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ただいま表示中:2019年7月30日(火)“顔見知り”からの性暴力 ~被害者の苦しみ 知ってますか?~
2019年7月30日(火)
“顔見知り”からの性暴力 ~被害者の苦しみ 知ってますか?~

“顔見知り”からの性暴力 ~被害者の苦しみ 知ってますか?~

「性暴力の実態を知ってほしい」。被害者たちが声をあげる中、取材班は名古屋市の性暴力救援センターに2か月間密着。日々舞い込む相談の8割以上は、友人、同僚、身内など“顔見知り”からの被害だ。加害者が身近な人ゆえに、被害者は抵抗できず、周囲に打ち明けても理解されず、自分を責め、何重にも苦しみ続ける実態が見えてきた。誰の身近でも起こり得る現実を伝える。

クロ現プラスでは性暴力について継続取材しています。
こちらの「性暴力を考える」の掲示板からあなたのご意見・ご感想をお寄せください。

出演者

  • にのみやさをりさん (写真家・性暴力被害者)
  • 小西聖子さん (精神科医・武蔵野大学教授)
  • 武田真一 (キャスター) 、 合原明子 (アナウンサー)

苦しみ続ける被害者たち

年間、のべ1,500件の相談が寄せられる性暴力被害の支援窓口があります。病院内に設置された「性暴力救援センター 日赤なごや なごみ」。SANE(セイン=性暴力被害者支援看護職)と呼ばれる性暴力被害者支援専門の看護師、医師、支援員、医療ソーシャルワーカーたちが24時間、対応しています。「被害の実態を知ってほしい」と、取材に応じてくれました。

「はい、日赤なごや なごみです。」

この日、会社の同僚から被害を受けたという女性から電話がありました。

支援員
「つきあっているわけではない。あなたとしてはやりたくなかったけどされてしまった。妊娠のこともご心配になっている。」

センター長で看護師の片岡さんは、被害から72時間以内に来るよう伝えました。妊娠を防ぐ、緊急避妊薬を服用するためです。
電話の直後、センターを訪れた女性に片岡さんは、体の痛みや傷はないか確認し、被害の詳細を聞き取りました。どのような経緯で起きたのか。被害者が特定されない範囲で、教えてもらいました。

加害者は会社で女性の指導係を務める、妻子ある男性。出張先で同じビジネスホテルに泊まった夜、部屋を訪ねてきました。女性は職場での関係が悪くなることを恐れて、部屋に入れたと言います。しばらく話をしていましたが、突然、男性に体を触られ、抵抗することができませんでした。

性暴力救援センター 日赤なごや なごみ 片岡笑美子センター長
「突然なのでどうしていいものかと、頭がパニックになるんだと思います。仕事の延長であったり、コミュニケーションを取るという状況だと思うんだけど(性行為があると)全然想定していない。」

片岡さんたちは、妊娠を心配していた女性を院内の産婦人科へつなぎました。
医師は避妊薬を処方。さらに、警察の捜査で重要な被害の証拠となる精液を採取しました。

産婦人科医師
「綿棒で組織をぬぐってくるかたちで。」

採取できるのはおよそ1週間以内。被害にあったばかりの女性には大きな苦痛です。

名古屋第二赤十字病院 産婦人科 加藤紀子医師
「負担があってすごく本人さんにとってはつらい悲しいことだと思うんです。
加害者にとっては一時的なものであっても、それを受ける被害者にとってはずっと心に残る。」

このとき女性は、警察に相談することを躊躇(ちゅうちょ)していました。「男性を部屋に入れた自分も悪い」という気持ちがあったからです。自らを責める女性に片岡さんは、「あなたの望まない性的な行為は性暴力」と伝えました。

性暴力救援センター 日赤なごや なごみ 片岡笑美子センター長
「それは性暴力ですよと。同意でないとか強要されたとか、対等な立場でない中で行われていれば、それは性暴力と私たちは定義しているので。」

片岡さんたちは、女性に弁護士を紹介しました。
なごみは、ワンストップ支援センターとして弁護士や警察などと連携し、被害者をサポートしています。
4年前の開設以来、医療、法律、カウンセリングなどの支援を受けた被害者や家族は750人を超えます。

周囲の対応が 被害者をさらに苦しめる

顔見知りからの性暴力。被害者は周りの対応によって、さらに苦しめられます。
アユミさんです。被害の直後、親しい友人に打ち明けると、繰り返し問い詰められ傷ついていました。

アユミさん(仮名・30代)
「『なんでそのとき男と一緒にいたの』とか『なんでそこに行っちゃったの』って何回も言われたんです。」

加害者は、なじみの飲食店で知り合った男性。アユミさんが信頼している店長の知り合いでした。その日、仕事の疲れもあって、アユミさんはひどく酔ってしまったと言います。意識がもうろうとする中、男性と店を出て帰ろうとしますが、ふらつくアユミさんに男性は、睡眠をとったほうがいいと勧めます。

