巨人が、韓国プロ野球・SKからフリーエージェント(FA)となっていたアンヘル・サンチェス投手(30)と来季契約に関して基本合意に達したことが6日、分かった。メディカルチェックを経て、問題がなければ正式契約となる。ドミニカ共和国出身の右腕で、最速156キロと直球の球威は抜群。140キロ台中盤のカットボールなど多彩な変化球を操る。エース・菅野と並ぶ先発2本柱として、日本一奪回へのキーマンの期待がかかる。
原巨人が、日本一奪回へ欠かすことのできないピースを加えた。韓国プロ野球SKに所属した今季、リーグ2位タイとなる17勝(5敗)、防御率2・62と圧倒的な成績を収めた右腕サンチェスと、来季契約で基本合意に達したことが分かった。メディカルチェックを経て、問題がなければ正式契約となる見込み。今オフ最大のテーマだった先発の柱となれる助っ人の確保に成功したと言っていい。
サンチェスは最速156キロの直球に、鋭いカットボール、スライダー、チェンジアップを操る“ドミニカン・エクスプレス”。10年にドジャースと契約し、17年にパイレーツでメジャーデビューするまではマイナー暮らしが続いたが、18年から移籍した韓国球界で今季、潜在能力が大ブレイク。30歳とスポーツ選手として脂が乗りきった年齢で加入することも大きい。
獲得候補リストを精査していた段階で映像をチェックした原監督も「コントロールも含めて、すごくまとまっている。投げ方もすごくきれい」と高く評価。すでに加入が決まったパーラと並んで、今オフ補強の“目玉”と位置づけ、メジャーや日本の他球団も関心を示す中、粘り強く交渉していたという。
その球威は、被弾の少なさが証明している。サンチェスは今季、28試合に先発、165イニングを投げ、被本塁打はわずかに2本のみ。特に左中間、右中間の膨らみが小さく、本塁打が出やすいとされる東京Dを本拠に持つ巨人において、その事実が物語る価値は大きい。
今季チームトップの15勝を挙げた山口がポスティングでメジャー移籍を目指すこととなり、代役となり得るハイレベルの投手補強は急務だった。サンチェスなら山口の抜けた穴を補って余りある絶好の素材であり、菅野と共にローテの2本柱としての期待がかかる。残る4枠をメルセデス、桜井、畠、田口、高橋、戸郷らが競い合う構図となりそうだ。
巧打を誇る“サメ男”パーラ、ブラジル出身の167キロ右腕ビエイラに続き、サンチェスがこのオフ3人目の助っ人補強となる。当初はさらに、右打ちの強打者の補強も考えていたが、メジャーキャンプに参加しながら開幕ロースター漏れした選手まで視野に入れてじっくりと選定していく方針に変更したとみられ、年内の外国人補強は一区切りとなりそうだ。韓国球界からNPBの門を叩き、席巻した例はグライシンガー(ヤクルトほか)、バンデンハーク(ソフトバンク)ら複数ある。その予感が、サンチェスから漂う。
◆アンヘル・サンチェス(Angel Sanchez)1989年11月28日、ドミニカ共和国出身、30歳。10年にドジャースと契約、その後マーリンズ、レイズ、Wソックスを経て15年からパイレーツ移籍。同年、2Aと3A合計で13勝2敗で、翌年期待されるも右肘を痛めトミー・ジョン手術を受け全休。17年初昇格し10月1日、シーズン最終戦のナショナルズ戦で初勝利を挙げた。同年11月に韓国、SK入り。今季はリーグ2位の17勝、5位の防御率2.62をマークした。右投右打。185センチ86キロ。17年メジャーのデータでは、平均96マイル(約154キロ)の直球が全体の50%。