確実に料理が美味しくなる⁈科学的に解説するワインの料理への生かし方
飲み残してしまったワインを使って、料理を美味しく作りたい時があるかもしれません。特に、「赤ワイン煮」のように、お肉との相性がいいワインは、お肉を柔らかくするだけでなく、旨味までも引き出してくれてしまうほど、美味しく仕上げてくれる調味料だってことをご存知だったでしょうか?そこで、なぜワインがお肉を柔らかくしてくれるのかをご紹介します!
お酒に共通するお料理に生かせる魅力とは?
ワイン以外にも、日本酒や焼酎、みりんなど、日本には、数多くのアルコール飲料があります。これらのお酒には、ある共通の料理に生かせるポイントがあります。
それは、「低い温度での調理が可能なため、素材の品質を保った料理が作れる」ということです。この理由は、中学1年生の時に習った「状態変化」の「沸点」に理由があります。(沸点とは、沸騰する温度のことです。)
みなさんもご存知だと思いますが、水の沸点は、100℃です。それに対して、アルコールの沸点は、約78℃程度と言われており、水の沸点よりも、22℃ほど低いです。
そのため、加熱する際に、アルコール飲料をいれることで、全体の沸点が下がり、より低い温度での調理が可能となります。これによって、調理に利用する食材の味や香りを保ちつつ、料理を作ることができるんです。
ワインは「肉」を柔らかくする?
先ほどもご紹介しましたが、「赤ワイン煮」に代表されるように、お肉とワインは、食べ合わせだけでなく、調理でも相性がいいと言われています。特に、お肉を柔らかくしてくれる効果もあります。では、まず最初にお肉の成分について、少しご紹介します。
肉の成分と加熱した肉の特徴
お肉には、大きく分けると3つの成分で構成されています。「水分・タンパク質・脂質」です。その中でも、水分に次いで割合が高いのが、「タンパク質」です。このタンパク質が、お肉の柔らかさや食感を決めていると言っても過言ではありません。
そもそも、肉のタンパク質は、「筋原繊維タンパク質」と「筋形質タンパク質」、「結合組織タンパク質」の3つに分類することができます。それぞれの特徴について、簡単に記載しておきます。
主に筋肉の収縮機能を持つ。筋肉の半分以上。
2.筋形質タンパク質
筋肉を動かす時に必要な酸素を貯蔵する。筋肉の約3割程度。
3.結合組織タンパク質
筋繊維を結びつける「コラーゲン」やそれを支える「エラスチン」から成る。筋肉の約1割程度。
これら3つのタンパク質は、加熱するとそれぞれ、肉全体に大きな影響を与えます。
「筋原繊維タンパク質」は、加熱温度が40℃以上80℃以下で、熱によって、変形してしまいます。また、「筋形質タンパク質」は、40℃以上60℃以下で、凝縮してしまい、ゲル化してしまいます。そして、「結合組織タンパク質」は、60℃程度で、収縮してしまったり、肉汁が出ていってしまいます。
この結果、お肉が硬くなったり、味や香りが落ちてしまうことがあります。単に肉を加熱することで、肉が硬くなり、肉汁も失われてしまうことになってしまい、食材の良さを引き出せなくなってしまいます。
このことからも、食材を生かすために、低温で調理することがとても大切なんですね。
加熱後も柔らかい肉であるためには・・・?
では、加熱後も柔らかい肉にしておくためには、どうすれば良いのでしょうか?
それは、「肉をワインに漬け込むこと」です。これによって、「肉の硬化」と「肉汁の放出」を抑えることができます。では、どうして、ワインに漬け込むだけで、「肉の硬化」と「肉汁の放出」を抑えることができるのでしょうか?
理由1:保水性のUP
肉には、「肉繊維」に挟まれた部分に「水分」が含まれています。しかし、ワインに漬け込むことで、筋繊維が柔らかくほぐれていくことで、この筋繊維同士の間隔が開いていき、水分が入ることができるスペースがより広がります。
これは、ワインに含まれている有機酸(リンゴ酸、乳酸、酒石酸など)により、肉のpH値が低下することで、プラスイオンもしくはマイナスイオン同士が静電気のようにして退け合うことで起こります。
このように、有機酸によるpH値の低下で、保水性がUPすることで、肉の硬化を防ぎます。
理由2:硬化する原因のタンパク質を分解
食肉には、タンパク質分解酵素である「カテプシンD」という酵素が含まれています。この酵素は、pH値が低くなる(酸性が強くなる)と、活性が高くなります。これによって、加熱すると硬化する原因となるタンパク質を分解してくれて、硬化を防ぐことが出来ます。
理由3:(肉汁の放出を防ぐ)ワインのタンニンとタンパク質成分が肉の表面を覆う
肉のタンパク質には「収縮タンパク質」と呼ばれる筋収縮の時に機能するタンパク質があります。その中に、「ミオシン」と「アクチン」という成分があります。
ミオシンは、筋原繊維タンパク質の約60%を占めるとも言われており、筋肉を動かして、運動する時に非常に重要な役割を果たします。
また、アクチンもミオシン同様に、筋原繊維タンパク質の一つで、筋肉以外の細胞のタンパク質にも含まれます。最近の遺伝子研究では、人間や動物以外にも、このアクチンは、微生物に含まれることがわかってきており、様々な細胞に存在します。
このミオシンとアクチンとワインのタンニンが肉の表面で結びつき、肉汁の放出を防ぎます。食肉を扱う飲食店(牛丼チェーンなど)では、肉を調理する前に、白ワインに漬け込んで食肉を柔らかくしているようです。
調理用ワインと飲料用ワインの違いとは
上記のように、ワインには、肉を柔らかくしたり、肉汁の放出を防ぐ効果があるので、市販で、調理用ワインがあります。では、普段飲んでいるワインと調理用ワインには、どのような違いがあるのでしょうか?
