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第3列島線、第4列島線、第5列島線とは?

      2019/09/02

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中国の経済的戦略を包含する第3列島線

左から第一・第二列島線

左から第一・第二列島線

九州から沖縄、台湾からフィリピンに至る第1列島線、伊豆半島から小笠原諸島、グアムからパプアニューギニアに至る第2列島線、これらについては多くの人がご存知だろう。

そして、最近では一部の専門家の中で、第3列島線が議論されている。第3列島線は、アラスカから北太平洋を南下し、ハワイ、南太平洋サモアを通過し、ニュージーランドに至る。第3列島線は、習近平氏が2013年6月の訪米時に、「太平洋には中国と米国を受け入れる十分な空間がある」と指摘した太平洋分割統治論とほぼ同一線上に描かれ、南太平洋をトランジットとして、南米航路を開拓する経済的戦略を包含しており、対米牽制の意味合いが強い第1列島線や第2列島線とは違った側面もある。しかし、このように中国の遠方戦略が見えるにつれ、日米だけでなく、オーストラリアやニュージーランド、フランスなども今まで以上に強い懸念を示すようになっている。

インド洋から中国と世界を結ぶ第4・第5列島線

さらに、第4列島線、第5列島線という戦略も浮上している。第4列島線、第5列島線は、太平洋と反対に位置するインド洋が舞台だ。

第4列島線は、パキスタン南部グアダルから、インド西部、スリランカ南部ハンバントタ、そして、インド洋に浮かぶ英領ディエゴガルシアを通過して南下する。中国はグアダル港とハンバントタ港の使用権を、それぞれパキスタンから43年、スリランカから99年獲得しており、第4列島線からは、一帯一路によって中国とアフリカを繋ぎたいという経済的思惑が見えてくる。

第5列島線は、中国がアフリカに唯一軍事基地を置くジブチからアフリカ東部とマダガスカルの間を南下し、南アフリカに至るラインだ。近年、マダガスカルにとって中国は最大の貿易相手国となり、天然資源の確保を目的に中国企業の積極的な展開が見られるが、地元住民の強い反発もあり、中国への警戒心も高まっている。

中国の進出に危機感を示すインド 米・英の今後の動向にも注目

第4列島線、第5列島線は、太平洋に描かれる3つの列島線とは違い、米国と安全保障上の直接的摩擦を起こすものではない。また、その狙いは軍事・安全保障的なものというより、一帯一路に基づく経済的な戦略が色濃く浮かぶ。

だが、インド洋を自らの庭を位置づけるインドは強く反対することだろう。今年春のインド総選挙で圧倒したモディ首相は、最初の外遊先としてモルディブとスリランカを訪問し、インド洋でのインドのプレゼンスを内外に強く示そうとした。この外遊の戦略的目的は、インド洋で影響力を高める中国を牽制することだったと考えられる。

また、米国も「太平洋軍」を「インド・太平洋軍」に改名したように、太平洋とインド洋をセットにして対処する姿勢を堅持している。さらに、ディエゴガルシアを抱える英国のボリス・ジョンソン政権が、この問題にどこまで積極的な姿勢を示してくるかもポイントだろう。

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