★★★ Excellent!!!
お嬢様キャラの口調に目をつぶれば楽しめる佳作 彩の国さいたま
板野氏を長らく観察している私からすると、この作品はまさに板野氏の集大成という感じがする。氏がこれまでに諸々の企画で執筆してきた短編が、作中作として巧みに取り込まれ、物語を彩っている。未熟な主人公が紫子の導きで小説の世界へ足を踏み入れていく過程も自然で、従来の板野氏の作品と比べても心情の変化が上手く描けている。
惜しむらくは、以前から指摘されていることだが、お嬢様風のキャラの口調がワンパターンすぎることだろう。異世界ファンタジーならまだしも、親が金持ちだからといって「わたくしは~ですわ!」などという喋り方をする女子は現実の日本には居ない。レイナの口調だけが作品から浮いている。キャラは口調で特徴付けるのではなく描写や言動で特徴付けるべき。
最後に、板野氏は怪しげな星を見抜いて削除する目をもっと磨かれるべきである。