アユミさん
「(店長が)男にその彼女はちゃんと安全に送ってねみたいなこと言ってたんで、たぶんそうしてくれるんだろうなって思って。」

しかし、向かったのはラブホテルでした。被害の経緯を聞いた友人は、アユミさんの体を気遣いながらも、「なぜ男性と行動をともにしたのか」、何度も尋ねました。

アユミさん
「質問をされるだけでグサグサ傷つく。傷つけるつもりはもちろん向こうはないと思うんですけど。」

その後、アユミさんは警察にも相談します。しかし、被害届は受理されませんでした。再び警察と話したときのやり取りを、アユミさんは録音していました。

アユミさん
「(部屋に入ると)すぐに寝ちゃったと思うんですけど、でもちょっとしたら男が私の上に乗ってきて、無理やり挿入しようとしてきたので、陰茎をつかんで中に入れないようにしました。抵抗していたけど、無理やり挿入されて。」

しかし警察は、事件として扱うのは難しいと伝えました。

警察官
「ラブホテルってセックスする所なんですよ、男の人と女の人が。一緒にラブホテルに行ってくれた、だからOKだろうって考えるのが普通だと思うんですよ。フロントに人がいる、お客さんもいる、助けを呼べる。なぜ呼ばなかったんですか?」

アユミさん
「頭がまわってませんでした。」

警察官
「『なんで私の事件やってくれないんだ』って言われる方もいっぱいいます。なぜかと言うと、やっぱり本人に責任がある。原因がある。それができない原因が。」

アユミさん
「じゃあほぼ結論は出てるってことですか?」

警察官
「ほぼ結論は出てます、正直。実際に犯罪を構成するかといったら構成しません。」

被害届は、受理されませんでした。
心ない対応を受け続ける中、なごみを訪れたアユミさんは自分を責めるようになっていました。

アユミさん
「そんなに飲んだ自分が悪いと思うし、ついて行った自分が悪いと思うし、帰らなかった自分が悪いと思います。」

自分に落ち度があったと言い続けるアユミさん。カウンセリングを担当する長江美代子さんは、強く語りました。

カウンセリングを担当する日本福祉大学教授 長江美代子さん
「どれもこれも、あれも、(被害者の)落ち度として挙げられたりするかもしれないけど、でも、どれ1つ、レイプをしてもいいっていう理由にはならないんですよね。それがなぜか同意したことになってしまう。おかしいですよね。」

なごみは連携する弁護士をアユミさんに紹介。改めて警察に提出した被害届は、受理されました。

長期間 続く苦しみ “人生がなくなった・・・”

性暴力は、何十年にもわたって繰り返し被害者を苦しめ続けます。
40代のマキさん。高校生のとき、レイプ被害に遭いました。

マキさん(仮名・40代)
「二度三度って傷ついていって。生きてるのも苦しかったですし、すごく苦しかったですね。」

相手は、当時、近所に住んでいた同級生。その後、姿を見かけるたびに被害の記憶がよみがえり、学校に行けなくなりました。加害者が顔見知りだっため、友人には打ち明けづらく、家族からは被害を忘れるよう言われたこともありました。10年以上、ひきこもる日々が続きました。次第にマキさんは、「被害はなかった」と思い込むようになります。何年たっても込み上げてくる怒りや悲しみの感情を押し殺すためです。しかし、その反動が体の不調として現れました。

マキさん
「血液の中にガラスの破片がいっぱい入ってる。血液をずっと流れてるみたいな。微弱の痛い電気がずっと流れてるような。」

これは、心の痛みをごまかすため、体に痛みを感じようとする「回避」という症状です。

カウンセリングを担当する日本福祉大学教授 長江美代子さん
「なかったことにしたい気持ちとの闘いがずっと続くんですよね。そのつらさと比べたら、身体の痛み、動けないほど痛くてもそっちのほうがマシっていう。」

マキさん
「私の人生ってなんだったんだろうって、本当に思ったりして、ほんとに取り戻せないものがいっぱいあって、人生が、私なくなっちゃったじゃんって」

身近な人による性暴力が被害者をいかに苦しめるか。より深く、話を聞きます。

被害の8割 何重にも苦しむ現実

ゲスト にのみやさをりさん(写真家)

武田:自分の人生がなくなってしまうという言葉、胸に響きましたが、スタジオには、ご自身も被害者で現在写真家として活動されている、にのみやさをりさんにお越しいただきました。
にのみやさんは24歳の時に、職場の上司から被害に遭ったということです。顔見知りだからこその苦しみ。今、ご覧いただいて、にのみやさんご自身はどういうふうにお感じになったんでしょうか。

