★森友・加計学園疑惑の際に公文書の破棄や改ざんが大問題になった教訓は同じ政権の中でも何一つ生かされないどころか、拍車をかけるように廃棄のルールを積極的に作っていたことが2日の首相・安倍晋三の答弁で明らかになった。首相は「桜を見る会」の今年の招待者名簿を政府が野党議員から資料要求を受けた5月9日に廃棄したことに「1年未満」としている招待者名簿の保存期間について、首相は「今後検討していく」としたものの「野党議員からの資料要求とはまったく無関係であるとの報告を受けている」と答弁した。

★野党から資料要求があった同じ日に大型シュレッダーで廃棄し、電子データについても同時期に消去したというのを隠蔽(いんぺい)以外に考えにくいと感じる国民は多いはずだが、メディアはシンクライアントとは何かすら論じず「復元しにくく」「復元不可能」と首相の答弁をすんなり受け入れた。各省庁で公文書の保存期間がまちまちだったり、課長クラスの裁可で破棄が決まるなど情報公開のルールの統一化などを図る議論を建設的にすべきだろう。

★<1>大臣・副大臣・政務官説明(総理、官房長官、副長官も含む)の際に使用した資料(秘書官への手渡しのみも含む)は、最低5年保存(例えば「決裁は保存文書なので決裁を回すときには重要部分は添付しません」というような“尻抜け”も防止)。政策立案過程を残す意味で決裁資料以前の段階のものを保存する<2>国会議員・政党(与野党問わず。秘書を含む)から受け取った資料、説明した資料も、最低5年保存。国の政策(公金たる税金の使い道)への関与の記録を残す意味であり、会計監査院の質問にも耐えうる資料。国権の最高機関の議員に行政権側がどう働きかけたかを明らかにする意味でも、政治家も官僚の口車に乗らないし、その逆もチェックできる。無論、法律で定めたこれらの保存期間に違反してシュレッダーにかければ、公務員としての懲戒はもちろん、場合によると刑法犯に。このくらい公文書管理法を一部改正して残すべき。今のところ会計監査院しか賛同してくれないか?(K)※敬称略