どうも、ヨウ-P(@s_y_prince)ことYO-PRINCEです!
いろんな切り口からカイゴのヒントをお届けしています!
介護は、良く考えたら当たり前のちょっとしたことでうまくいくことがあります。
多くの人が見落としがちですが、誰でもできる簡単な工夫にこそ答えがあるもんです。
例えば、重度の認知症の方にお風呂で服を脱いでもらうときに私がしているちょっとした配慮があるんですが、それは認知症の基本的な『知識』に基づいたものなんです。
というわけで、今回の記事では、私のちょっとした工夫の実践例を紹介するとともに基本的な『知識』をうまく活用するための方法を書いていきたいと思います。
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介護の答えは『基本知識』にあることが多い!?
早速ですが、私のちょっとした工夫の実践例で考えていきたいと思います。
まずは工夫前です。
ある介護士さんは、重度の認知症の利用者さんをお風呂に連れて行こうとしています。
Aさん、お風呂行きましょうか?
そうかー。
Aさん、着きましたよ。
上の服から脱いでもらっていいですか?
そんなんしたら裸になるわな(ー_ー)!!
一見ごくごく普通の声かけですよね?
お風呂に声をかけて脱衣室に来てもらって、服を脱いでもらうよう声をかける。
こんな普通の声かけで利用者さんを怒らせてしまうことがあります。
なぜAさんは怒ってしまったのでしょうか??
認知症の基本知識その1:長期記憶は保たれやすい
お風呂って言われたけど、お風呂が何のことか分かっておられないとか??
重度の認知症の方の場合、「お風呂」という簡単な言葉の理解が出来ないことは確かにありますよね。
ですが、Aさんの場合は「お風呂」の言葉の理解はできます。
認知症になっても『長期記憶』は保たれやすく、Aさんの場合はその記憶が比較的保たれていました。
Aさんにとって「お風呂」は昔から続けてこられた生活行為なのでちゃんと通ずるわけですね。
では、なぜお風呂と伝えているのに服を脱ぐことに怒ってしまわれたのでしょうか??
認知症の基本知識その2:短期記憶は失われやすい
その答えはこちらのツイートです↓
脱げる力のあるすぐ忘れちゃう重度の認知症の利用者さん
お風呂に行きましょかって言って脱衣室に来てもらってからする声かけは脱衣の促しではない今からお風呂入りましょか
もう一度お風呂であることを伝えてから脱衣を促すと脱ぐ動作に移りやすいです#介護にまつわる小さな引き出し
お風呂と言われたことを忘れてしまったからでした。
…答えは簡単ですね(^_^;)
短期記憶障害です。
認知症になると、『短期記憶』ほど失われやすいと言われています。
お風呂と言われたことなど忘れてしまったんですね。
お風呂に来ていると思っていないAさんが「服脱ぎましょうか?」って言われたらどうでしょう??
相手が女性ならどうでしょう??
往復ビンタを喰らうかもしれませんね…(-_-;)
なかなかこんなパターンはないとは思いますが、認知症のBPSDはこんなささいなことから出現することがあることを知っておきましょう!
※認知症のBPSD⇒認知症の行動・心理症状のことで、徘徊や暴力行為等のこと。以前は「問題行動」と言われていた症状です。
というわけで、この事例の対応で必要な『知識』とは、認知症の『短期記憶障害』という基本的な『知識』でした。
基本的なことなので、誰しもこの『知識』を押さえて認知症の方の対応ができているはず…。
ところが、この『基本知識』に基づく対応がなかなかできないとう落とし穴が介護にはあるのです!?
介護の『知識』は『意識』しにくい!?
Aさんがお風呂に連れて行ったあとに、脱衣を促しても脱いでくれないのは、職員の声かけが「お風呂に誘われたことを忘れてしまう」という短期記憶障害への配慮に欠けていたという単純なことが原因でした。
介護をしていると、こんな簡単なことが抜けてしまうことってよくあるんですよね(^_^;)
なぜなんでしょうか??
忙しいからと思いますよ!余裕がないんです。
本当にそうなのでしょうか?
正解の声かけを見てみましょう↓
今からお風呂に入るんで上の服から脱いでもらっていいですか?
たったこれだけの声かけです。
これができるために必要なことは実は「余裕」ではないんです。
もちろん「余裕」はあるに越したことはないですが、本当に必要なのは『知識』と『意識』なんです。
介護現場が忙しいことは間違いないのですが、実は「余裕」がないことが問題ではなくて、『知識』が『意識』できるほどに頭に落とし込めていないことが原因であることって多いんです。
『知識』が『意識』できない理由の一つは、介護の『知識』って当たり前のことすぎて「知ってるつもり」「やってるつもり」になってしまうことが多いからなんです。
実はそう言っている私も、何度も何度も「知ってるつもり」「やってるつもり」で失敗を繰り返してきました。
だって当たり前のことを『意識』するって難しいんですもん(^_^;)
それに、介護って『知識』使わなくてもうまくいくこと多いですしね…。
そうなんです!
介護の『知識』って、使わなくてもうまく対応できてしまうことが多い!
これが、『知識』を『意識』できないもう一つの理由なんです。
介護の『基本知識』を『意識』できない2つの理由
では、『知識』を『意識』できない理由を見ていきたいと思います。
この記事のなかで使っている『知識』というのは『基本知識』のことを指しています。
なので、ここからは『知識』を『基本知識』にしぼって説明していきたいと思います。
理由その1:当たり前すぎる『基本知識』には『応用』が求められる
今回の事例で言えば、必要な知識は認知症の「短期記憶障害」にあります。
ついさっきのことを忘れてしまうんです。
これって介護の仕事していない人でも分かるような知識ですよね?
