「日本に来たばかりの外国籍の子供たちの中には、知的障害や発達障害がある人も大勢います。こうした子供たちの受け皿が日本には十分ないため、親から『聞き分けの悪い子』として虐待を受けたり、学校でいじめにあったりするケースが少なからずあります。また、親が手に余り、何年も学校に行かせずに家に閉じ込めていることもあるのです」
日本に暮らす外国籍の子供の取材をすると、時折耳にする話だ。
知的障害を持つ人は50人に1人、発達障害を持つ人は15人に1人と言われている。日本ではこういう人たちは福祉制度に支えられて生きていくことになる。
だが、日本にいる外国籍の子供は、言葉が不自由であるがゆえに、日本人のように障害があると診断されず、福祉のセーフティーネットからこぼれ落ちてしまうことがかなりある。
年々増えている日本に暮らす外国籍の子供たち。彼らがどのような現実に直面しているかを追ってみたい。
岐阜県可児市の西可児駅から徒歩5分ほどのところに、広い駐車場を備えた2階建ての1軒家がある。「ピース可児」。ここは、外国籍の子供のための放課後等デイサービスを行う施設だ。
可児市には工場での仕事を求めて集まった外国籍の人たちが約7600人も暮らしている。これは市の人口の約7.5%に当たる数であり、これほどの高い割合は全国でも有数だ。
国籍だと、フィリピン人、ブラジル人が多い。特に日系ブラジル人は子供をつれて家族でやってくるケースが目立つ。親も子供も日本語がしゃべれず、給料も低賃金であるため、日本社会への順応は容易ではない。
これだけの外国籍の人々が住んでいれば、当然障害児の数もそれなりになる。ピース可児はそうした障害児や、その家族をサポートするためにつくられた施設なのだ。