2020年は日本の雇用が大変革を遂げる年になります。
その象徴的な動きがすでに始まっていることを皆さんはご存知でしょうか。
トヨタは2019年度に総合職の採用に占める中途採用の割合を2018年度の1割から3割に、中長期的には5割に引き上げるという決定をしました。トヨタが変われば日本の企業全体も変わるといわれているだけに、そのインパクトは計り知れません。
トヨタが中途採用を5割にする方針というのは、岩盤とされる日本型雇用の「大きな山」が動いたと捉えることができます。
遅かれ早かれ、日本における新卒一括採用の重要性は次第に薄れていき、大手企業を中心に中途採用の割合が5割を超えてくるのが一般的な情勢になってくるでしょう。若手を育てる時間とコストをかけるよりも、即戦力の人材を中途で採用しようとする考え方が、多くの企業で主流になってくるはずです。
トヨタに限らず、すでに多くの企業では、終身雇用や年功序列の終わりが近いと感じさせる動きが起きています。
少子化で絶対数が少ない優秀な若者を採用するため、若手の給与を大幅に引き上げる代わりに、中高年全体の給与を引き下げるというケースが増加しているのです。
それに加えて、今のところ業績が好調であるにもかかわらず、中高年の早期退職を募集する大手企業が相次いでいます。一方で専門性が高いデジタル人材の採用では、海外のグローバル企業との人材獲得競争が激しく、従来の給与体系を改めて初任給を1000万円に設定する企業が出始めています。
非常に興味深いのは、大手企業の早期退職を募集する人数が企業の想定を上回って集まっているということ。自らの新しいキャリアを形成するために、前向きに転職を考える人々が増えているからです。それは、高度なデジタル人材の採用も含めて雇用市場が流動化し、新卒採用と中途採用の間にある高い壁が崩れ去るということを意味しています。