にのみやさをりさん:VTRの中で、自分を責め、人生がなくなってしまったという言葉は私自身も思ったことがありましたし、たまらない思いをしながら見ていました。私の被害は信頼している上司からだったんですけども、無理やり、ある日突然襲われたんです。人間って信頼関係で結ばれてるじゃないですか。それが全部崩されるんですよね、顔見知りっていうことは。だから、幼いころに培った人間関係の基本っていうのが全部、木っ端みじんになってしまう。

武田:自分が信頼していた身近な人からの被害だったということは、やはり大きく傷つけられた点。

にのみやさん:当時は、傷つけられたってことさえもが分からなかった。全部自分が悪いんだと思ってましたね。仕事ができる上司をこんな状況にしたのは自分なんだと思ったし、自分があの時さっさと仕事を終わらせてさっさと帰っていたら、こんな状況は起こらなかったし、何もかもがとにかく自分のせいだと思ってました。

武田:でも、当然そうじゃないはずですよね。

にのみやさん:そうじゃないって思えるようになるのに、20何年かかりましたね。

武田:もうおひと方、精神科医で東京の性暴力救援センターと連携して被害者の支援を行っている小西さん。性暴力の8割が顔見知りからの被害という実態に、私、本当に大きな衝撃を受けたんですけれども。

ゲスト 小西聖子さん(精神科医・武蔵野大学教授)

小西聖子さん:たぶん、どこもそうだと思いますね。知り合いというか、非常に近い人ですよね。そういう人からの被害が、7、8割というのが普通だと思います。

今まで信頼してたり、これからも一緒にやっていかなくちゃいけないような人から被害を受けて信用ができなくなる。とっても苦しい。そもそも被害だと思って言うことができない人がたくさんいます。

武田:それからもう1つ、VTRでは警察に相談した時のやり取りがありましたけれども、傷ついて相談に来ている被害者に、どうしてあんな言葉がかけられるんだろう、私は正直憤りを感じたんですけれども。

小西さん:そうですね。たぶん警察庁に聞けば、そういうことを言わない教育を一生懸命やってるって言うと思うんです。実際にやっておられるんだけど、でも、現場には、ああいうことを言ってしまう警察官が実際にまだいるのも確かですね。法律的に、これはちょっと証拠がないなとか、扱えないなと思った時点で。法的には難しいケースっていうことは当然あります。だけど、それは被害がなかったということとは違いますから、性暴力を広く定義すれば同意がないところで性行為が行われれば、セックスだけでなく、さまざまな侵入的な行為があれば、それは全部性暴力というふうに言っていいと思うんですね。

武田:もしかしたら、あなたも悪いんじゃないのというような、そういう思いっていうのは、何も警察だけじゃなくて、世の中に、私たちの間にもある感覚ではないかとも思ったんですが。

にのみやさん:むしろあると思います。一時被害がレイプそのものだとして、セカンドレイプというのが周りの人からの言葉ですよね。お前にだって非はあっただろうみたいな。それが被害者を、さらにさらに追いつめてるような気がします。だから、レイプの被害もつらいのに、その次に言葉の被害を受けて、これって同等の痛みなんですよ。だから、何重にも何重にも、生きれば生きるほど、レイプを受け続けてるような苦しみですね。

“社会を変えたい” 声を上げ始めた被害者たち

これまで、何重にも苦しみ続けてきた性暴力の被害者たち。社会を変えようと、声を上げ始めています。

デモの参加者
「被害者は何度殺されたらいいんでしょうか。」
「次の世代に絶対に、同じような苦しい思いを悔しい思いをしてほしくありません。」
「すべて奪われるのが性暴力です。もうこんなこと本当に嫌なので、こうやって集まって来た人たちの声が、きちんと社会を変えるようやっていきましょう。」

国の調査では、無理やりに性交などをされた経験のある人のうち、「誰にも相談しなかった」と答えた人は半数以上。なかなか声を上げにくい現実があります。

性暴力に対する社会の認識を変えるため、名古屋の性暴力救援センター「なごみ」は、市内の高校で授業を始めています。一年生を対象に、マスターベーションや避妊の正しい方法などふだん学校では取り上げない内容にも踏み込みます。

さらに、恋人同士でも性暴力が起こりうる危うさを伝えています。

性暴力救援センター なごみのスタッフ
「合意はなし、それから金銭のやりとりはなし、これはなんでしょう、合意していない。お金もない。そうです、レイプと言ってくれました。強制性交です。人の気持ちを考えなくて自分が意のままにしていいんだという勝手な解釈をしている人がいるんです。人は選ぶ権利があります。それから拒む権利もあります、嫌と言っていいんです。考え中もありです。そういった権利があるんですよ、一人一人にね。」

