「もう行きたくない」男児おびえ転園 元副園長、傷害容疑で3度目逮捕

西日本新聞 社会面 古川 大二 小川 勝也 木村 知寛

 福岡県宗像市の私立「日の里西保育園」の副園長が園児や保育士への傷害容疑で逮捕された事件で、福岡県警は3日、別の園児に暴行を加えてけがさせたとして、傷害の疑いで、元副園長の清原こづえ容疑者(41)=福岡市中央区白金1丁目=を再逮捕した。逮捕は3度目。

 再逮捕容疑は7月22日朝-夕、園内の2階のトイレで、男児(6)の頭などを手で押して転倒させて床に押し倒し、下唇を切るけがをさせた疑い。清原容疑者は黙秘している。

 県警によると、同日午後に男児を迎えに来た保護者がけがを発見。男児が「(副園長に)たたかれた」と説明したため、園に問い合わせたところ、清原容疑者が「なかなかトイレに行かなかったので、背中と頭を押してトイレに入れようとした」と釈明、謝罪したという。

 9月中旬、園への内偵捜査をしていた県警が被害を確認し、10月上旬に保護者が被害届を出した。

 男児は県警に対し、園が体操の一環で取り組んでいた「ブリッジ歩き」がうまくできず、清原容疑者にトイレに連れて行かれたという趣旨の話をしたという。

 清原容疑者は園内で別の男児(6)と30代の女性保育士の顔を平手でたたいてけがをさせたとして逮捕され、傷害罪で起訴された。県警によると、11月12日付で園を退職したという。 (木村知寛)

   ◇    ◇

ブリッジ歩き強要 トイレで突き倒し唇切る

 「トイレで押されて床にたたきつけられた」-。清原こづえ容疑者(41)から今回の再逮捕容疑の暴行を受けた男児(6)の30代の母親は11月中旬、西日本新聞の取材に応じ、園での指導や、けがをした当時の様子を語った。

 2013年から子ども2人を同園に通わせた女性。長男の男児は今年年長となり、清原容疑者が主に指導に当たった。「ブリッジ歩き」が上手にできず、2階のホールで20往復させられ、タイムが遅いと回数を増やされた。男児は次第に無口になり、やる気がなくなっていったという。

 清原容疑者から「家でも怒ってください。親が変わらないと子どもが変わらない」ときつく言われ、男児を叱ったこともあった。

 7月22日午後、園に迎えに行くと、男児の下唇が切れていた。園からの説明はなかった。いったん帰宅した後、再び園に出向いたところ、清原容疑者は「後ろから2回押した」と釈明し、暴行は否定した。母親が「顔や頭はやらないでください」と求めると、清原容疑者は「以後気をつけます」と謝罪した。

 母親は翌23日に宗像市役所を訪れ、被害を訴えて園の監査を実施するよう要求した。だが、市の担当者に「情報共有する。園を変わればいい」と突き放された。市には16年以降、清原容疑者の暴行や指導に関する相談が11件あった。母親は「市に散々苦情が上がっているのに何も変わらなかった」と憤る。

 「もう行きたくない」。10月になると、男児は園を露骨に嫌がるようになった。「(副園長に)意地悪されるし、自分だけブリッジさせられる」とおびえる姿を見て、両親は転園を決意。市に掛け合い、11月に実現した。

 男児の笑顔は増え、新しい園での出来事を楽しそうに報告してくるのが日課になった。母親は訴える。

 「今まで相当我慢していたのかと思うと悲しい。清原容疑者には腹が立つし、市の対応も不満です」 (古川大二、小川勝也)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