調理用ワインは、普段みなさんがワインショップやスーパーで見かける「飲むためのワイン」は成分調整がなされています。
特に、「糖分」と「有機酸」、「アルコール度数」について、一般的なワインと異なります。
まず、糖分ですが、調理用ワインは、一般的なワインに比べて、糖分控えめに造られています。また、「酒石酸」や「リンゴ酸」、「乳酸」などの有機酸と呼ばれる「旨味」を引き出してくれる成分が豊富に含まれています。最後に、アルコール度数は、調理用ワインは高く造られています。というのも、アルコール度数を高く設定することで、保存期間を伸ばしたり、品質を保つのに適しているためです。
調理用ワインの赤と白の使い分け
調理用ワインにも、「赤ワイン」と「白ワイン」があります。それぞれの特徴とその特徴を生かした調理方法について簡単にご紹介します。
調理用赤ワイン
特徴
1.肉を柔らかく・みずみずしくする
調理用赤ワインは、果皮の成分が豊富に含まれていることで、「乳酸・リンゴ酸・酒石酸」の有機酸が多く入っており、pH値を下げることで、肉の保水性を高めてくれます。(先述)そのため、お肉をみずみずしく、柔らかに仕上げてくれます。
2.肉の臭みを抑えてくれる
最近では、ポリフェノールの抗酸化の働きが、肉の調理や加工の際の臭みを抑えてくれることが明らかになってきています。(「肉の臭みを抑える調理専用ワインの開発」小柳 淳氏 2013年)
調理方法
加熱して、煮込む前(約2時間程度)に、赤ワインに漬け込むと、柔らかい仕上がりに近づきます。また、赤ワインと一緒に煮込むことで、肉の臭みも抜けるので、鶏肉のレバーを調理する時にはおすすめです。
調理用白ワイン
特徴
1.魚の臭みを抑える
調理用白ワインは、魚の臭みを抑えてくれる働きがあります。これは、魚の臭み成分である「アミン」という成分を、白ワインの有機酸が中和することで、生臭さが抑えられます。
2.殺菌作用
また、それだけでなく、白ワインには、殺菌作用もあります。これは、有機酸(この場合の多くは、酒石酸とリンゴ酸が多い)が、ワイン中で「電離」するものと「電離しない」ものに分かれて存在しています。ポイントは、「電離しない有機酸」です。この有機酸は、脂質と混ざりやすい傾向を持っていて、細菌の細胞膜(リン脂質)と混ざり合い、細菌を殺菌することができます。このように、白ワインは、香りを引き立たせるだけでなく、殺菌作用もあります。
3.塩味がまろやかに
たまに、塩味がキツく感じる時があります。そんな時に、ワインの酸味が加わることで、塩味が丸くなることが「ワインの百科 河野友美 1969年」に明らかにされています。
調理方法
魚介類の生臭さを取ったり、牡蠣などが持つ細菌を殺菌・除去してくれるので、魚介類の調理におすすめです。特に、白ワイン蒸しのように、魚介類と一緒に白ワインを一緒に煮込むのが個人的には、おすすめです。
おすすめ調理用ワイン
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調理用赤ワインの種類は、実は結構少ないのですが、中でもメルシャンクッキングワインは、お手頃な価格で、しかも、和食・洋食と幅広い料理にも合わせやすく、業務用として飲食店でも活用しているところもあります。ちょっと、手の込んだお料理を作るのに、おすすめです!
サントリー 料理天国 紙パック 白ワイン
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調理用白ワインの定番中の定番と言っても過言ではない「料理天国シリーズ」の白ワイン。1979年の発売からプロの料理人からの絶大な信頼を集めるワイン。調理用ワインなら、これは外せない1本です。
まとめ
・アルコールを入れて調理することで、低温でじっくりと食材を生かした料理ができる
・赤ワインには、旨味やコクを出しながら、肉を柔らかくしたり、肉の調理・加工中の臭みを抑えてくれる
・白ワインには、魚の臭みを抑え、また、殺菌作用もある
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