女子生徒
「知識が増えて、もっと考える時間ができて大切な時間になったなと思いました。」

男子生徒
「(被害者は)心も痛いだろうし、とても悲しむと思いました。」

性暴力から自分を、そして大切な人を守るために、何ができるのか考えます。

根底にある社会の無理解 どう変えるのか

武田:何ができるのかということですけれども、私はやはり性暴力の背景に、今の言葉にもあったように、人の気持ちを考えず意のままにしていいという勝手な解釈があるんだということを、もっと広く共有しなければならないと感じましたが。小西さんいかがですか。

小西さん:そうですね。そういう考え方が、今(のVTR)みたいな教育がないままに、若い人にも再生産されてしまうっていうこともあるように思います。

合原明子アナウンサー:「望まない性的行為が性暴力」ということが、まだすべての人に理解されていないということを示す数字があります。LINE社と協力をしまして、10~50代の男女1,000人に実施をしたアンケート調査なんですけども、どういう時に性的な行為への同意があると考えるかを聞きました。「2人きりで飲酒」「2人きりで個室に入る」「露出の多い服装で会う」という項目で、これだけの人が、「同意がある」と捉えていることが分かりました。

小西さん:仕事できないですよね、それじゃあ。

にのみやさん:男と女で、例えばお酒を飲んだら何でも同意なのかって、なんかちょっと、えっ?と思っちゃったんですけど。

小西さん:そうじゃないですよね。例えば、すごい格好で酔っ払って寝てたとしても、襲っちゃいけないことは当然じゃないですか。被害の現実っていうのが、あまりにも社会に見えてないし、間違った常識が通って現実のことが全く表に出てこない。変えていかなくちゃいけないことなんだけどなと思います。

合原:実際に性暴力の被害に遭ってしまった場合に周りの人たちができること、小西先生にポイントをまとめていただきました。2つあります。

小西さん:なんで?って人は言うんですよね。だけどそれが、傷ついてる人にはすごく責められてるように聞こえるので、この言葉をいったん押さえるだけでもすごい違うと思うんだけれども。これは本当に、具体的にそうです。2番目も、ハウツーで直してあげるとかそういうことじゃなく、一緒に困ってくれる人って、一緒にいてくれる人。

武田:一緒に困ってくれる人。

小西さん:うん。が、必要です。1人ではできないから。こう行ったらもう大丈夫っていう正解の道は残念ながらないし。ないけれども、1個ずつ詰まりながら、それでも一緒にやっていってもらったり。

にのみやさん:ただ一緒にいて、一緒に例えばお茶を飲んで、おいしいねって言い合う。それだけでもほっとするんですよね。それが支えになる。次の日生きようっていう。それはすごく思いました。

武田:性暴力に苦しんでいる人たちが身近なところにいる。そして、明日もまた新たにそういう人たちが生まれてくるかもしれない。

合原:決して1人きりで抱え込まずに、お近くのワンストップ支援センターに相談をするようにしていただきたいと思います。全国の都道府県にあります。
(ワンストップ支援センター一覧はこちらから)

小西さん:ワンストップセンターはただ話を聞くところではなく、例えば、警察に一緒に行って本人を支えましょうとか、産婦人科や医療に紹介するとか、そういうのも同行してくれたりするんですね。わりと具体的に一緒に動いてくれるところです。でもワンストップセンターに最初に相談しなさいっていうのは、公式に言えばそうなんだけど、被害者からみたら、それはできないです。今、調査すると、過半数の人がまだ、友達にも親にも、誰にも言ってないんです。だから、最初に言うべきことは、誰でもいいから、あなたが信用できる人に相談してみようです。

さらにもう1つ言うと、その人が先ほどのような考え方をして、あんたどうしてそんなとこ行っちゃったのって言う可能性も結構高いです。だから、1回だめだった時にもう1回別の人にも相談してみようっていうところまでは、ぜひ言いたいと思います。

にのみやさん:本当そう思いますね。私も最初被害を打ち明けた時に、うそ言ってるんでしょって言われて、それで閉じこもっちゃった。それが自分のトラウマを深くさせたところがあるんですね。だから、今、苦しんでる人がいるなら、1度じゃなくて、せめて2度、できれば周りに相談してほしい。打ち明けてほしい。諦めずに。あなたを否定する人もいるかもしれないけれども、でも、あなたを待ってる人も必ずいるはずだからと私は思います。1度じゃなくて。

武田:私たちも、これからも伝え続けていきたいと思ってます。本当に今日はありがとうございました。

2019年7月25日(木)
熱中症・交通渋滞 五輪1年前 ”安全な大会”どう実現?

熱中症・交通渋滞 五輪1年前 ”安全な大会”どう実現?

