澤氏がひも解く、本当の働き方改革に必要な考え方

澤円氏:みなさんこんにちは。日本マイクロソフト澤でございます。50分ほどお時間をいただきまして、「働き方改革」をテーマにお話をしようと思うんですけれども、「本当の『働き方改革』に必要な考え方」。やはり考え方をアップデートしていかないと、なかなか改革が進まないんじゃないかなということでお話をしようと思っております。

最初にちゃんと言っておかないといけないんですけど、なにしろこの風貌なので、これサラリーマンですからね。しょっちゅうミュージシャンと間違われたり、美容師と間違われたりするんですけど。あとはプロサッカー選手にも間違われることもありますね。

もう27年もちゃんとサラリーマン人生を送っておりまして、マイクロソフトに入ってから22年になっております。なので、ちゃんと社畜をやっているんですね。そして、マイクロソフトテクノロジーセンターというところのセンター長をやっています。

ここ(の施設)なんですけれども、全世界にたしか56箇所、そして44人のマネージャーでマネジメントしているという状態になっているので、ちょっとそれを覚えておいてください。全世界にそれだけの数のテクノロジーセンターがあって、そして40数人のマネージャーでマネジメントしていて、日本では僕がそれを見ているという状態になります。これはあとで働き方改革を進めていく上での1つのキーワードになりますので、ちょっと覚えておいてください。

もう1つ、サイバークライムセンターの日本サテライトというのをやっています。サイバー犯罪に関する情報をわかりやすく伝えて、いわゆるサイバー犯罪のプロという側面もあります。ただ、サイバー犯罪のプロというと、(犯罪を)やるほうだと思っちゃう人がいるんですけど、違いますね。守るほうですからね。

だいたいそうやって人は判断するんですけど、ハッキングするほうじゃなくて、ハッカーの流儀や考え方をみなさんにお伝えする。ですので、今回もちょっとセキュリティという観点もフレーバーとして入れながらお話をしようと思っております。

マイクロソフトで働く傍ら、副業で経営している会社も法人化

そして、データセンターツアーのツアーガイドをやっています。これはなにかというと、ツアーガイドってすごくのんきな響きに聞こえるかもしれないんですが、クラウドの中をごくごく限定されたお客様に紹介するということをやっています。クラウドの中ってなかなか見ないですよね。そこにものすごくセキュリティレベルの高いツアーを企画しまして、ごく限定されたお客様を連れていくということをやったりします。

これはすべてマネジメントしているのは本社。アメリカのレドモンドにある本社のほうからある意味ガイドラインが出る。そしてそれに従った状態でデリバリーをする。日本法人ですから、それをデリバリーするというのは、デザインは本社のほうでやって、あくまでも1つの営業所的な観点になるんですね。ただ、アプローチというところに関して非常に自由度が付与されている。そういった側面があります。

そして、昨今話題になっていますけれども、僕はいわゆる副業というのもかなりやっていまして。マイクロソフトに勤めながら、来月ようやく法人化するんですけれども、圓窓というところで個人事業主としての活動をしています。

こちらでは、例えばベンチャー企業の顧問や講演をやったり、あるいは大学で教鞭を取ったりしています。そのうちの1つがこちらですね。琉球大学から客員教授の肩書をいただいています。

副業は条件付きでOK

ほかにはベンチャー企業のほうもいくつかやらせてもらっていて、こちらはそれぞれちょっと違う切り口でお手伝いをさせてもらったり、あるいは毎日インターネットラジオで放送を行っていたりしています。

「やっぱりさすがに外資系だから副業は自由なんですね」と言われるんですけど、実はうちの会社、副業はNGなんですね。基本NG、条件付きOKということになっています。

条件付きOKというのは、例えば「公序良俗に反しない」、これは当たり前ですね。あるいは「利益相反にならない」、これも当たり前。プラス、例えば深夜コンビニバイトや道路工事になると身体がおかしくなってしまいますので、そういったものはやめてくださいと。

ですので、会社の仕事以外の時間で空いているところでできる、いわゆる知的労働みたいなものに関しては、会社のリソースを使わなければOKというルールになっているんですね。そのルールの範疇において、僕はいろんなことをやらせてもらっています。

新聞1週間分のデータ量=平安時代の日本人が一生で触れる情報量

こういったものを前提にしながらお話をしていくわけなんですけれども、このあとはみなさんにいくつか小ネタをご提供します。ここの中にいる人たちには共有されますので、この部屋にいない人たちに向かって、ちょっとニヤッとしながらドヤ顔で「知ってる、これ?」と飲みの席なんかで使えるようなネタを紹介をしていきます。ちゃんと頭に入れて、あらかじめ練習してから言ってくださいね。噛むとかっこ悪いですからね。

『New York Times』の1週間分のデータ量。新聞1週間分ってこんなもんです。大した量じゃないんです。ここの中のテキストのデータ、あるいは画像のデータ、そういったものを全部データとして扱った場合、そのデータ量と“あるもの”が一緒なんですね。

これなにかというと、18世紀の人たちが一生のうちに出会う情報量と同じです。18世紀の人って、一生かかっても新聞1週間分ぐらいの情報しか触れないんですよね。

あるいは、現代の日本人が1日に触れる情報量は何と一緒かというと、これはグッとさかのぼって平安時代の日本人が一生で触れる情報量になります。けっこう少なめですよね。ちなみにこれ、江戸時代になると1年分になるんです。ちょっとおもしろいですよね。

じゃあ歳とともに人間は賢くなるのかというと、実は脳の細胞って20万年前から変わっていないそうです。これは科学者の人に教えてもらったので、おそらく間違いないと思うんですけれども。ですので、あんまり賢くなっているわけではないんですね。生物学的に言うと、能力が進歩しているわけではない。でも、“あるもの”がみなさんの手に入ったことによって情報量が増えています。

移動手段の高速化により、情報量が加速度的に増加

これが高速な移動手段ですね。速く遠くへ行くことができるようになりました。そうすることによって触れられる情報量が圧倒的に増えたわけですよね。ですから、さっきのランサーズの秋好(陽介)社長の話にもありましたけれども、車が出てきたことによって、情報量が相当数増えているはずなんですね。遠くまで行けるようになりました。

でも、考えてみてください。平安時代と江戸時代で一生分と1年ってずいぶん違いますよね。両方とも速く移動できるのって馬なんですよ。馬の最高時速が上がったとはちょっと思えないですよね。ですので、ちょっとここは不思議なんですね。何かが足されているんです。

平安時代と江戸時代ではあるものに差があります。それはなにかというと、これなんですね。地図のある・なしです。

江戸時代になると地図がある程度整備されますね。だから参勤交代ができるわけです。「この道を通ったらあそこに行ける。そして、あの人に会える」というのがわかるので、安心して旅に出られるわけです。「この道を行ったらどこに行くんだろうね?」という状態だと、行ったり来たりできないわけですよね。でも、地図があるから行ったり来たりできる。

そして地図があり、どこに誰が住んでいるという情報が得られることによって、情報交換ができるようになったんです。交換することによって、倍々ゲームで情報がどんどん増えていくようになりました。

そして、もちろんその情報をやりとりするための文字だったり、メディアだったりが発達した。文字が読み書きできないと情報交換はなかなかできないですから、学力レベルは確かに上がっていることになります。

データと通信、この組み合わせによって、当たり前ですけどデータが増えるわけですから、最終的には情報量が増えていくことになります。