年の瀬が近付いてきた。この時期になると、何かと無性に「振り返り」がしたくなる。今年の仕事はどうだった、観た映画の中で何が一番好きだった、この本に今年最も感銘を受けた、エトセトラ。
ネットに軸足を置いているオタクなので、ネットサーフィンは問答無用で「習慣」。(もう何度も同じことを書いてますが)、こうしてブログでアウトプットをする以上、その何倍ものインプットは必須な訳です。Twitterやはてなブックマーク、はてなブログの読者登録やRSSで追いかける、無数のエントリ。その中で「うぉっ!いい!好き!」となったものは、必ずはてなブックマークに残すようにしています。
そんなこんなで、今年も沢山の良いエントリと出会うことができました。以下、記録も兼ねた、私的「今年読んでよかったエントリ大賞2019」です。年末年始、何かと時間が許す機会も多いと思いますので、良かったらお供にどうぞ。(2018年版はこちら)
スポンサーリンク
自分には文章力がないからブログなんて書けない、というのは大きな勘違い
くどいようですが、私はブログはコピーロボットだと思ってます。
ブログに書いておけば、私が仕事してる間も、寝ている間も、誰かがこうやって私の代わりにコピーロボットから私の話を聞いてくれているわけです。インターネット以前、ブログ以前だと、こんなことありえないんですよ。
私も度々「ブログやろうぜ!」と口にする人間ですが、この反応はよく貰いますね。「自分には文章力が無いから、ブログなんて書けない」。それに対する考え方の提案として、この記事はとても誠実である。「ブログを書く」という行為は、何も「メディアを作る」とイコールではないのです。真面目な人ほど、「良いエントリを書かないといけない」という謎の強迫観念に襲われてしまう。そうじゃないよ、いや、そうしたかったらそれでもいいけど、スタートはそこじゃなくてもいいんだよ。引用した「コピーロボット」の概念を含め、その辺りが非常に分かりやすいです。
自分が人生の主人公になることなんて一生ないと思ってた
男一瞬、ダチ一生。突如騒ぎ出すギャル魂。
こういうの、こういうのなんですよ。僕ァね、こういうテキストと出会いたくてインターネットをやっているんですよ。やれ広告だの、やれレビューだの、やれマネタイズだの、そういうのが跋扈する今のインターネットに欠けているのは、こういう、一個人の魂から捻り出されたような、人生とセンスの足跡なんですよ。話の脱線上等!自分語り上等!無味無臭なネットの記事を100も200も読むより、こういうのとひとつでも出会える、そこに幸福を見い出すのです。一個人の人生ってこんなに面白い。最後の一文がバシィッと決まる、そこが痛快。
ディズニーランドのインタラクティブミュージックがすごく凄い
そもそも、アレンジ変化の範囲で任意のディズニー作品曲に遷移できる、という音楽そのものがすごくないですか。作曲は専門ではないのでアレですが、コード進行とかどうなってんの?わりと無理やりやってるの?どんな曲でもエレクトリカルパレードに重ねて何とかなってるのが凄い。もう全てはエレクトリカルパレードと言っても過言ではない。お前もエレクトリカルパレードにしてやろうかという勢い。
知見タイプの記事。ネットの面白いところはその集合知にある。この広い電子の世界、思いもよらないところに目をつけてくれる好事家がいる。ディズニーランドという世界最高峰のエンタメ空間で用いられる音の演出、それが図式もあわせて分かりやすく解説されているので、おすすめの記事です。これを読んだ上でエレクトリたい。
「私みたいな大人にならないで」
・理論武装を覚える。法律や仕組みや決まりごとで自分を守る
・専門家には金を出して頼る。士業は特に
自分もアラサーになり、人生まだまだと感じつつも、何事に対してもぼんやりと「つまりはそういうことなんだろうな」が見え隠れしてきた。自分の手が届く範囲と、届かせちゃいけない範囲。口を出せる矛先と、口を閉じるべき環境。時間をかけるか、お金をかけるか、その線引き。そういった物事について「なんとなく」自分の中に落ちていたあれこれを、非常にシンプルに、書き並べていただいている。そうそう、そういうことなんですよ、と。こういうのをライフハックと言うんですっけ。
『BLEACH イラスト集 JET』発売記念 久保帯人先生サイン会 超個人的レポート
で、ですね。宛名を見てわたしの本名フルネームを読んだ久保先生が、ちょっと本当に信じられないことをおっしゃったんです。