東京オリンピック・パラリンピックまで1年。今月行われる「テスト大会」や「社会実験」の現場で、観客・市民の目線から“課題”と“対策”を検証する。猛暑による「熱中症」。試合前、会場までの道のりで発症するおそれがあり、観客が密集した場所でもリスクがある。さらに、帰り道でも…。そして、社会活動に影響する“交通渋滞”をどう回避するのか。大会に備えた首都高などの大規模規制の現場に密着。あと1年で何をしなければならないか、掘り下げていく。

出演者

  • 三宅康史さん (帝京大学医学部 教授)
  • 赤羽弘和さん (千葉工業大学創造工学部 教授)
  • 武田真一 (キャスター) 、 合原明子 (アナウンサー)

熱中症に注意!観戦前“ラストマイル”で…

思い出してください。猛暑となった去年(2018年)の夏。東京オリンピックと同じ期間で37度を超える猛暑日となった日もありました。こんな暑さになったら注意が必要なのが、会場までの道のり。利用する路線によっては、駅から10分以上歩くことになる会場は、都内だけでも15か所。例えば、新国立競技場はおよそ15分、有明アリーナは17分です。

その1つ、ビーチバレーの会場となる潮風公園。東京テレポート駅から徒歩およそ10分とされています。

合原:東京テレポート駅です。これから歩くのが、実際に大会当日、観客が歩くと想定されるルートです。

駅から会場までの道は“ラストマイル”と呼ばれ、大会組織委員会は暑さ対策の重要エリアとしています。
合原リポーターが歩いた昨日(24日)の気温は33度を超えていました。木陰も少なく、直射日光が降り注ぎます。

合原:歩き始めてまだ数分ですが、すでに背中にびっしょりと汗をかいています。日差しがかなり強いですね。

合原:ようやく到着です。

会場内にある競技エリアまでは、およそ25分かかりました。

合原:結構、全身が疲れたという感じで、ここから観戦というよりも、ちょっと休みたいという気持ち。

今日(25日)この会場で行われた、ビーチバレーのテスト大会。

初めて会場周辺の暑さ対策の検証が行われました。ラストマイルには、霧を吹きかけるミスト装置やウォーターサーバーを備えた休憩所。

「おいしいです。」

時間がかかる手荷物検査場では、日よけのテントを設置し、効果を確認しました。

大会組織委員会 開催統括 中村英正GDO
「東京の暑さと湿度は、過去大会に例がないほど大きな課題。高齢者、子ども、外国人、障害者、それぞれ対応策が違うので、どれだけきめ細かく丁寧にやっていくかが非常に大きなポイント。」

熱中症 “沿道観戦”のリスク 雨も油断大敵…

オリンピックの競技は街中でも…。この時の“沿道観戦”にリスクが潜むといいます。その1つ、自転車ロードレース。今週テスト大会が行われました。

熱中症に詳しい、三浦邦久医師と共に、ゴールとなる富士スピードウェイに向かいました。サーキットの一部に設けた観戦エリア。ここで、沿道観戦の課題が見えました。

江東病院 副院長 三浦邦久医師
「非常に屋根があるところに比べて熱中症が起こりやすい。とても危険だと思います。」

熱を可視化するサーモカメラで見てみます。直射日光が照りつけ、地面が高温を示すオレンジ色になっていました。その熱によって、観客の足まで真っ赤に。

合原:足が真っ赤だけど、皆さん気づいていないということですか?

三浦医師
「観戦に集中していると、神経は自分の環境下にいかないんですね。道路にたまった熱が体に影響を与えて暑くなっているのに分かりにくい。」

三浦医師は、沿道からマラソンや競歩などを観戦する場合にも、同様のリスクがあると指摘します。

三浦医師
「おかしいと思ったら遠く離れて観戦しながら、休みながら見ることが重要だと思います。」

さらに三浦医師は、雨でも油断大敵だといいます。やって来たのは、オリンピックでサッカーなどの会場となる、東京スタジアム。雨の中、Jリーグの試合が行われていました。三浦医師は、多くの観客が着用するレインコートの問題点を指摘しました。
レインコートのリスクとは?双子の姉妹に協力してもらい、真夏の環境を再現した実験室で検証です。えまさんにだけレインコートを着てもらい、サーモカメラで撮影します。

そして、20分後。レインコートに包まれていたえまさんの肩は、より高い温度を示すオレンジや黄色が広がっていました。

えまさん
「この辺がすごい暑くなった。」

えりさん
「ねちゃねちゃ。」

えまさん
「めっちゃ汗かいてる。
レインコートを着たら風を通さないのでサウナ状態で暑くなります。これ以上着てたら頭もくらっとなりそうです。」

三浦医師
「カッパなどを着ていると、体の中が汗をかいても蒸発できないので、体の中では、もっと汗をかかなければいけない。体内の水分が減って脱水になってしまう。熱中症の重度になってしまう。」

