中村哲医師、アフガンで銃撃され死亡 現地で人道支援

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社会・くらし
2019/12/4 17:35 (2019/12/4 17:58更新)

医師の中村哲さん

医師の中村哲さん

アフガニスタンで医療や灌漑(かんがい)事業などの人道支援に取り組む非政府組織(NGO)「ペシャワール会」(福岡市)の中村哲医師(73)が4日、現地で銃撃され、死亡した。ペシャワール会が明らかにした。

アフガニスタン東部ナンガルハル州の報道官によると、中村さんのボディーガードや運転手ら5人も死亡したという。

ペシャワール会によると、現地時間の同日朝、東部の都市ジャララバードから灌漑用水事業の現場に向かう途中で、乗っていた車両が銃撃を受けた。中村医師は右胸に銃弾を受け、病院に搬送される際は意識があったという。

中村医師はペシャワール会の現地代表のほか、PMS(平和医療団・日本)の総院長を務める。2003年から深刻な干ばつで苦しむ東部のナンガラハル州で用水路建設を開始。年間の半分以上は現地に滞在し、農業振興に取り組んでいた。

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反政府武装勢力のタリバン関係者は4日、日本経済新聞の取材に「今回の日本人の攻撃には関与していない」と語った。ただアフガニスタンにはタリバンのほか、過激派組織「イスラム国」(IS)など20強のテログループが活動しているとみられ、地域情勢が不安定になっている。

菅義偉官房長官は4日の記者会見で、中村哲医師が現地で銃撃されたことを受け、外務省に領事局長をトップとする対策室を、在アフガニスタン日本大使館に現地対策本部をそれぞれ設置したと明らかにした。「さらなる情報収集をしている。誰から銃撃されたとの情報はまだ得ていない」と語った。

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