私たちは広島市長等に公開質問状を送りました。
許可と不許可の判断基準は一体 何なのでしょうか!?
許可されている反核平和講演会のチラシ
不許可となった田母神講演会チラシ
私たちは、
“被爆者の心情に配慮して”講演会の
日程変更を公文で要請した昨年に続き、
今年も「予断と偏見」としか思えない会見
を発表した広島市長に対する重大な疑念
について広く世に問います!
《公開質問状の主な内容》
1. 定例記者会見(6月3日)での講演会に関する
市長の見解について
2. (財)広島市ひと・まちネットワーク」の
講演会チラシ広報協力拒否について
「ああやっぱり」、という以上の何かが塊になって私たちの心に留まりました。反発、
屈辱感、怒り、嫌悪感、・・・・
「ひとまち」に広報協力依頼をしたのは被爆者や二世、三世なのですよ。講演会を主催し協力しているのは、被爆者として大変な苦労と悲しみを背負ってきた親をもち、そしてその姿をしっかりと目に焼き付けて育ってきた二世たちなのですよ。
気持ちを大切にしていないのは、気持ちをくみ取っていないのは、市長のほうではないのでしょうか。「少しでも被爆者の気持ちをくみ取ってくださっているのであれば何もしなくてもいいかもしれませんけれども、」というのは一般市民には威圧的に聞こえます。
まるで“ためにする質問”だと前置きしたかのようにして、市長に質問された記者の方、あなたは市長から何を言わせたいのですか。何を書きたいのですか。主催者でも正確にはわからない講演内容を「今年も去年と同主旨と思われる」と、たった3行の回答で片付けられた「ひとまち」の方、あなたは去年の講演会をお聞きになりましたか。
不当な仕打ちを受けたと感じた被爆者たちがここにいます。ぞんざいで素っ気無いと思われる文書を「回答書」だと示されて、屈辱と反発で体の震えた被爆者たちがここにいます。「ひとまち」の回答をされた方、あなたはこのような気持ちを持っている被爆者たちもいることがお分かりでしょうか。そのような気持ちもまた、少しでもくみ取られなければならないでしょう。
私たちは、日本の反核運動が、国際政治の対立をそのまま受け入れて分裂し、互いに激しく対立して非難していた時代のあったことを知っています。「すべての国の核兵器に反対」を唱えた政党で、中国の核実験成功に祝電を送った国会議員のいたことを記憶しています。そして私たちは、「社会主義国の核兵器は防衛のためだ」と主張していた「反核団体」が、ソ連が崩壊した後にはいつの間にか「すべての国の核兵器に反対」に宗旨変えして今もあることも知っています。いつも「敵」を身近に求めて来たように見える「反核平和運動」でした。
オバマ大統領は「核廃絶を目指す」とは言いましたが、それは遠い将来のことだ、としていることも私たちは知っています。今年、アメリカは核弾頭数の削減をロシアとの間で合意しました。NPT再検討会議では、表面的な妥協によって「合意」が採択されました。そして、それを「核廃絶のうねり」が広がったと喜ぶ人たちがいます。しかし、この姿は昔の「デタント」の時代と同じように見えます。私たちの多くはその時代を経験しました。
私たちは、これまでほんの少しの情勢の変化や政治家の言葉に反応して、その時々の反核運動が一時的に盛り上がったことを何回も見てきました。この間、中国は核弾頭を増やし、その実験で多くのウイグル地方の人々が被爆者になりました。それでも中国は年率15%以上の増加率で20年以上軍事費を増大させ続けています。北朝鮮は既に核兵器を手に入れ、さらに最近、水爆の試験で出る物質が検出されたとする海外報道もあったようです。インド、パキスタンは公然と、イスラエルは公然の秘密で核兵器を保有するようになりました。そしてさらにイランがそれに続こうとしています。
私たちは「核廃絶」の呼びかけに反対したことはありません。しかし、70年前の核兵器のなかった時代を見ると、それが平和につながらないことを指摘しています。既にスイス、アルゼンチン、チリ、ブラジルなどの国がいつでも核兵器を作れる段階まで技術を蓄えていると言われています。ソ連崩壊後には多くの核兵器技術者が海外に流出して行きましたので、秘密のうちに技術を蓄える国はさらに増えて行く可能性も考えなければなりません。だから私たちは、この現実の姿をしっかりと見据えて、当面の将来、そう、私たちの子どもたちがどうしたら安全で平穏のうちに平和に生存できるのかを研究し、考えようとしているのです。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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・・・・もう、よしましょう。私たちは去年や今年の事柄ではっきり認識しました。広島市とそれに同調する団体の方々が「核廃絶」を叫んだら、それに無条件に唱和しない者にはチラシの広報協力依頼までも排除するのも、「平和行政」でしたね。例え相手が被爆者であっても・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この質問状へのお答えによって、私たちの認識の当否を判断します。
公開質問内容骨子
質問1-1
