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# リニア問題 # JR東海

リニア問題は政治ショーだった…?静岡県・川勝知事「迷走」の正体

国もJR東海も呆れ顔

ループする「JR東海への不信感」発言

2027年の開通を目指して工事の進むリニア中央新幹線(品川=名古屋間、全長約286km)では、11月22日には神奈川県相模原市内で神奈川県駅(仮称)の起工式が行われるなど、各工期における工事が進捗している。11月26日には岐阜県瑞浪市内で掘削中の日吉トンネルの本抗内部が報道陣に公開された。

だが、現時点では計画通りの開通には「黄信号」が灯っているのは残念ながら事実だ。南アルプスを横断するトンネルが8.9kmだけ通過する静岡県内区間について、静岡県の川勝平太知事が工事の許可を渋っており、予定通りの着工のメドがついていないからだ。

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最新の状況だが、問題解決を目指して赤羽一嘉国土交通相が調整に乗り出している。赤羽国交相は、リニア中央新幹線工事に伴う環境対策について国・県・JR東海による三者協議を主導しようとしたが、川勝知事はこれを拒否。その理由として、赤羽大臣の提案した「国交省鉄道局が主導」するという体制を批判し、この問題は環境行政、農林水産行政にも関係があるので国交省だけではなく、環境省、農水省の関与が必要だと主張している。

これと並行して、JR東海は、大井川の流量減少問題を説明するため流域10市町に個別の面会を求めたところ、10市町はこれを断るという事件も起きた。これを受けて、知事は「JR東海への不信感がある」とコメントしている。

 

しかし、この流域市町については、国交省の幹部が11月から順次訪問し、地元意見の聞き取りを開始すると、川勝知事は「本来はJR東海がすべきこと」などと発言していたのである。

つまり、国交省ではなく「JR東海が流域市町に直接説明べき」という方向性は、そもそも川勝知事の提案だったのである。その意向に沿ってJR東海が動こうとすると、今度は「不信感があるからダメ」というのでは、論理が完全にループしていると言わざるを得ない。