来年(2020年)の9月から、マイナンバーカードを利用してキャッシュレス決済を行う人に対して、25%のポイント還元を行う制度の実施が検討されています。少し気が早いようですが、どのような内容かみておきましょう。
今年10月1日、消費税率が8%から10%に引き上げられました。これと同時に、消費税率引き上げによる消費の冷え込みを緩和することや、キャッシュレス決済の普及、中小企業への支援などの目的で「キャッシュレス・ポイント還元事業」がスタートしています。中小企業を中心とする還元事業の対象店舗で、対象となるキャッシュレス決済を利用して支払いをすると2%か5%のポイントの還元が受けられる内容です。
この事業は来年の6月までの予定で、これが終わると、7~8月には東京オリンピックがあり、消費の下支え効果が期待されています。9月からマイナンバーカードを活用して、キャッシュレス決済を行う人に対して25%の還元を行うことが検討されているのは、オリンピックが終了して「景気の崖」が心配されるという背景があります。
マイナンバーカードを使ったポイント制度というと、2年前の17年9月からスタートしている「自治体ポイント」が既にあります。航空会社のマイレージやクレジットカードのポイントを自治体ポイントに換え、地域の特産品などが購入できる電子商取引(EC)サイトでの利用や、自治体と提携をした店舗での購入代金などに利用することができます。
しかし、民間企業で実施している共通ポイントほど利用範囲は広くなく、「誰でも使いやすい」状況とはいえないでしょう。
現在発表されている範囲では、来年9月から始まる「マイナポイント」は「自治体ポイント」とは違う仕組みになりそうです。
交通系ICカードや○○Payなど、主に事前にチャージをして使う支払い手段において、チャージした金額に最大25%分のマイナポイントが上乗せされ、買い物で使えるようになる見込みです。例えばSuicaに2万円のチャージを行うと、2万5000円分のお買い物ができるようになるイメージです。
マイナポイント制度を利用できる人や、実際の還元率、利用できる店舗などの詳細はこれから決まっていく予定ですが、便利で簡単に利用できるようであれば、使えるように準備をしておく方が家計にとっては有利でしょう。
マイナポイントによる最大25%の還元を受けるためには、マイナンバーカードを取得し、専用のIDである「マイキーID」を設定する必要があります。マイナンバーカードの発行には、通常でも1カ月程度かかります。マイナポイント事業の詳細が決まり、実施日が近づくと、発行に時間がかかるようになる事態も想定されます。制度を利用するつもりがある人は、早めにマイナンバーカードを取得し、マイキーIDを登録しておくのがよさそうです。
マイナンバーカードの発行率は14.3%と高くありません。しかし、マイナンバーカードを取得しなくても、マイナンバー自体は既に国民全員に割り振られていることを考えると、カードを取得し、恩恵を受けられる方がよいのかもしれません。
マイナンバーカードを取得すると、インターネットの「マイナポータル」で児童手当の申請などを中心に、一部の手続きについては、役所の窓口に足を運ばなくてもサイト上で済ませられるようになっています。また、従来、住基カードで行うことができていたコンビニでの住民票発行サービスや、確定申告の電子申告などにも利用できるので便利になる人も多そうです。
2021年からはマイナンバーカードを健康保険証として使えるようにすることも検討されていて、使える範囲が広がる可能性があります。
スケジュールに余裕をもって、マイナンバーカードの発行・取得の準備をして、便利とお得の両方を獲得できるとうれしいですね。
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