あなたの色彩知識は大丈夫?色彩検定でクリエイティブ力に差をつけよう!
(2)色彩検定取得者インタビュー
塩澤美帆さん
株式会社TSUTAYA デザイナー
色彩検定1級取得
―――現在のお仕事を簡単にご説明ください。
塩澤 おもにTSUTAYAで発行する紙媒体のデザインと、VIのカラー調整を担当しています。たとえばTSUTAYAのロゴマークはWebや印刷物、店舗の看板などに使用されますが、理論上では同じ色を使っても、媒体や素材によって発色に差が出てしまうんです。そこで、コーポレートカラーを正しく再現できるよう、それぞれに調整を行い統一化を図っています。
―――色彩検定を受検した理由は?
塩澤 自分の色彩知識がどの程度なのか、試してみたかったのがきっかけです。当時すでにデザイナーとして仕事をしていたので、色について自分が培ってきた知識はどの位正しいのかなと。3級と2級を同時に受けたら合格したので、それならば頂点を極めるべきだと、1級にもチャレンジしました。
―――そのための勉強をされましたか?
塩澤 もともと実家が建築塗装業をしており、物心ついたときから色に関する多くの知識に触れていたことと、デザイナーとしての実務経験のおかげで、2級までは特に試験対策をしなくても合格できました。でも1級試験は1次で色彩理論、2次では色彩理論を応用して配色する技術が問われる実技試験だったので、一生懸命勉強しましたね。
―――色彩検定が役立ったと思える点は?
塩澤 色って、どんな媒体に出力するか、どこに設置するかによって、見え方も全然変わりますよね。たとえばディスプレイ上でつくった色が、相手の環境でまったく別な色に見えてしまったり。自分のイメージの中の色を正確に伝えるためにも、相手との共通言語として色彩の知識があるとスムーズに仕事が進められると実感しています。
塩澤さんが色にこだわった作品を紹介!
映画『キサラギ』のDVDリリース前のPOPをデザインしました。この仕事を依頼されたとき、作品の世界観と売り場での注目度を考えるとピンクの配色しかないと思い、「どうしても5色印刷で進めたい」と言ったところ、メーカーの方がとても乗り気になってくれて実現しました。ふつうなら5色印刷なんてコストが高すぎてまず許可がおりないし、印刷会社としてもプロセスカラーと特色(蛍光)のかけあわせは初の試みなので保証できないと言われたんです。それでも、この色とこの色を掛け合わせればこういう色合いになる、という色彩の知識があったので、「大丈夫、ぜひやりましょう」と(笑)。仕上がりはほぼイメージ通りで、いくつかの色校の中から作品にもっともフィットする色に決めました。狙い通り、売り上げはとても良かったそうです。逆に予算があっても、デザイン的に必要がなければ4色印刷で提案します。(塩澤)
映画『キサラギ』POP
スタッフ向け情報誌「ivy」
TSUTAYAにお勤めの方々に向けて3カ月に1回発行している情報誌で、私はディレクションと一部編集を担当しています。表紙は「表参道で持って歩いても恥ずかしくないデザイン」がコンセプト。TSUTAYAの店舗内には紙媒体がたくさんあるので、紛れて目立たなくならないよう、パッと見で存在感のあるデザインを意識しました。白の多い表紙に、タイトルや文字の色がポイントになっています。タイトルと文字の色は毎号変えているのですが、これは配布時期の季節感も考慮しながら、前号とガラっと印象がかわるような配色を選択しています。そうすることで、新しい号に切り替わったということが視覚的にわかりやすく、手にとってもらえると思うので。(塩澤)