子どもにゲームやYouTubeを見せるなどどこまでやらせていいのか……。それは、デジタルデバイスが氾濫する中、多くの親に共通する悩みだ。だが、「ゲームこそ子育てに最強」と主張する人物がいる。
急成長中のeスポーツ業界をけん引するウェルプレイドの谷田優也CEOだ。ウェブディレクターの妻と4歳の息子の3人でゲーム三昧の生活を送る谷田氏に、自らの子育てを実践するゲームとの関わり方について聞いた。(後編は12月10日公開予定)
1982年東京都生まれ。2010年に角川コンテンツゲートに入社。IPデジタルコンテンツのプロデューサーを務めた後、13年よりマーベラスでアジア圏向けスマートフォンのゲームアプリをプロデュースする。2015年11月にウェルプレイドを設立。eスポーツのイベント企画運営、プレーヤーのマネジメントや活動支援、eスポーツ関連のコンサルティングなどを展開する。18年に、戦略シミュレーションゲーム「クラッシュ・オブ・クラン」の日本初公認リーグを開催。イオン系劇場でのパブリックビューイングや、オフラインイベント「ウェルプレイドフェスティバル」を開催。東京都在住。ウェブディレクターの妻、4歳の長男と3人暮らし。(取材日/2019年11月11日、写真:鈴木愛子)
次世代産業として注目される分野の一つが「eスポーツ」。一方で、「ゲームをどう子育てに取り入れていくか」は、親たちにとって身近かつ関心が高いテーマです。根っからのゲーム好きであり、eスポーツ事業をけん引する谷田さんがどんな子育てを実践しているか、聞かせてください。お子さんは今、おいくつですか。
谷田優也氏(以下、谷田):4歳の男の子を育てています。妻はウェブディレクターで、ウェブサイトやLINEスタンプの人気キャラクターのグッズ開発などを手掛けています。企業数社に出勤していて、僕よりずっと忙しそうです。
出会いのきっかけですか? ツイッターのオフ会です。京王線沿線に住んでいる人たちのコミュニティーのオフ会に行ってみたときに、真向かいに座った人が彼女だったんです。もう9年前のことで、僕は角川グループでウェブディレクターをやっていた頃。
その後、個人活動としてゲームのパブリックビューイング・イベントなどを手掛ける中で、「野球やサッカーと同じように、ゲームのプレーヤーが誇らしく生きられる社会を作りたい」という思いを強めて、4年前に起業しました。子どもが生まれた数カ月後のことだったので、妻からは「正気か」と言われましたけれど(笑)。
それだけご多忙な共働き夫婦だと、子育ての分担もハードになりそうです。例えば、毎日の保育園のお迎えはどちらが?
谷田:お迎えは基本的に妻がやってくれています。妻は出産を機に「これからしばらくは、子育てにプライオリティーを置く生活を選びたい」と言って、会社員からフリーランスへと働き方を変えたんです。週に2日は在宅で働き、残りの日も早めに帰宅するようにして、保育園のお迎えに無理なく間に合うワークスタイルに変えたんです。
代わりに僕は朝の送り担当になりました。妻が作ってくれたご飯を子どもに食べさせて、着替えさせて、保育園グッズを全部まとめて持って保育園まで連れて行って……という一連の流れを週5日やっています。といっても、うちは11時始業なので、そんなに慌ただしくないですよ。もともとゲーム業界は夜型で、当社でも「eスポーツ番組を夜に生放送する」といった仕事もよくあるので、全体的に勤務時間帯は世間一般よりも後ろ倒しになります。
そのほうがむしろヘルシーで、結果的に保育園の送りとも両立しやすくなっているんです。逆に妻は早めに仕事を上がるから、夜時間帯の子育てはほぼ妻に。シフト制で分担している感覚に近いです。
毎朝保育園に行っていると、他の保護者とも交流が生まれそうですね。
谷田:そうですね。結構、子どもたちも覚えてくれて。最近は、パパ同士の付き合いが楽しくなってきました。親子で参加できるイベントに顔を出しているうちに、声をかけ合える関係が生まれて、パパだけで飲みに行くようになりました。
保育園で知り合う親同士って業種も全然違って、話すと面白いんですよね。SNS(交流サイト)を通じて、趣味や関心が同じ人たちとつながることは簡単な時代だから、「ただ住んでいる地域が同じだけの親同士の交流」がかえって新鮮というか。
銀行勤めの人が「住宅ローンの審査が通るメカニズム」を教えてくれるなど、普段聞けない話で盛り上がっています。僕はやっぱり「デジタルデバイスに触れさせるタイミングはいつごろがいいのか」と聞かれることが多いですね。
コメント10件
GK2
一般
ガムとゲームは、過去と最近でその立ち位置が大きく変わった二大アイテムだと思います。
片や、虫歯の原因から虫歯予防に。
片や、一人遊びから交流手段のひとつに。
BANDIT
こういう記事を読むと、いい時代になったなぁ。と思います。
で、こういう子育てができる家族を見て、出来ない家族の方々はどう思うのでしょうね。
アラフィフさん
この記事を読んでも、ゲーム脳とかよく解らない宗教用語を用いるTVゲーム嫌いのお母さんたちには響かないでしょうね。TVゲーム嫌いは信仰だから。
その手の母親にとっては、わが子のできが悪い理由はゲームでもスマホでも漫画でも、父親の教育への無関
心でも構わないのです。
...続きを読む(元ゲーマーの私は、子供たちにゲームの存在を教えた悪魔だそうです。)
ただの人
ゲームに限らず得たものを自分なりにどう取り込んでいくのか、というこではないでしょうか。
記事内に出てくるゲームは(お子さんの年齢がまだ低いこともあり)平和なようですが、正直あの界隈も少し足を踏み入れれば「勝てばよい」「勝者が正義」がまかり通
る世界です。...続きを読むかつゲームバランスへの依存も大きく、オーバースペックなキャラクターやアイテムを使えば勝てる=「勝ちたいなら○○を使え、使わないのに勝てないと文句を言うな」という強者の理論が幅を利かせています。
それは我々が少々うんざりしているいわゆる世間とあまり変わりがなく、むしろ固定化しがちな勝ち筋と絶対的な勝ち負けが出てしまう分、世間よりも負けた側に人権なしという点ではさらに厳しく排他的といっても過言ではないと思っています。
決してゲームの否定をしたいわけではなく、蔓延するそういった空気をどう捉え自分なりにどう落とし込むのか。それは子どものころから「ゲーム的世界、倫理観」ばかりで構成された価値観ではうまく行くようには思えません。かといって「じゃあ他に何をやっておけばいいの?それを教えてよ」という話でもないでしょうし、ゲームを他の単語に置き換えても同じことだと思います。
今回の記事はタイトルからすると「ゲーム=悪ではない」という印象が強いですが、本文を読めばかつての知育玩具がゲーム(デジタル)に置き換わった、くらいの内容ではないかと感じました。
ただし、そのデジタルに拒否反応を起こす人たちが未だ多いという点で、アウェイ感が強くなりがちなのでしょう。
ぱりんちょ
統計データでは、やりすぎは明らかに成績が悪くなっています。このコラム主はゲーム中毒になる子供が増えれば増えるほど儲かるはずですのでそのバイアスを割り引いて考えないといけません。
また私の知人の何人かは対外的には彼と同じような発言をしています
が、自分の子どもにはある程度の年齢になるまで触らせません。中毒性が強いこと、成長にマイナスになることを知っているからです。...続きを読むコメント機能はリゾーム登録いただいた日経ビジネス電子版会員の方のみお使いいただけます詳細
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