな彼ら彼女らについて、もう少し違った角度から掘り下げてみるべく、シーンを外側から見ているクリエイター・文化人に話を聞く連載『Talk About Virtual Talent』がスタート。第一回は、J-POP・アニメシーンで幅広く活躍しつつ、キズナアイやYuNi、にじさんじなどに楽曲提供も行っている音楽家・kz(livetune)が登場。Twitterで溢れんばかりの“にじさんじ愛”を炸裂させている彼に、VTuberにハマったきっかけやボーカロイドシーンとの共通点、印象に残っている動画などについて、じっくりと話を聞いた(編集部)。

「動画勢は日常アニメ、ライブ配信勢は長編アニメ」

――kzさんがVTuberの文化に触れた最初のきっかけはどんなものだったんですか?

kz:以前からキズナアイさんをはじめ、存在は知っていたんですけど、最初に動画をちゃんと見たのは、2017年末にマネージャーから紹介してもらった電脳少女シロさんで。動画を観て、「これは面白いな」と思ったのがきっかけでした。

――当時はまだ、ライブ配信というより動画を撮影/編集して投稿するクリエイターが中心だった時期ですね。

kz:そうですね。僕はもともと、YouTuberの方々の動画をあまり観るタイプではなかったので、動画投稿/配信カルチャーの魅力を実感したこと自体が、その頃だったような気もします。というのも、僕は人と目線を合わせるのが得意じゃないので、YouTuberの方々のように、生身の人がこっちをずっと見て喋っているのはちょっと苦手で……(笑)。

 また、VTuberの方々は話題の軸がインターネットミームやマンガ、アニメのような、自分が身近に感じる題材が多いこともあって、より僕自身の好みに近い、よりインターネット感が強い印象を受けました。当時はシロちゃんの『DOOM』や『PUBG』のゲーム実況動画を観て、「キャラクター」と「魂」の微妙な剥離具合が面白いな、と思っていました。VTuberには色んな立ち位置で活動している方がいますけど、僕はロールプレイをがっちりする人よりも、そういう人たちが面白いと思うタイプなので、その後、にじさんじにも魅力を感じるようになりました。

――kzさんは、にじさんじをよく見てる印象があります。にじさんじのみなさんは「ライバー」としてリアルタイムでリスナーとやりとりするライブ配信に特化した活動をしています。

kz:僕の中では、動画勢は日常アニメ的だと思っていて、ライブ配信勢はストーリーものの長編アニメ的だと思っているんです。動画はきっといつ観ても面白いし、10年後も同じように観られると思うんですけど、一方でライブ配信の場合は、その瞬間に共有するリアルタイムでのストーリー性が面白くて、その中でみなさんすごい失敗も色々としていて(笑)。でも、その失敗も含めて、その人たちに魅力を感じます。僕はもともと長編のストーリーもののアニメが好きな人間ですし、特ににじさんじの場合、色々なハプニングを乗り越えてきた人たちだと思うので、そういう意味でも魅力を感じたんだと思います。

――では、kzさんが特ににじさんじに魅力を感じたきっかけというと?

kz:「ここからずっと観よう」と思った配信が2つあるんですけど、ひとつは委員長(月ノ美兎)が2018年の4月に初めてニコ生でやった3D配信の、感想回ですね。そこで委員長が、「インターネットの歴史の一部になれてうれしい」という話をしていたと思うんですけど、僕自身もインターネットに育てられたという意識が強い人間なので、自分自身が活動をはじめた頃を思い出してすごく共感しました。あの配信は、全体的にインターネットに対する感謝が伝わってくるような内容だったんですよね。

 もうひとつは、同じ月の4月29日、その日『ニコニコ超会議』があって、そこに出演した樋口楓さんが終了後にやっていたMirrativでの配信です。僕はちょうどClariSのツアーに同行していて、ホテルでその配信を見ていたんですけど、その日の樋口さんは、イベント後の放心状態というか、めちゃめちゃ疲れているように見えて。僕らも10年前、インターネットでたまたま見つけられて、わけがわからないうちにでかい会場でライブをするようになったので、「自分もこういう感じだったな」って、10年前を思い出しました。そのときに、「この人たちのこれからの活動をずっと見続けていくのは、絶対に面白いはずだ」と思ったんです。

――新しいカルチャーが盛り上がっていく瞬間のとてつもないパワーと言いますか、頑張ったものに対して想定した以上の反応が返ってきて、より大きな波に飲み込まれていく感覚というのは、まさにkzさん自身が体験したものでもあるということですね。

kz:そういう状況にすごいスピード感で巻き込まれると、自分たち自身も戸惑うんですよ。それは僕も『Re:Package』(2008年/livetune feat.初音ミク名義)でいきなりオリコンアルバムチャートの2位になった頃に感じたことでした。あと、VTuberのカルチャーは僕らが世に出るきっかけになったニコニコ動画の文化とも密接で、インターネット上で色んなMADがつくられたりする雰囲気も、僕らがインターネットでよくやる悪ふざけの感覚に近いと思いました。僕も自分の曲に勝手にPVをつくってくれたり、歌ってくれたり、踊ってくれたり、そういう二次創作に支えてもらってきたので、その部分にも親近感を覚えたんだと思います。

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