熱中症 観戦後の“帰り道”にリスクも…

楽しく競技を観戦した後の帰り道。そこにも思わぬ落とし穴があります。こちらもサッカーの会場となる、カシマスタジアム。

合原:今、試合が終わりまして、皆さん観戦を終えて続々と会場から出て帰っていきます。

2万人以上が観戦したJリーグの試合後。大勢が一斉に駅に向かいます。そこで起きるのは“観戦後ラッシュ”。

合原:入り口まで人でパンパン、ぎゅうぎゅうになっています。人が密集した車内が、このあと、どうなっていくのでしょうか。

そこで…。

合原:満員電車にどれだけのリスクがあるのかを実験していきます。

用意したのは、電車を想定した2つのボックス。満員の車内と空いている車内を再現し、比較します。どちらもエアコンの効いたスタジオの空気が流れ込むようになっています。

ところが…。

合原:今20分経過しました。
「満員」の皆さん、初めから比べてどうですか?

「暑いです。」

「頭の中も汗をかいてきた感じがします。」

満員のほうは気温と湿度がどちらも高く、熱中症のリスクを示す指数は警戒域に達していました。

サーモカメラの映像でも、満員のほうだけ高温を示す赤や黄色が広がっているのが分かります。

合原:どうしてここまで暑くなってしまうんでしょうか?

三浦医師
「こもった熱が他人にも伝導していく可能性がある。」

人が密集する満員状態では、体質やアルコールの影響などで代謝の高い人がいると、発せられた熱が周りの人に伝わっていくといいます。熱源となった人は大丈夫でも、女性や子ども、高齢者など、熱中症になりやすい人にとっては危険な状態。まして、観戦後の疲れた体には、より大きなダメージになるのです。

三浦医師
「観戦後の電車というのが、1つの熱中症になりうる可能性があると考えていただきたい。」

東京都の予想では、対策を取らなければ、日時によっては、乗車率が最大180%になるなど、複数の路線で激しい観戦後ラッシュが起きるとされています。高温多湿となる真夏の東京で開かれる来年(2020年)のオリンピック。行き帰りも含め、さまざまな場面に潜む熱中症のリスクに対し、私たちはどう備えればいいのでしょうか。

熱中症対策 これからできることとは?

ゲスト 三宅康史さん(帝京大学医学部 教授)

武田:組織委員会は暑さ対策として、こうした強化テーマを挙げています。

このうち「日よけの対策」、例えば休憩所や冷風機の設置。そして「飲料の供給強化」、例えばこれまでの大会でテロ対策などとして認められていなかったペットボトルの持ち込みも、一定の条件の下で認めるか検討されています。
医師で、組織委員会の暑さ検討委員会委員を務める三宅さん。今日のテスト大会もご覧になったそうですけれども、一番大事だと考えていらっしゃるのは、休憩所と飲み物だそうですね。

三宅さん:そうですね。この「日よけ対策」、暑さ対策そのものなんですけれども、今日見たところ、やはり休憩所はテントなんですね。そうしますと、やはり外気の影響、あとは、ふく射熱の影響を受けますので、休憩所は、例えば体育館であるとか、会場周辺の公民館、そういったしっかりした建物を使って、しっかり冷やしたところを休憩所としてたくさんの方に暑さ対策として体を冷やしていただきたいというのが必要だというふうに思っています。

武田:そして、飲み物ですけれども。

三宅さん:ペットボトルが会場に持ち込めれば、十分水分供給されます。特に水分というのは、ただ水の供給だけじゃなくて、冷たいものを飲むというのは体を冷やすことができますので、持ち込みの氷入りの水筒などが持ち込めると本当にいいんですけれども、これは安全対策、いわゆるテロ対策との兼ね合いでどんどん時間がかかってしまうと、むしろ熱中症には悪いということもあります。

武田:検査のために時間がかかってしまうと。そこは考えていかないといけないということですね。
さらに組織委員会は、このような対策、ポイントも挙げています。「適切な休憩」、それから「体調不良者への対応」ということで、熱中症の疑いがある人を早期発見するファーストレスポンダーを配置する。さらには「外国人対応」、暑さに慣れていない外国人の観客などへの情報発信ということなんですが、三宅さんは、このファーストレスポンダーに注目されていると。

三宅さん:ボランティアの方からファーストレスポンダーを選別して、会場、あるいは会場周辺の体調不良者を早く見つけると。そして応急処置を施すんですけれども、やはり熱中症は早く見つけて、早く手を打てば、すぐよくなりますので、ファーストレスポンダーをどう養成するか。そのために今、30ぐらいの医療学術団体が集まって、研修の準備というのも行っています。

合原:今回取材して感じたのが、ラストマイルですとか、帰りの満員電車のところで人が滞留してしまうと、熱中症のリスクが高まるのではないかということだったんですね。この点について、私たち観戦に行く側、そして大会の運営側、それぞれにどういった対策が求められるでしょうか?