本当に分かって対応できているんでしょうか?
ついさっきのこと忘れるからどうするの?
忘れるからその都度言ってあげればいいんだよ!
その都度ってどの都度?毎回毎回言うの大変やんか!?
え?…だいたい分かるやん(-_-;)
短期記憶障害があるからと言って、ことあるごとに『記憶』を補うわけではありません。
TPOに合わせて『記憶』を補うわけですが、こんな当たり前のことは多くの介護士が考えたこともないと思いますし、皆が皆TPOに合わせて的確に対応できているかと言うと、もちろんそんなことはありません。
当たり前すぎる『基本知識』は、実は深堀りすると『応用』が求められることが多いんです。
『基本知識』を実践につなげようと思えば、高度な応用技術が求められてしまう…。
「介護は臨機応変」と言われますが、その通りなのです。
だから、『意識』することが難しいんです。
ちなみに、基本知識のベースがない臨機応変はただの「めちゃくちゃ」と言います(-_-;)
理由その2:『基本知識』を使わなくてもうまくいってしまう介護
これが介護の仕事を厄介にしています(-_-;)
SNS上では「介護は誰でもできる仕事」なんて言われ方をされることがありますが、確かに素人が介護の仕事をしてうまくこなせてしまうことがあるんです。
ただ、それはその場がうまくいっているだけなんですよね。
できているように見えてしまう…。
例えば、オムツ交換であれば、尿漏れもなく過ごしてもらえ、何とかオムツ交換もできてしまっていたりするわけですが、ちゃんとできていないと皮膚トラブルにつながったり最悪の場合褥瘡につながってしまうこともあるんですよね。
オムツ交換の仕方が雑で、無駄な力で身体の向きを変えたりすることで内出血を作ってしまうようなこともあります。
実は、一見上手くいっている介護もうまくできていないことがあるのが介護なのです。
ただ、たまたま問題なく出来てしまっていることが多いものなんです。
今回の事例で言えば、脱衣室に行ってからいきなり「脱ぎましょうか。」と声をかけても問題なく脱いでもらえることもあるんです。
そうすると、経験則で「短期記憶障害への配慮は必要ない」ってなってしまいます。
恐らく無意識にそうなってしまいます。
で、時々脱ぐことへの拒否が見られたときに「短期記憶障害への配慮が欠けていた」ことが原因だったとは思えなくなってしまうんです…。
最近、Aさん機嫌悪いときない?
そんな程度で終ってしまうんですよね…。
『知識』を『意識』するのって難しいものなんです…。
ちなみに、基本知識のベース無しにたまたまうまくやれたけど後から支障が出てくる介護は「めちゃくちゃ」と言います(-_-;)
介護の『基本知識』を『意識』する方法はコレだ!
もうこの記事を読んだあなたは、『基本知識』を『意識』する方法をつかんだようなものです!
というわけで、『基本知識』を『意識』する方法はこの記事を読むことです(^_^;)
『基本知識』は深堀りするとどうしても応用技術が求められるんです!
『基本知識』を使わなくてもうまく出来てしまうことが多いんです!
『基本知識』の実践って難しいですよね…(-_-;)
『基本知識』を実践することがいかに難しいことかが分かった時点で、きっと『基本知識』への『意識』は向上しているはずです。
とはいえ、すぐには『意識』は上がりません。
今回の記事では、事例紹介した引き出しを意識することから始めてみてください。
認知症の方のついさっきのことを忘れる短期記憶障害に配慮した声かけです。
この場合に、この『基本知識』を『意識』できる具体的な方法は、こう思うことです。
「忘れているかもしれない」
声かけを失敗して利用者さんを怒らせてしまってもいいんです!
「忘れているかもしれない」という思考があれば、その時に何か「気づき」が生まれます。
その「気づき」こそが「意識」するということなのです!
まとめ
どんな仕事においても大切な『基本知識』ですが、それを『意識』して仕事をし続けるということは難しいことですよね。
介護も同じことです。
介護は、家族に介護が必要になれば誰でも担いうるものです。
そのため「誰でもできる」と思われがちですが、仕事としての介護は誰でもできるものではありません。
仕事としての介護とは、お金をもらって提供する介護のことです。
当然のことながら、『質』が問われます。
私たち介護士は、まずはもっともっと『基本知識』を自分のものとしていかなければいけないと思います。
それができれば、ちょっとしたことで介護の質は劇的に上がります!
入浴前の脱衣の事例のとおり、ちょっとした『基本知識』の『意識』で利用者さんの状態は変わるんです。
無意識に声かけを誤ってしまったことで自ら服が脱げなければ、その利用者さんは『自分で服が脱げない人』のレッテルが貼られてしまいます。
そして、その方は全介助となってしまうわけです(~_~;)
介護は、ちょっとしたことで崩れ、ちょっとしたことでよくなる!
介護にはやはり『基本知識』が必要です!
『基本知識』で介護がよくなりうるとしたら、いい介護をすることは簡単なはずです!
『仕事としての介護』は誰でもできる仕事ではないですが、誰でもできる仕事にしていくことは可能かもしれませんね!