三重県議会 病院のBCP策定3割 4年間で全院目指す

三重県議会11月定例月会議は三日、山本佐知子(自民党県議団、一期、桑名市・桑名郡選出)、長田隆尚(草莽、四期、亀山市)、廣耕太郎(新政みえ、二期、伊勢市)、山崎博(自民党県議団、一期、四日市市)の四議員が一般質問した。県当局は、災害時の早期復旧に向けた対応をまとめたBCP(事業継続計画)を策定した県内の病院が全体の三割ほどにとどまっていることを明らかにした。病院のBCP策定に特化した指針をまとめ、研修会などを通じて策定を呼び掛ける考え。今後四年間で全ての病院での策定を目指す。
■RDF総括の時期は ― 山本 佐知子議員(自民党県議団)
9月で発電を終了した桑名市多度町の三重ごみ固形燃料(RDF)発電所の最終的な総括をまとめる時期を尋ねた。県企業庁は「全ての事業が終了した際に総括する」とし、具体的な時期には明言しなかった。

【災害情報】
山本議員 災害情報を発信する県のホームページを四人に一人が認知しているというが、肌感覚として周囲で話題に上がったことはない。スマートフォンやSNSを使えない高齢者も多い。高齢者にどう災害情報を提供するか。

日沖防災対策部長 ラインやツイッターによる発信では、分かりやすい表現を使うようにしている。9月には、高齢者の避難支援にAIアシスタントを活用した実証実験を全国で初めて実施した。高齢者の避難行動を促進できる分かりやすい情報提供を検討する。

【RDF】
山本議員 平成15年の爆発事故によって二人の尊い命が奪われた三重RDF発電所は、9月17日をもって発電を終了した。今後は施設の撤去作業が進められるが、ロードマップや最終的に総括をまとめる時期は。

山神企業庁長 12月下旬に送電線を切り離し、電気事業法に基づく報告書を中部近畿産業保安監督部に提出する。これをもって発電所が廃止される。周辺環境や安全対策に配慮して施設の撤去を進める。全ての事業が終了した際に事業を総括する。
■リニア開業の遅れ懸念 ― 長田 隆尚議員(草莽)
リニア中央新幹線の東京―名古屋間の建設で、南アルプストンネル工事の静岡工区が着工できていないため、開業の遅れを懸念。知事は「開業は早まりこそすれ、遅れてはならない」と強調し、国に調整を要望したと説明した。

【リニア中央新幹線】
長田議員 リニア中央新幹線の東京―名古屋間のうち、静岡工区の約九キロにいまだに着工できていない。令和九年の開業時期が危ぶまれているが、知事はどう考えるか。

知事 早期建設と県内への停車駅の設置に向けて半世紀もの間、地道に要望活動してきた。中間駅ができることによりもたらされる効果は爆発的で、この上もないチャンス。静岡工区はトンネル掘削工事の着手に至っていない。着実に事業が進捗(しんちょく)するようJR東海にできる限り協力したい。

【公共交通】
長田議員 公共交通を取り巻く環境は厳しさが増している。国から地方公共団体が再構築するという方向性が示され、「地域公共交通網形成計画」が策定できるようになったが、県内では市町単位の計画となっている。県が広域計画を主体的に作成できないか。

大西地域連携部長 国では都道府県と複数市町村との広域計画の策定について、さらなる連携の必要性が議論されている。県としては、引き続き国の検討状況を注視するとともに、広域的な計画に取り組む他府県の事例を研究し、適切に対応する。
■停電対策の樹木伐採は ― 廣 耕太郎議員(新政みえ)
電線の周辺にある樹木の事前伐採に向け、県が年度内にも電力会社と結ぶ協定の内容を尋ねた。県は事前伐採に加え、災害時に県管理道路上での倒木を早急に除去するための協定も結ぶ考えを示した。

【停電対策】
廣議員 9月の台風15号によって、千葉県内では93万5千軒で停電が発生し、全て復旧するのに二週間以上を要した。三重で起こったらどうなるか。県は停電対策で年度内にも電力会社と協定を締結する予定だが、その内容は。

日沖防災対策部長 千葉県では道路が寸断して現場到着が遅れ、停電の復旧が妨げられた。このため、事前の伐採に加え、電力設備に近い県管理道路の倒木などを早急に除去できる協定を結びたい。中部電力や関西電力と事業負担の割合などを協議している。

【事業継続計画】
廣議員 災害時でも適切な対応ができるよう、あらかじめBCP(事業継続計画)を作っておくことが重要だと考える。県内で指定されている災害拠点病院の策定状況は。また、災害拠点病院以外での病院ではどうか。

福井医療保健部長 県内の病院全てでBCPを策定することが重要だが、県内で策定した病院は93のうち30にとどまる。策定にはノウハウが必要で中小の病院は負担が大きい。策定に向けた指針をまとめ、地域別の研修会も実施して策定を促したい。
■松阪球場に電光掲示板を ― 山崎 博議員(自民党県議団)
県営松阪野球場のスコアボードを電光掲示板に変えるよう要望。県当局は来年度当初予算編成に向けて予算を要望していると説明し、知事は「私のほうからも指示しているので財政当局で議論されると思う」と述べるにとどめた。

【県営松阪野球場】
山崎議員 松阪野球場のスコアボードはいまだに子どもたちが得点ボードを入れている。屋根がなく、照明もない。三重とこわか国体では軟式野球の会場となる。どのように整備するのか。

辻国体・全国障害者スポーツ大会局長 競技団体の視察を受けた結果、大規模な改修を要する指摘事項はなく、必要最小限の補修にとどめてきた。各地の球場が優れた設備を備えている現状と比較すれば確かに見劣りすることは否めない。スコアボードについては来年度当初予算編成に向けて予算要望している。

【キャプティブ】
山崎議員 リスクマネジメントの一つである「キャプティブ」を紹介する。特定の企業やグループのリスクを専属的に受けるために設立される保険会社のこと。リスクマネジメントについて県の考えを聞きたい。

村上雇用経済部長 中小企業・小規模企業のリスクファイナンス対策としての主要な保険としては、火災保険や休業保険が中心となっている。今後、自社の保険を引き受けるために子会社を設置する「キャプティブ」のような新しい保険の形態についても研究する。
<記者席 ― リニア巡る発言の火種尽きず>
○…長田議員は三重、静岡の両県知事が停車駅を巡って「言った言わない」の論争を繰り広げたリニア中央新幹線について質問するも、「静岡工区に着工できていない」と述べるにとどめた。

○…停車駅に名の上がる亀山市選出の長田議員。あえて駅論争には触れず配慮したか。と思いきや、「京都市を通ることはほぼないと思う」とずばりルートを予想。リニアを巡る発言の火種は尽きまじ。

○…マラソンの練習と被災地のボランティアで「全治不明の半月板損傷」という廣議員は、つえをつきながらの登壇。「走れコウタロー」をもじって「走れない耕太郎」と自己紹介し、笑いを誘った。

○…「皆さんから『無理すんなよ』という温かい言葉をいただいた」としつつも「奥野議員には『酒飲んでやらかしたんやろ』と言われた」というネタを披露すると、議場の心配は大爆笑に変わった。

○…気をよくしたか、続けて「いろいろ反省することが、去年から」と、フェイスブックに「マスゴミ」と投稿した自らの問題をにおわせる発言も。むしろ、心配なのは「脚」ではなく「口」の方だ。