三宅さん:満員電車だけじゃなくて、そのホームに上がるまでの階段も、たぶん人だまりになる。あとチケットの場所、先ほどの手荷物検査、こういった人だまりが出来る場所というのは決まっていますので、それをちゃんと見つけて、そこに熱中症、暑さ対策をするということが大事だというふうに思います。

武田:ただ、それがどこなのかというのは、我々もちゃんと把握しておく必要がありますね。

三宅さん:そのための情報発信をする。「ここが今、混んでますよ」「ここは今、暑いですよ」、暑さ指数も含めて、情報発信をするということは非常に重要だと思います。

武田:例えば、それを多言語でやれば、外国人への情報発信としても有効ですよね。

三宅さん:そのとおりです。そうすると、外国人はそれを使えるというふうに思います。

武田:1年後、実際にオリンピックを観戦する皆さんに、三宅さんが熱中症対策として挙げていらっしゃるポイントもあるそうですね。

三宅さん:「FIRE」という頭文字なんですけれども、暑さ、いわゆる熱中症の予防も含めた応急処置ができると。水分補給、Fluid(フルイド)。Icing(アイシング)、冷やす。そして、Rest(レスト)、十分休憩を取る。最後は、人を呼ぶ、救急車を呼ぶ。

軽症の場合には上から。あと予防の場合も上から。重症の場合は下から、まず救急車を呼んで応急処置を始めてください。
そのために「FIRE」という言葉は覚えていただいて、これがたぶん、将来レガシーになっていくんじゃないかと。たぶんもっと暑くなりますから、将来。誰でもこれができるというのは、やはり1つ大きなレガシーになるんじゃないかというふうには考えています。

武田:社会にとっても、個人にとっても、1つの財産になっていくということですね。

三宅さん:おっしゃるとおりですね。

武田:ここまで、三宅さんと共に暑さ対策についてお伝えしました。ありがとうございました。

“交通”で他大会にない挑戦

武田:そして、もう1つの課題が、交通渋滞です。前回の大会では、主要道路に選手などが移動するための専用レーンを設けていました。

しかし、これは東京の首都高速道路の写真なんですが、ご覧のように片側2車線しかない所が多くて、専用レーンを設けることができません。

そこで、交通量そのものを減らすための実証実験が昨日、初めて行われました。懸念されたのは、この高速道路の下を通る、一般道への影響なんです。その結果はどうだったんでしょうか。

“首都高・閉鎖”で渋滞は?交通量は減らせるか…

合原:先ほど、午前6時10分に通行止めがされました。完全に閉鎖をされました。

昨日、首都高速道路の入り口が41か所閉鎖されました。首都高の交通量を3割削減するためです。

取材班
「前を走る車、今ほとんどありません。」

複数の路線が乗り入れる、このジャンクション。ふだんは、激しい渋滞が見られますが、この日はスムーズに車が流れていました。

実験の結果、主な首都高、青い部分の全てで交通渋滞が緩和しました。

一方、一般道では課題が見えてきました。都心に向かう多くの幹線道路で渋滞が始まっていたのです。都心に入る車を減らそうと、一般道で、青信号の時間を短くしたためです。バスは渋滞で動きませんでした。

バスの乗客
「いつも混んでいるんですけど、こんなには混んでいないかなと思います。」

取材班
「お仕事の時間は?」

バスの乗客
「ちょっと心配です。」

周辺の住民にも影響が出ていました。都心からおよそ10キロ幹線道路の近くに住む町会長、澤田豊さんです。

幹線道路につながる脇道で、見たことのない渋滞が起きていたのです。

澤田さん
「交通規制で渋滞しているとなると、逃げていくと思うんですね、抜け道に。」

道幅は10メートルほど。ふだんは車が多くなく、子どもたちが通学路に使う生活に欠かせない道路です。

合原:結構、車と人の距離が近いですね。これはどきっとしますね。

澤田さん
「お母さん方が、小さい子どもを安全にするためには心配でしょうね。オリンピックのときは、結構な車が入ってくるだろうと思うと心配ですね。」

影響は、高齢者を預かる介護の現場にまで及んでいました。幹線道路近くにあるデイサービスの施設です。

車で15人の高齢者を送り迎えしています。

「ここまで詰まっちゃっているってことは、通過に時間がかかる感じです。」

この日、最初の幹線道路を渡るまでに渋滞。

次の幹線道路の前でも長い渋滞に巻き込まれました。結局、移動に通常の倍、40分もの時間がかかってしまいました。来年、渋滞に巻き込まれ、長時間車の中に閉じ込められた場合、排せつのケアはどうするのか。また、急な体調の変化に、ドライバー1人でどう対応すればいいのか。危機感を強めています。

デイサービス施設長
「結構、のども渇くだろうし、車の中に飲料水とか準備しないといけませんね。真夏だもん。渋滞で長時間、車の中にいることで、体調不良になったり、事故になったりしないようにしなきゃいけない。」