神との邂逅。私もBLEACHに魂を育まれた人間なので、このほしあさんのブログは前々から拝読していたのですが、まさかこんな展開が訪れるとは・・・。読む度に、全然関係のない私が震えて泣きそうになる、そんなテキスト。
以下の日程でご都合いかがでしょうかメーカー
テキストではなくウェブサービスなのだけど、実用性と洒落のバランスが大好きなのでノミネート。普通に使えるから困る。(実際は大変助かっている。これは構文である)
ドラマ『トクサツガガガ』も良いことだし孤独だったオタク女の人生を振り帰る
商業高校だったので卒業後はすぐ社会人に。自分で使えるお金がある。ネットが発達している。そしてスクールカーストを気にしなくて良い!!最高の条件が揃い、当然のようにオタクに舞い戻った黄金時代です。
仕事が終わったら漫画を読み、「魔法のiらんど」で夢小説を読み、お給料で購入したパソコンでニコ動やテニミュ、pixivを観る。毎週日曜は早起きしてこっそりとニチアサを鑑賞、押入れの中には東映ヒーローのフィギュアが並ぶ。
人間には誰しも物語があるのだけど、オタクのそれには、また固有の面白さがある。界隈での流行りにその人がいつ触れたのか。そして、当時オタクという生き物は世間からどのように認知されていたのか。時に隠れ、時に仲間を見つけ、そうして誰もが育んできた。筆者であるここまつさんとはリアルでも面識があるのだけど、こうした丁寧な変遷は改まって対面では話さないものなんですよね。「私のオタク半生」は、多分誰のものでも結構面白いはず。
アウトプットの結果はだいたい期待通りには返ってこない
こちらは先日書いた記事でも紹介させていただいたので、よろしければこちら(ネットで文章を書く人に読んで欲しい文章 - ジゴワットレポート)をどうぞ。
ライムスター宇多丸――批評は「怖い」「恐ろしい」それでもやるのはなぜ
『批評なんて意味ない』という人は『なんにもわかってないなぁ』と思います。あらゆるものづくりの根本には、ものごとを分析し、自分なりに意味づけをしてゆくという、批評的な観点が要る。ぼくが知る限り、優れた作り手はほぼ例外なく、誰よりも優れた、辛辣な批評家です
ラジオ番組も欠かさず愛聴していますが、そんな宇多丸さんの「批評」活動にフォーカスされたインタビュー記事。たまに振り返って宇多丸さんの過去の批評音源を聴いてみると、今よりかなり「かっとばしている」というか、辛辣なdisり、文中で言うところの「けなし芸」が炸裂している。そんな方法論の変遷についても語られている上記インタビューは、素人レベルとはいえブログに何らかの感想を書いている自分のような人間には刺さる文言が多い。「批評なんて意味がない」とは、私も全く思わないので。
スポンサーリンク
2chで15年かけて969まで育てたスレが荒らしに埋められた
今年はてなブックマークで話題になった記事。ブクマも2000近くついている。すごい。しかし、これに感銘を受けるのもある程度の年齢より上の世代なのかな、とも。独特の哀愁がすごくて、まあ、読ませる。最後にはほろっと、気を抜けば泣きそうになってしまう。何度も同じことを書きますが、こういう「魂からひねり出されたテキスト」って、すごく良いですよね。私の世代における「青春の匂い」とも同義。このエントリ自体、2018年が初出というのも好き。
【ジオウネタバレあり】平成ライダーを1ミリも知らない俺がジオウの映画を観た感想「the pillowsじゃん」
今、これを読んでいる方はおそらくジオウの記事を読もうとしてきた方がほとんどだと思いますが、
私は今から邦楽ロックバンド、ピロウズの話をします。帰らないでください。
ブログの良さは、こういった「その人にしか書けない」視点がゴロゴロ転がっていることにある。これは短文で綴られるSNSには出せない味だし、専門家や有識者の文章からも滲み出ないだろう。一歩間違えれば「意味が分からない」で片付けられてしまいまそうな、そんなギリギリのラインを引けるのは、いつの日もこうして何かに魂を燃やしてきた人たちなのだ。私はピロウズについては数曲しか知らないトーシローなのだけど、バンドの変遷を細かに解説された上で、「それがいかに『ジオウ』で平成ライダーなのか」に力技で引き寄せていく文圧には、感服です。
ジャニーズJr.のヲタクがホストにはまって抜け出せない話①(前編)
ホスクラは全国色んな所にあるわけですが、特に多く集まってるのが歌舞伎町(新宿)、ミナミ(大阪)、中洲(福岡)、すすきの(札幌)、国分町(仙台)かな。ジャニーズのツアーまわるとこと同じですね!
