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(八郎)グッと そう。 グッと。(喜美子)グッ…。うん。
(八郎)あんまり力入れ過ぎたらあかんで。はい。
♪~
うちの初めての湯飲み茶わんや…。
フフフフフ。 言うたらなんやけどよ天才ちゃう? なあ?
うちにもできたやん。 案外ちゃちゃっとできるもんやねんなあ。
あっ これ 素焼きして 絵付けしよか?
模様描いたりしてな? これ…。
はあ…。
はい。 もっかいな? 次は 一人で。
何度でもやるんよ。 さあ 練習 練習。
はい!はい。
♪~
♪「涙が降れば きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火 どうかここにいて」
♪「私を創る 出会いもサヨナラも」
♪~
♪「日々 恋をして 胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら 笑うのよ赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も 涙に負けるもんか」
♪~
♪「やさしい風に吹かれて」
♪「炎は再び舞い上がる」
♪~
(八郎)へえ~。 焼きもんのかけらを…。
大阪で一回調べてもろたらえらい昔のかけらや言われて。
昔て?
室町時代。
ちょっ… 見せて下さい! ああ…。
いや ええですようちも見てもらいたいです。
ほんまに きれいな色してるんです。ほな 是非!
是非。 ほやけど 今日は 遅いから…。ああ まあ そうですね…。
(2人)明日!
(笑い声)
是非 明日 日曜やし 見に来て下さい。はい。
♪~
(戸が開く音)ただいま~。
こちらです どうぞ。失礼します。
(マツ)お帰り どこ行ってたん?迎えに行っててん。
十代田さんや。初めまして。
十代田さん?十代田八郎いいます。
ちょっと待ってて下さいすぐ持ってきます。はい。
あれ お父ちゃんは?百合子も出かけたん?
うん 大野雑貨店が店じまいするんよ。聞いてる。
在庫処分が今日までや言うてお父ちゃん慌てて百合子連れて見に行ったわ。
何か 買うてくるつもりやろか。あ… あの…?
そやし 言うたやん陶芸を勉強させてもらうて。
えっ? えっ こんな若い人…。
娘が お世話になっております。あ… いえいえいえ!
あっ 手紙書いてたん?うん 直子にな。
どうぞ お上がり下さい狭いとこですけど 今 お茶でも…。
あっ いやいやいやすぐ おいとましますんで お気遣いなく。
あ… そうですか?はい。 あの… 直子さんて?
東京におる娘です。 言うてませんか?喜美子は3人姉妹の長女です。
あっ そうなんですか。八郎さんは… 8人きょうだい?
えっ 何で!当たった?
あっ うちもきょうだい多て上に5人おっていっつも ほったらかされてました。
ああ 分かります。せやのに 結婚の時だけ親が出てきてどこの馬の骨とも分からん男はあかん言われて泣きながら家を飛び出しました。
(笑い声)何の話 してんねん!?
恥ずかしい。しかも うちも聞いたことない話やん。
言うたことないもん。もうやめてや。
すんません。いえ すいません。
これです 言うてたかけら。何?
拾たんよ 大阪行く前に。あの…。はい。
手ぇ洗ってもよろしいですか?あっ…。
大事な… 川原さんの大事にしていたかけらやて聞いたんで。
あ… どうぞ。お借りします。
それを見に来はったん? どこで拾たん?
夕日のきれいに見える所で…一人で大阪行くのになこれを連れてってん。
ほんで自分の部屋に 大事に置いてた…。初めて聞いた。
ほんで大事に持って帰ってきたんよ…。
お父ちゃんに見つかったら何や このがらくた言われるししまっといてん。すみません。
ほな 見させて頂きます。はい。
うわあ… ほんまに きれいやわ…。
室町時代のもんや言うてたけどほんまかな?
いや どうやろ…見たことない色や…。 うん?
どうやって…なにで こんな色出したんやろ…?
室町時代にも釉薬ってあったん?
昔の釉薬使ったらこんなんなったんちゃいます?
いや… これ そういうの一切 使てないわ。
一切? 使てないの?
何にも使てない。 すいません。
これは 焼いただけや…。焼いただけで こんな きれいな色出るん?
その当時の土と… 空気と水と…。
焼き加減か…。
炎の力?せやな。 二度と出えへん 自然の色や。
自然の色…。
うん。 貴重や。
へえ~! ほな 大事に持っときます。うん。
あの… もっかい ええ?
あっ はい。
はあ うわ… ほんまに不思議やわあ。
あの… やっぱり お茶いれますよって向こう座って ゆっくりお話ししたら?
あっ いや 結構です もう帰ります。
今日は 夕方から あれなんで…お見合い大作戦。
あっ…。(マツ)えっ。忘れてた。
参加しはるんですか?はい。
信作に頼まれてな。あら 頼まれて?
せやけど 今はええ人に出会えたらええな思てます。
(八郎)お邪魔しました。ほんま 突然すみませんでした。
(マツ)いえ…ほなまた よろしゅうお願いします。
(八郎)失礼します。
喜美子?
気ぃ付けて さいなら。
さいなら。
ほな…。
ほな。
♪~
喜美子は どないすんの?お見合い大作戦。
顔だけ出す言うてたやん着ていくもんあんのん?
お父ちゃんも今日やいうこと忘れてるんかいな。
忘れてるわけないなあ今 戻ってきたら うるさいで。
それにしても 八郎さん感じのええ人やった。
あんな人やったら お見合い大作戦ですぐに合う人 見つかるやろなあ…。
♪~
十代田さん!
これ…。あ… わざわざ そんな…すいません。
あんな…。
あんな…?
一回しか言わへん。
お見合い大作戦 行かんといて下さい。
えっ。行かんといて!何…。
好きや!
好きやねん うち あんたのこと!
どう考えても よう考えても 好きやった!
あんな…?あの!あ… いや…どうぞ。
あんな? ほやけど うち…草間さんいう人がいてな?
柔道教えてくれてた。え… ちょっ… ちょっと待って?
そういう人いてはるんやったら…。ちゃう! ちゃうちゃう ちゃうねん。
草間さんな 奥さんを捜しててん。
うん。ずっと信じて捜してたんやけど…奥さん ほかの人と暮らしててん。
分かる?分かる…。
そん時 思てん。
結婚しててもこういうことがあるんやなぁて。
手をつなぐことより難しいことがあるんやなぁて。
手をつなぐことより 難しいこと…。
ほやから うち 結婚とか…。
離さへん。
僕は ずっと離さへん。
離しません。
抱き…。
だき?
抱き寄せてもええですか?
あかん!何で?
泣くわ!何で!
好きやから!
アハッ…。
♪~
あかん…。
あかん。
えっ…。
♪~
そんな片手間でできるんやったらみんな陶芸家になってるわ!
駆け落ちしたんちゃうか言うとんねん!燃えたぎるん? 気色悪ぅ。
ええ話やなあ。
もう やっぱり陣痛やんか!
頑張りぃ~!
一緒に夢を見させて下さい。
帰さんといて。