混雑に備えろ “在宅勤務”の社員たちは…

予想される交通渋滞にどう備えればいいのか。この日、もう1つ検証が行われていました。
東京・千代田区にあるパソコンメーカーの本社です。日中、社員の姿はほとんど見られません。

本社で働くほぼ全ての社員550人が、一斉に自宅での在宅勤務を行ったからです。商品開発を担当する、元嶋亮太さんです。横浜市の自宅で、パソコンのモニターを通じて打ち合わせに参加しました。

元嶋さん
「渋滞に巻き込まれないで、朝早くから快適に仕事ができるのは、生産性の面でもプラスになる。」

仕事の合間に子どもの面倒を見ることができた元嶋さん。今回の検証が、新たな働き方につながる可能性もあると感じています。

元嶋さん
「おむつ替えたりとか、そういうのは時間の合間にできるのも、ワークライフバランスの観点で助かっているポイントではあります。」

元嶋さん
「ちょっと待ってね。ミルク飲んでからにしましょうか。おはよう。」

オリンピック開催で予想される交通渋滞。有効な対策はあるのでしょうか。

交通渋滞の回避 何ができるか?

ゲスト 赤羽弘和さん(千葉工業大学創造工学部 教授)

武田:この実験は明日(26日)も行われる予定になっています。
ここからは、東京オリンピックの交通輸送対策を検討している、赤羽さんと共にお伝えしてまいります。
昨日の実験結果、国土交通省によりますと、首都高の交通量7%減にとどまったと。目標は30%だったわけですけれども、まず、この結果をどう受け止めていらっしゃいますか?

赤羽さん:今回の試行期間中の交通量削減の効果は、先行的に協力していただいている企業、団体、あるいは一般の道路利用者の協力によるもので、限定的と考えています。その割には、効果が予想以上に明確に出ていたのではないかというふうに考えています。

武田:一般道は、都心部は割と空いていたようですが、少し郊外の幹線道路や生活道路で、ご覧いただいたように渋滞が起きてしまいました。これはやはり全体を減らしていくしかないんでしょうか?

赤羽さん:幹線道路から交差点側に渋滞が広がって、面的な影響が出てしまうと。そういう状況には、対策として、交通量を削減するしかないですね。

武田:そのためにどうしたらいいのかということなんですが、赤羽さんはこんなアイデアを考えていらっしゃいます。これはカーナビの画面なんですけれども、こちら、オリンピック協力ボタン。

カーナビゲーションの会社と連携しまして、ボタンを押しますと、利用が制限されている区間を除いた道路から最適な経路を案内してくれる、こういうシステムを導入したらどうか、というところなんですが、これは実現できそうなんですか?

赤羽さん:特に、スマートフォンのアプリでナビゲーションシステムを使っている人たちに対しては、プログラム自体を通信によってダウンロードできますから、こういう新しい機能をすぐに使えるようになるということですね。そういうサービスを提供している人たちによりますと、どこで、どういう使い方をしたらいいのか、どの区間を通らなければいいのかということを教えてもらえれば、すぐに実現できるというふうに伺っています。

武田:ほかに私たちができることってどんなことがありますか?

赤羽さん:一般の道路利用者は、ニーズも、それから状況もさまざまですから、例えば公共交通機関に乗り換えるだとか、あるいは2回に1回、あるいは3回に1回でも利用を控えるだとか。それから大会関係者の移動がない夜間だとか、あるいは早朝にシフトするとか。あるいは今の紹介のようなナビゲーションシステムを使って、都心をう回するルートを選択するというような対策は考えられますね。

武田:合原さん、ほかにもできることがさまざま検討されているんですよね。

合原:交通量を減らすために推奨されているのが、テレワークです。VTRでも取り上げました、在宅勤務などですね。実はロンドン大会で、市内の企業の8割が実施しまして、交通混雑の緩和につながったということなんですね。

武田:私もその時ロンドンに行ったんですけれども、確かに大会期間中に休みを取ったりする人も多くて、街中、心配されていたほど混雑はしていなかったように感じました。
赤羽さんは、こうした交通量そのものを減らすために、例えば働き方であるとか、社会全体で取り組めること、具体的にどんなことがあるとお考えですか?

赤羽さん:例えば企業活動に伴う物流についても、物流会社が新しい輸送方式で、混雑時間帯にかからないように、貨物車を運行しようとしても、荷物を送り出す側、あるいは受け取る側の理解がないと実現できないんだそうですね。今回は目的を共有しやすいですから、この例に限らず、テレワークなども含めて、いろいろな変革が実現して、2020大会のレガシーになるかもしれないと期待しています。

武田:そうやって私たちが何か協力することによって、私たちの暮らしですとか、あるいは社会の在り方全体が変わっていく可能性がある。それが、ひいては私たちの財産にもなっていく。そういうふうにしていきたいということですね。