市長が総体としての「被爆者の気持ち」をひと括りにして、講演会主催者を対立
的に捉えていると思われるので、講演会を開催する「会議」や「会」のメンバーに
も被爆者や二世、三世が多数いることを指摘した上で、市長のいう「被爆者」の定義を問うた。
質問1-2
去年の講演会が市の式典とは無関係の場所・時間帯で、屋内かつ有料なのにも関
わらず公文での「日程変更要請」を出し、他方、別団体に宛てられたものは「式典中のアピールの音量を絞る要請」になっていることを踏まえて、両者の要請内容がなぜこれほどに、差別的とも考えられるまでに異なるのか、正当な理由を問うた。
質問1-3
市長記者会見で、“去年の講演会は「内容がわかっていたので」被爆者の気持ちを
大切にしてくれと申し上げた(実際は公文での日程変更要請)”との発言を捉えて、
主催者も講演内容が正確にはわからないのが普通なのに、市長は講演開催のひと月
以上前から講演内容が「わかった」という、その手段と“わかった”内容を問うた。
質問1-4
市長記者会見で、今年の講演会のことを“今はじめて聞いた”にも関わらず、「少
しでも被爆者の気持ちをくみ取っていれば何もしない」とか「問題は言論の自由で
はなく・・被爆者の皆さんの気持ちをどう・・受け止めるかのレベルの話だと・・こういった講演会等を主催している皆さんが・・それをどう考えているかが問われている・・」と非難がましい論評を続けていることを捉えて、質問1-3と同様に内容もわからない段階で何故論評ができるのか、それが予断と偏見でないのならその根拠、を問うた。
質問1-5
今年の講演会を被爆者や二世、三世が多く含まれる団体が主催し協力しているの
を指摘した上で、今の段階でも質問1-4に挙げた論評を維持するのかどうかを問
うた。まだ維持するのなら、市長に同調する被爆者だけに肩入れしたことになり、
公務員が“全体の奉仕者”であると規定した憲法15条に抵触する恐れがあること
を述べた。もし、維持しないのなら、市長会見の「今はじめて知った」から後の論
評部分をすべて取り消し、その論評に依拠した6月4日付け中国新聞の記事訂正要
求を市の責任で行うことを求めた。
質問1-6
市長記者会見での「すこしでも被爆者の気持ちをくみ取っているのなら何もしな
い」という箇所を捉えて、“被爆者や二世、三世が望む講演会だから、くみ取っている証明は他にありようがない”ことを指摘した上で、「くみ取ったか、そうでないかを誰が、誰に対して、どのような基準で判断するのか」、そしてその権限の根拠を問うた。
質問2の全体については、前提として「ひとまち」が講演会広報協力拒否までに辿った経過を具体的に示して、次の判断を加えた
ⅰ)公表されている協力承諾基準に照らして、講演会のチラシがそれを満足してい
ること。
ⅱ)承諾拒否までに、講演会という性質から主催者でも詳細にはわからない段階ま
で、微に入り細にわたる内容の確認をしてきたこと。
ⅲ)他の承諾案件で、行ったとする内容確認との平等性を示すことができなかった
こと。
ⅳ)電話での拒否回答が6月3日の市長記者会見を理由にしたのに対して、文書回
答では、昨年の市長による「日程変更要請」公文を取り上げて“今年の講演内容も去年と同じと思われる”という感覚的判断を理由にしたこと。
ⅴ)ⅰ)からⅳ)までの「ひとまち」の行為は、
①「ひとまち」の公表基準とは無関係に、社会通念上回答不可能なレベルまで内
容を執拗に確認してきたのは、憲法21条のいう「検閲」の恐れがあるこ
とを最高裁判例を引いて指摘した。
② 他の承諾案件との平等性を示せないまま拒否したのは、憲法14条のいう
「法の下の平等」に抵触し「差別」に当たる恐れがあることを指摘した。
③「検閲の禁止」が言論の自由を実際的に担保していることから、不許可は言
論の自由を一部奪うものと考える旨、指摘した。
④ 根拠を示さないまま「講演会が昨年と同趣旨と思われる」という恣意的判
断で協力拒否したのは、田母神氏個人の思想にかかる点を問題視していると
推測されることから、憲法19条の「思想および良心の自由」に違反してい
ることを指摘した。
⑤ 法的効力の不明な、昨年の市長による「日程変更要請」公文を、今年の講
演会の広報協力拒否の理由に掲げたのは、憲法15条のいう「公務員は全体
の奉仕者」であるという規定に違反する不法行為であることを指摘した。
以上を踏まえて質問を行った。
質問2-1
昨年出された「日程変更要望」文書の効力の範囲について、法的根拠を問うた。
質問2-2
市長が「ひとまち」あるいは管轄部局に対して、この講演会の広報協力依頼を選
択的に拒否するような指示等をしたかどうかを問うた。
質問2-3
「ひとまち」が“今年も同趣旨だと思われる”とした根拠を問うた。
質問2-4
「ひとまち」が電話段階で掲げた拒否理由を文書では変更したことの理由と根拠
を問うた。
質問2-5
「ひとまち」が公表基準とは無関係に、協力応否を恣意的判断に基づいて行って
いる現状を、公正で平等で明示的なものに改善して公表するか否かを問うた。
質問2-6
「ひとまち」のこの講演会に出した協力拒否が、どのような法的根拠で行われた
のか、こちらの提示した法的疑義に照らして、具体的理由を問うた。