この記事はVim Advent Calendar 2019の6日目の記事です。
今年の4月にv8.1.1228でtagfuncという機能が追加されました。
こちらは:tagや:tselectなどのタグ系コマンド*1を実行した時、tagsファイルを検索する代わりに呼ばれる関数を設定するためのオプションです。
設定する関数の形式としては次のようなものです。
" pattern: タグ検索中に使用されたタグ識別子 " flags: 関数の挙動を制御するためのフラグのリスト " 'c' -> ノーマルモードのコマンドで呼び出された " 'i' -> インサートモードのタグ補完で呼び出された " info: 以下の情報を持つ辞書 " { " 'buf_ffname': 'フルファイル名', " 'user_data': 'カスタムデータ文字列', " } function! MyTagFunc(pattern, flags, info) " タグ情報のリストを返す " もしくはv:nullを返すとtagsファイルが使われる return [ \ { \ 'name': 'タグ名', \ 'filename': 'タグが定義されているファイル名', \ 'cmd': 'ファイル内のタグを見つけるためのExコマンド', \ 'kind': 'タグの種類(Optional)', \ 'user_data': 'カスタムデータ文字列(Optional)', \ }, \] endfunction
ヘルプにはtaglist()の結果を並べ替える関数が例として記載されていますが、LSPを使ってタグ情報のリストを生成できればタグジャンプがすごく便利になりそうです。
VimConf 2019ではsettagstack()を使ってタグスタックを直接操作する方法を紹介しましたが、こちらは、
- タグ系のコマンドを使うために、
- キーマップの変更が必須
- Exコマンドはユーザ定義コマンドを定義する必要がある
- Vim scriptでタグスタックの管理をしなければならない
といったものでした。
これに対し、tagfuncはオプションを設定するだけで、
- 標準のキーマップ、Exコマンドがそのまま使える
- タグ補完の時にも使える
- タグスタックの管理をVim本体に任せられる
と、すごく良さそうです。
試しに任意の文字列で検索するworkspace/symbolをvim-lspから呼び出してみます。
function! MyTagFunc(pattern, flags, info) abort let l:servers = filter(lsp#get_whitelisted_servers(), \ 'lsp#capabilities#has_workspace_symbol_provider(v:val)') if len(l:servers) == 0 echoerr 'not supported: workspace/symbol' return [] endif " タグ補完の場合はa:patternの先頭に \< がつくので削除する " (サーバ側が正規表現に対応していないかもしれないので...) let l:query = a:flags =~# 'i' ? \ substitute(a:pattern, '^\\<', '', '') : a:pattern let l:ctx = {'result': []} for l:server in l:servers call lsp#send_request(l:server, { \ 'method': 'workspace/symbol', \ 'params': { \ 'query': l:query, \ }, \ 'sync': 1, \ 'on_notification': function('s:make_taglist', [l:ctx]), \ }) endfor return l:ctx.result endfunction " ctx.resultにタグ情報を追加する func s:make_taglist(ctx, data) abort for result in a:data.response.result call add(a:ctx.result, { \ 'name': result.name, \ 'filename': lsp#utils#uri_to_path(result.location.uri), \ 'cmd': string(result.location.range.start.line + 1), \ }) endfor endfunction
上記関数をset tagfunc=MyTagFuncで設定すると、ctagsとほぼ同じ使い勝手のタグジャンプができるようになります。
ただ、workspace/symbolはtextDocument/definitionなどのようなカーソル位置を起点に対象を探すメソッドとは異なり、100%目当ての場所にジャンプできるとは限りません。
確実にジャンプしたい時はtextDocument/definitionを呼べるような実装にできれば良いのですが、MyTagFuncの引数からだと、それがExコマンドの引数に指定したタグ名なのか、カーソル位置のキーワードなのかを判別できないので、メソッドの呼び分けをするのは非常に困難です。
そのため、tagfuncに設定する関数で全部をやるのではなく、
CTRL-]とCTRL-W ]はtextDocument/definition*2を呼ぶ- 定義元にジャンプしたい
- それ以外は
tagfuncからworkspace/symbolを呼ぶ- 同名の別メソッド/関数やインタフェースの実体などを探したい
というように、用途に応じて使い分けるのがオススメです!
結局settagstack()とtagfuncを両方使うことに。。。
そして一番利用頻度の高いgoplsがworkspace/symbolに対応していないのでまだ常用できていません。。。