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草間さんに連れられ東京で働いていた直子が休みを取って帰ってきました。
仕事で　つらいことがあるのだと思っていたのですが…。
（直子）お代わり。（喜美子）よう食べんなあ？
そうではありませんでした。
♪～
♪「涙が降れば　きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火　どうかここにいて」
♪「私を創る　出会いもサヨナラも」
♪～
♪「日々　恋をして　胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら　笑うのよ赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も　涙に負けるもんか」
♪～
♪「やさしい風に吹かれて」
♪「炎は再び舞い上がる」
ほな　お父ちゃんら帰ってくる前に聞いてえや　うちの話。
うん　聞くよ。　どないしたん？
（百合子）どないしたん？
うん？行け言うてる。
どこに？どこやないわ。　向こう行っとけ。
何で？うちかて直姉ちゃんのこと心配して…。
子どもは　向こう行っとけ。もう子どもやないわ！
子どもや！向こう行っとけ言うてんのじゃ！
子どもやないよ。向こう行っとき？
百合子に言うたかて分からん話や。
どないしたん？
言うてごらん？
（マツ）えっ…　えっ？
いや…　喜美子姉ちゃんも向こう行っててくれる？
何で。いや　男と女の痴情のもつれや。
分からんやろ。
喜美子姉ちゃんに言うても分からんやろ？
分かんのけ！？　そういう話！
♪～
直子は好きな人ができたという話をしました。
たばこ臭くてな近くに来ると　すぐ分かんねん。
あっ　牛田が来た　いうてな。
最初は　うっとうしかったけど洗濯機の組み立ての工程がうち　なかなか覚えられへんかってん。
ほしたら　根気よう教えてくれてな…。
新人指導係やもんなあ。
うまくできるようになるまでつきっきりで教えてくれて…。
新人指導係やもん。
うまくできたらようやった言うて褒めてくれて。
うん　新人指導係やし。
お母ちゃん映画に誘われたんは　うちだけや。
・（直子）休みの日に行くとこなくて　ごろごろしてたら…名画座にかかってた昔の映画誘ってくれた。
・（直子）つまらへんから　寝てしもた。
牛田さんの肩にもたれて…。
目ぇ覚めたら　牛田さんがうちの顔　のぞき込んだからうちも見つめ返したったわ。
ほんで　牛田さんのここんとこにチューしてやった。
・（直子）牛田さん　びっくりしてやったわ。・（マツ）そう…。
うち　分かってんねん。
牛田さん　彼女がおんねん。
うちのこと　妹みたいにしか思てへん。
・（直子）ほやけど　うち…。
好きになってしもてん…。
・（直子）お父ちゃんには　言わんといて。草間さんにも言えんかった。
誰かに言うたらませたガキや言われて　ばかにされるし。
・（マツ）誰かに　ませてるて言われたん。
ませたガキや言われてばかにされたん？
・（マツ）ほんで　腹立てて電報３通も送ってきたん…。
♪～
好きな人ができるいうんは自然なことやで？
お母ちゃんに言わしたら直子は正直もんや。
・（マツ）自分のことを　よう分かってる。自分の中の好きいう気持ちに気ぃ付いて好きいう気持ちを大切にしたんやな？
♪～
はあ！　はあ…　話　して　すっきりした。
フフッ　そうか。うん。
もうええ　東京戻るわ！
ええ！？
（笑い声）
♪～
（草間）ハハハハハッ。（常治）ちゃんと　しまっとく…。
しまって下さい。おう。　…痛っ。ええ！？
（笑い声）
僕　台湾に行くんです。ああ　台湾な。
ええ。　今度は　貿易の仕事で。
日本をたつ前にもう一度　信楽に来たかったんです。
なので　今回の直子ちゃんの件がいいきっかけになりました。
ちょっ…。ありがとうございました。
ちょい…　酔い…　酔いさめたわ…。
た…　台湾？はい。
あ～　えらい遠いとこ…。
あの…　ほんだら　あのその　台湾行く前に喜美子の…　絵付け火鉢見たってもらえませんか？
喜美ちゃんがデザインしたっていう。そう。
あいつ　頑張っとんです。せやから　あの…　見たって下さい。
頼みます。
これです。　これが　うちの絵付け火鉢。
ふ～ん…。
これが…。
草間さん？あっ　ごめん。
想像してたのと　ちょっと…　何て言うのいわゆる　絵を描いているのかと。
あ～　前に草間さんに見せたみたいな？そう。
ああ。　ああいういわゆる絵を描くんも好きやけどこういう模様みたいな絵柄を作るんも楽しいんです。
へえ～。同じ絵を繰り返し描くんも好きや。
こう　自分の手で何かを生み出す作業が好きなのかな？
ああ　そうか…そうかもしれん。
ふ～ん…。今は　陶芸にも興味があるんです。
陶芸？絵付け火鉢の生産は減っていきますからもっと世界を広げよう思て。
そっか…　そうだね。　あっ　ありがとう。
これから　もっといろいろな経験や出会いを…あっ　そうだ　お見合いもするんでしょ？
あ～。
覚えてるかな？
一緒に行った　あの時のこと。
草間さんの奥さんに会いに行った時のことです。
ずっと捜していた奥さんの心が草間さんからは離れていたことが分かりました。
結果的に　うまくいかなかったけど後悔はないんだよ？
そういう人と出会えたことは本当によかったと思ってる。
そういう人…？
心から好きな人。
好きな人ができると　世界が広がるよ。
草間さんは　そんな言葉を残して直子を連れて東京へ戻っていきました。
♪～
　回想　そういう人…？
心から好きな人。好きな人ができると　世界が広がるよ。
　回想　（八郎）ほな　川原さんで。えっ。
（八郎）川原さん　十代田さんで。
あの…！えっ？
川原さんもやってみます？えっ？ろくろ使て。
いや…　そんなん…何年もかかるて…。
何年も　そこで　じ～っと見られてたらかなんさかい。
川原さんも自分で　どんどんやってみて下さい。
はい。
まずは　荒練りからや。
よし。
さっ　僕と同じにやってみて。
そんなん言われても…。ええからやりぃ。
なに怒ってんの？怒ってないやん　教えてんねん。
すみません…。ええか？
力込めて　左右均等にな？はい。
ここ持って。はい。
上げて　押す。　もう一回。
押す！　う～ん…　もっとこう　グッと。
グッ…。アッハハ…　腕の力だけやのうて体全体を使うんや。体全体…。そう　力入れて…。
ふん！あ～　ちょっと。
こっちの足　引いて。足…。
そうそう…。　で　体を上に上げて上から下に押す。　そう！
もう一回　上から下に…　押す！　そう。
もう一回　いくで？　上から下に押す。そう　もう一回！
上から下に押す。ほんで　土が広がってきたら　畳む。
こっちの手を…　そうそう　そうそう。
こっちも同じ。ここ持って　ここ。
そう。　畳む…。
うん。
しっかり溝を埋めないと…。はい。
あんまり力入れ過ぎたらあかんで。はい。
♪～