世界のエリートがあえて「借金」を背負う理由

「借金=悪」の常識に縛られると成功できない

学費ローンで有名大学を卒業後、富裕層となっても一括返済せず、毎月コツコツ返し続けているエリートが少なくない。「借金」に対する彼らの合理的な考え方とは?(写真:amadank/PIXTA)

先日、40代のアメリカ人の友人と話したときのこと。彼は、コロンビア大卒の超エリート。30代のうちに一財産を築き、すでにセミリタイアしています。ところが「大学時代の学費のローンを今も払っているんだよ」と言うのです。

「一生かけて返済するつもりなんだ」

貧乏な生活どころか、うなるほどお金がある暮らしをしているはずなのに、どうして学費ローンくらい一括返済しないのか? 彼が毎月コツコツ返済し続けているのには、会計学に基づく理由がありました。

「借金=悪」と恐れ、「利子=損」と考える日本人

日本では、借金をするのは悪いとか、恐ろしいイメージもあります。逆に「住宅ローンを完済した」とか「積極的に繰り上げ返済している」などというとポジティブなイメージになりますが、これには「借金して利子を払うなんて損するだけだ」という考え方が影響しているように感じます。

しかし、このコロンビア大卒のアメリカ人をはじめ、世界のエリート層は「無借金で、利子のない生活」を好みません。なぜなら、自分の稼いだお金以上の生活はできないからです。

身近な例として、家を購入するとき、キャッシュで買える人はほとんどいないと思います。でも、頭金だけ用意して住宅ローンを組めば、手持ちの現金で購入できないものが手に入るのです。また、「大学に進学したい」という子どもに、「お金がないから無理」という家庭も少なからずあると思いますが、この場合は教育ローンなどを組むことができれば、子どもの希望をかなえてあげられます。ひいては、将来の子どもの職業や収入にも好影響をもたらすでしょう。

借金することをいましめ、節約や貯金に励めば、「お金がある」という安心感を得られるかもしれませんが、貯まっているお金が直接今の生活をよくすることにはつながりません。一方で、お金を手放して借金をすれば、自己資金以上の生活ができる可能性をもたらすのです。

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  • サーモンアボカド丼ca7d69bfe1ca
    成功している起業家の中には借金をするけど、それはお金を借りる何年も前からビジネスで己を鍛えているからできるんです。
    ビルゲイツ、スティーブジョブズ、ホリエモンなどの成功者は学生時代(高校生)から大人顔負けの仕事をしてました。
    0円でもビジネスを成立できる能力があるからより大きな成功のために借金ができるんです。

    「具体例を挙げると、キヤノンは無借金経営で有名ですが、業績が芳しくありません」

    何十年も生存していて世界的に知名度が高い会社に対して、借金をしてないから業績が芳しくないと決めつけるのは魔女狩りと同じ決めつけ方です。

    地方創生で何億もビジネスに投資して失敗いる自治体はどう説明できるんでしょうか。

    元犯罪者の9割がパンを食べたことあると言ったら、パンを食べれば犯罪者になると決めつけるようなものです。
    up25
    down5
    2019/12/8 06:50
  • yahood990d4ee623a0fbd7
    OECDの国際個人負債ランキングによると我が国は28カ国中11位とのことです(2016年)。特段に多いとも少ないとも言えません。

    財務レバレッジが有効な局面があるという一般論に間違いはありませんが、議論はデータに基づいて行ってください。記事のレベルに関わる問題です。
    up19
    down2
    2019/12/8 06:36
  • 俺は知ってるゼed0ac2cd89b1
    日本学生支援機構(JASSO) から金を貰って書いたような提灯記事だな。
    コロンビア大卒で30代のうちに一財産を築き、すでにセミリタイアしているのに大学時代の学費のローンを今も払っているという友人に言ってやってくれ。
    オマエのやっていることは無意味だと。
    もし、その友人が実在するのなら。
    up16
    down4
    2019/12/8 07:49
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