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日銀の黒田東彦総裁は4日、都内で講演し、キャッシュレス決済の普及には事業者間の協調が欠かせないとの認識を示した。複数の手段が乱立する現状について「それぞれ顧客の囲い込みに必死になり、決済サービスの分断が起きる結果、銀行もフィンテック企業も体力を消耗する」と指摘。各陣営のプラットフォームの相互乗り入れの必要性を強調した。
黒田氏は「複数のプラットフォーム間で相互運用性があれば、利用者は1つに参加すれば他のプラットフォームの利用者とも決済可能になる」と指摘。それがキャッシュレス決済全体のパイ拡大につながるとした上で「事業者はディスカウント合戦による顧客の囲い込み戦略から解放され、新たな付加価値をどれだけ生み出せるか競い合うことができる」と述べた。
一方、米フェイスブックが発行を目指しているデジタル通貨リブラについては、国際送金の費用が高くて遅いという既存の決済システムの問題点が登場の背景にあると指摘。その上で「様々な課題やリスクへの対応が十分整わないうちに発行されるべきではない」と述べた。
リブラは法定通貨を裏付け資産にする仕組みだ。これに関し黒田氏は「(リブラは)各国当局が適切な政策運営を通して供給している金融や通貨価値の安定という公共財を活用したスキーム」と指摘。仮にリブラの信用が失われ、利用者が換金に殺到する事態になれば「当局は追加のコスト負担を余儀なくされる」と述べ、金融システムにただ乗りする仕組みだとの認識をにじませた。