個人ブログの「その人にしか書けない」強みが、これまた最高の方向に爆発しているエントリ。こういうの大好き。ホストクラブもジャニーズ界隈も全くの無知なので、それを面白おかしく、それも的確に解説してくれている。以前『インドでキャバクラ始めました(笑)』というウェブコミックがあって、私も愛読していたのだけど、テンポ感がちょっと近いかもしれない。女性オタク特有のテキストのノリ、自分には絶対出せないと自覚しているので、ちょっと羨ましかったりも。
劇場アニメ『プロメア』プロデューサーが語る 異例のロングラン 勝負は「公開3週目」
実は僕がプロデューサーとして宣伝の方向性を決める時に参考にした先行事例が『マッドマックス 怒りのデス・ロード』と『KING OF PRISM』(キンプリ)シリーズ、『バーフバリ』シリーズの3作品だったんです。
今年ロングランを記録したアニメ映画『プロメア』。その宣伝手法を取り上げた記事。趣味が映画鑑賞なので、実際にそのセールスがどのように行われているかを見聞きするのも好き。業界の常識やルール、それにいかに寄せて、あるいはぶっちぎるのか。今や「ネットで話題になった映画がバズる」光景も珍しくなくなったけど、そういったムーブメントを正面から起こそうと思ったらこういう仕掛けが必要なんですね、と。シンプルに「読みもの」としても面白く、NHKの仕事人ドキュメンタリーを観る感覚に近い。
「日曜日は変身日和」
ゼミで企業の販売戦略やマーケティングの話を楽しく聞いていたが、
この平成の仮面ライダーという番組は、変身ベルトをはじめとした
「なりきり玩具」を売るための現代的なアプローチがとても斬新で、
まさに今自分がその掌の上で踊らされていることに気づいて、とても興奮した。
こんな商売のやり方があるのかと、青天の霹靂であった。
Twitterにて息子さんや娘さんとの日々を漫画にしてアップされている、そんなライスさんの回顧録。これがまた読ませる・・・。自分も仮面ライダーを観て育って父親になったひとりなので、グッサリと刺さってしまった。ひとりの男が仮面ライダーというビジネスモデルに感銘を受け、やがて結婚、息子ができて、その息子の興味もいつしか移り変わっていく。日々のなんでもない親子のやり取りを漫画にされているからこそ、こうして改めて振り返られると涙腺にくる。ずるい。
・・・そんなこんなで、以上、すこぶる私的な「今年読んでよかったエントリ大賞2019」でした(今年残り約20日間。良い出会いがあれば追記します)。ここには載せきれなかったのですが、読者登録やRSS登録させていただいているブログの方々も、いつもありがとうございます。誇張抜きに、ちゃんと全部の記事を読んでます。沢山の人の様々な「スポットライトの当て方」に感銘を受ける、そんな日々を来年も過ごしたいものです。
2020年も、よいエントリと出会えますように。