今、最も注目の経営者といえば、この男を置いてほかにない。ソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏だ。中間決算で大赤字を発表するも、委縮する気はさらさらない。AI(人工知能)世界の主導権を握るため、ひた走る。孫氏へのインタビューで、事業家の精神に迫った。
AI時代の新ヒーローは誰か 2代目は自らを追い込め
起業家は事を起こし、事業家は事を成す。経営者は事を治める。かつて、そう聞きました。
起業家は、ある種クレイジーでなきゃいけないんですよね。今まで存在していないことを生み出す、一般の人々が考えないことを考える。そういう意味では、やや一般からずれた人が、起業家に向いていると思うんですね。
破天荒な言動が問題となり、自ら立ち上げた会社を追われる起業家も多い。そういう人たちはちょっとクレイジー過ぎたと。
みんなクレイジーなんです。やはり普通の人と違う。そのクレイジーさが、「事を成す」ところまでたどり着かずに終わる場合もあるわけです。でも、起業家としては立派な役割を果たしている。
スティーブ・ジョブズも若い頃は、クレイジーさゆえにアップルを追い出されたりもしたわけですよね。でも、もう一度戻ってきて立派に「事を成した」。クレイジーな「起業家」が「事業家」に生まれ変わった瞬間です。苦労を体験して、自分の思いがあるからできた。
言うこともむちゃくちゃだし、行動することもむちゃくちゃだし。でも最初は、むちゃくちゃだっていうぐらいじゃないとね。
そもそも何も始まらない。
常識を覆すような発想は、むちゃくちゃくらいでないと、なかなか出ないと思うんですよね。アーティストのようなものです。ロックミュージシャンだったりね。
僕が彼らを大好きだと思うのは、アーティスト的な素晴らしさがあるからです。新しいものをクリエイトしている。クリエイティビティーですよね。そこを僕は高く評価するし、尊敬する。
ソフトバンク・ビジョン・ファンドでは、これまで約90社に投資していますけれども(2019年11月6日現在)、創業者は皆、ある種の狂気を持っています。その中でもユニコーンレベルにまで成長させるのは、突破力を持っている連中です。そういう連中が1ビリオン(10億ドル)を超える企業価値、つまりユニコーンになる。
コメント3件
GK2
一般
今どきのベンチャー起業家は、サスティナブルな経営より自身のアーリーリタイヤを意識していると聞きました。新サービスを興し、いいところで大企業に売って悠々自適、がゴールだと。
でも、そんな十露盤高い意識だと狂気になり切れず、ユニコーン化は遠いの
かもしれませんね。...続きを読む興した企業を売ってもそこで落ち着かず、別の新しい事業を始めてしまうなんてパターンの起業家もいますが、こういう人たちはどうなんでしょう。起業のスリルに憑りつかれてる、という感じがしないでもないですが。
松下芳生
JPスタイル研究所 代表:日経ビジネスオープン編集会議「ティールってなに?」メンバー
IPOゴール(IPO条件から逆算する)起業家と崖から何度も飛び降りる起業家には決定的な差があることを再認識しました。
優良可
クレージーなら何でもいいわけじゃないだろ?w
WeWorkみたいな、モノホンのクレージーは病気だぞ?
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