帯同コーチ不在の中で、羽生が練習終盤に4回転アクセルに挑み始めると、会場中にどよめきと緊張感が走った。
いつものトリプルアクセルの跳び方ではないジャンプを跳ぼうとして、パンクを5、6度繰り返す。これはもしや、と注目していると、次の瞬間、ものすごい勢いと回転の速さで回る羽生が落ちるように転倒した。まずは、けがないかが心配されたが、大丈夫なようだった。そして、この1発で諦めるのかと思いきや、そこから4度の超大技を跳ぼうと挑み、形になりつつあったのはその内の2本。だが、いずれも4回転を回った後の半回転に行く途中でドスンと落ちるように転倒。最後の転倒からそのまま、右手袋をはぎ取って、頭をかきながらリンク中央に立って練習終了のあいさつをして、足早にリンクを後にした。