新田哲史
大阪都構想が実現すれば、10年間で「1・1兆円の財政効率化効果がある」とする大阪府と大阪市の試算に対して、一部識者から異論が出ている。自治体の人口規模と歳出に関する一つの学説をめぐり「解釈が誤っている」との指摘だ。「正しい理解に従えば財政効果は乏しくなる」という。
試算は府と市が学校法人・嘉悦学園(東京都江東区)に委託。昨年7月に結果を公表した。住民1人あたりの歳出額は、自治体の人口が大きくなればなるほどスケールメリットが働いて減るが、ある一定の規模を超えると支出が増えて「U字形」になるという学説を根拠とした。
全国の市町村の決算と人口の関係から、1人あたりの歳出が最少となる人口は約50万人と推算。人口約270万人の大阪市を約60万~75万人の4特別区に再編すれば、1人あたりの歳出額は同規模の自治体並みに約8%効率化され、年最大1140億円の歳出を削減できると結論づけた。歳出額全体の比較に基づく試算のため、どの項目の歳出を減らすことができるかについては言及していない。
試算した嘉悦大学の真鍋雅史教…
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