お店選びに悩む欧米人
いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。
日本に旅行に来ている外国人から「日本でどこか良いお店ない?」って聞かれたことはありますか? 最近はインバウンドで訪日外国人が増えているので、そういう経験をされたことがある人も多いのではないでしょうか。でも、色々と日本独特のシステムとかを説明するの、大変なんですよね。
特にそういう質問を受けることが多いのが、我々のような飲食店です。bar bossaでも、外国人の方がお店の目の前まで来て、外からあれこれ眺めて、やっと入ってきたかと思えば、「メニューを見せてくれ」って仰ることがよくあります。
飲食店で働いている方は「そうそう」と感じていただけると思いますが、欧米の方って結構値段にうるさいんですよね。アジアから来た方のほうが、どちらかと言えば見栄っ張りと言いますか、あまり値段は気にしてないような印象があります。
欧米の方が、この店に入ろうか入らないでおこうかって悩んでいるのって、やっぱり「金額」と「お店の雰囲気」のようなんです。それでメニューと中の雰囲気を見ていただくと、「じゃあまた」ってこともあれば、「じゃあ二人お願いします」ってこともあります。そして、金額を気にしていた割には、いったんお店に入ってからは、すごくたくさん注文していただけます。
そうなんです。欧米の方って、入店するときにはすごく金額を気にしているのに、いったん入店してしまえば「すごく上客として」振る舞われるんです。これがずっと疑問だったのですが、ある時わかりました。彼らは自分の財布の状態とお店の格がつりあっているのかどうかっていうのをすごく気にしているんです。ヨーロッパあたりでは、国によってはまだ階級社会的な要素が色濃く残っているようなんです。
だから、「このお店はテーブルクロスもあるレストランなのか、それともカジュアルにお食事ができるビストロやトラットリアなのか、それとも飲み物だけでも良いカフェやバールなのか」っていうのをお店に入る前に確認しているようなんです。それで、「ああ、ここはバールなんだ」って理解したら入店して、故郷の街角のバールでいつものワインを飲むように楽しく飲む、「ああ、ここはレストランなんだ」って理解したら、「じゃあまたいつか特別な日に」って気持ちで帰るってことのようなんです。
一方日本で、「居酒屋でお水しか頼まない」とか「イタリアンレストランでパスタしか頼まない」というのがよくネットで話題になりますよね。これって、日本は逆にまだまだ階級社会じゃないということと、「ああいうテーブルクロスがあるイタリアンでは前菜パスタメインと注文するのが普通なんだ。そんなお金がないのなら行くべきところではないんだ」と教える人がいないということなんだと思います。
言葉も文化も違う外国人をどう接客すればいいのか
僕のnoteで質問を受け付けているのですが、「外国人はどう対応すべきですか?」っていうのがたまにあるんですね。例えば、居酒屋の「お通し」で、人数分のポテトサラダを出して、それぞれ200円くらいいただくお店ってありますよね。そしたら「こんなの注文していない」って言われるそうなんですね。あるいはこれも居酒屋で、外国の方が5、6人入ってきて、みなさん「お飲物だけ」みたいなこともあるそうなんです。
これはですね、もう「イングリッシュメニュー」しかないです。実はbar bossaも以前は僕が下手な英語で身振り手振り、「このワインは」って説明していたのですが、やっぱり外国人のお客様もわからないから不安だし、どうお店を使って良いのかわからないようなんです。
それで、ある居酒屋の場合は、入り口に「この店は日本料理のビストロです。お酒やお食事をご注文していただいてお一人5000円くらいです(本当はもっと具体的に説明してます)」って英語で書いたら、すごくうまくいくようになったそうです。
そして「お通し問題」ですが、実はbar bossaも昔はお通しチャージはあったのですが、やっぱり外国人の方のあれこれが面倒くさくなってやめました。でも、もちろん、やめる必要はないと思います。お通しも日本の文化です。「ちゃんと英語で説明して、それでも嫌なら帰ってもらう」ってお店も知ってます。それで正しいと思います。
そして僕は、外国のお客様の場合は、「もし自分が外国人で日本に来たら」というのを考えてみることにしています。滞在中の飲食店での食事は数回かもしれないのに、どういうわけか色んなお店がある中、「お、このお店に入ってみようかな」と思って、扉を開けてくれたわけですよね。
やっぱり入る方も不安なんです。だから、このお店はこんなお店で、このくらいの金額でこんな物を食べられるお店だよ、もしそれで良ければどうぞ、って入ってもらって、一度入ってもらったら、「これ、日本でしか食べられないよ」ってオススメしたら、まあ注文してくれるし喜びますよね。
だって自分たちもそうじゃないですか。海外旅行に行ったらそういうお店に行きたいし、そういうお店だとたくさんお金を使っても納得できますよね。そしてそういうお店、海外旅行から帰ってきたら、「あのお店、良かった。スタッフが最高だった」っていつまでも思い出します。
せっかく日本に来てくれたんだから、できるだけ楽しんで帰ってもらいたいですよね。飲食店以外の方も、ぜひ参考にしてみてください。