ファーウェイの旗艦店(広東省深圳市)
【広州=比奈田悠佑】中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)の代理店は4日、台湾で予定していたスマートフォンの最新機種の販売を取りやめると発表した。同社製品を巡ってはタイムゾーンの表示などで従来「台湾」としていた表記が「中国台湾」と変わり、物議を醸していた。最新機種の販売撤回で、ファーウェイの台湾でのスマホ事業が大幅に縮小する可能性もある。
ファーウェイの台湾の販売代理店がSNS(交流サイト)上で発表した。取りやめたのは最新機種「Mate30Pro」。当初は11月23日に発売する予定だったが出荷を延期していた。消費者から受け取っていた予約金は返す。スマートウオッチの最新機種も同様に販売を取り下げた。
台湾では11月中旬、発売済みのファーウェイのスマホ機種で、タイムゾーンや電話の発信元の表記などが「台湾」から「中国台湾」に変更されたことが発覚し、消費者が反発していた。通信などを監督する国家通訊伝播委員会(NCC)が「事実と異なり、国家の尊厳を損ねる」とし代理店や通信キャリアを通じて是正を求めていた。ファーウェイは出荷を控えていた「Mate30Pro」での表記を検討、今回の代理店の販売撤回の判断に影響したとみられる。
一方で中国本土では台湾を独立国家として表記することに批判の声があがる。ファーウェイは足元では本土市場を重視せざるを得ない側面もある。今後、米グーグルの一部機能が使えなくなるなどで海外販売の苦戦が予想されるためだ。ファーウェイの本土でのスマホ出荷台数シェアは40%を超える。一方で台湾でのシェア(店舗販売ベース)は4%強にとどまり、米アップルの40%弱などと差をつけられている。