31歳で結婚した。三つ年上の夫は優しい。穏やかな日々だったが、なぜか居心地が悪い。経験したことのない生活が不安で仕方なかった。
《こんな幸せは長く続くわけがない。私は幸せになってはいけない》
そんな思いに駆られた。 千葉県で暮らす河野亜衣子さん(45)はいつも《死にたい》と思っていた。
わけもなくイライラして、泣き叫んだ。不安から過呼吸にもなった。「こんな私でも捨てないのか」と夫に迫り、蹴りやパンチを入れた。どんな悪態をついても、夫は怒ることなく受け止めてくれた。そんな夫に当たる自分を責めた。
子ども時代の秘密を抱える罪悪感にさいなまれていた。結婚から4年ほどしたある日。「話がある」と切り出した。だが、なかなか言葉が出てこない。約10分後、絞り出すように語り始めた――。
小学6年のとき、両親が離婚。母と妹と暮らす家に、母が働くスナックのマスターが入り浸るようになった。マスターは気に入らないことがあると、母にも自分にも暴力を振るった。
極貧だった。お菓子を買う金はなく、代わりに砂糖をなめた。母の恋人であるマスターがいなければ生活できないことは理解していた。
子どものころに受けた性暴力は、心身に深い傷を刻み込みます。しかし、その多くは埋もれたままです。この状況をどうしたら変えられるのか。被害に深く傷つきながらも、勇気を持って実名で語る被害者たちに話を聞きました。
中学2年になったある日、母の…
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子どもの時に受けた性暴力は、心身に深い傷を刻み込みます。子どもの安全をどうやって守れるのか。勇気を持って実名で語る被害者の思いを取材しました。
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