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(喜美子)「モウイヤ」「モウダメ」「モウアカン」。
(直子)あか~ん!
直子…。
♪~
♪「涙が降れば きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火 どうかここにいて」
♪「私を創る 出会いもサヨナラも」
♪~
♪「日々 恋をして 胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら 笑うのよ 赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も 涙に負けるもんか」
♪~
♪「やさしい風に吹かれて」
♪「炎は再び舞い上がる」
何があったんや…。
(百合子)お父ちゃんはわざと送ってきた言うてる。
何かあったわけ…。(常治)弱音吐いてるだけやって もう。
ほやけど こんな3通続けて…。
お母ちゃんは普通の状態やない言うて心配してる。
(マツ)よっぽど 東京の仕事がつらいんや。
熨斗谷電機の社長さんごっつええ人や言うたやないか。
社長さんは ええ人かもしれんけど…。寮のおばちゃんも同僚も先輩も みんなええ人や。あのなこういうふうに書いてきたらなかわいそうやいうて金 送ってもらえる思とんねんて。
これ 直子の魂胆や もう。
はあ…。 前に お前金 送ってくれいうたる時 お前送らへんかったやろ。 せやからや。
あ?金 送ったらあかん言うたな?
甘やかしたらあかん言うたで?
はあ!?うちや! うちがやったんや!
送ったんか!うちのお金やからええやん!
1回だけや!4回…。
4回?あ… 6回送った。
(2人)えっ!?6…!
お前 どこ隠してある ここか!?
ああ それは!やめえ! あかん あかん あかん…!
やめえ もう!
お前 内職で稼いだ金 直子に送ったんか。微々たる額や。
そんなことするから お前つけあがんねやないか!
ほんまに何かあったんかもしれんやん。ないない ないない! あるか もう!
熨斗谷電機に電話してみよ!
はあ あのな もう就業時間終わっとるわ。ほな… 蒲田の寮!
電話の取り次ぎ時間ももう とっくに終わっとんねん もう!
東京行く!
やっぱり行って 顔だけでも見てくる心配や。
また出た また出た。待ってえや。 お母ちゃんが東京行くのも結構な心配やで?ほら 見ぃ!
せやけど…。
そや… 電話してみよか。
直子の様子 代わりに見てもらお…。
誰にや?草間さんや。
あ…。あっ 柔道の?
草間さん 今 東京に住んではる。
そんなん頼めんのん?
草間さんやったら 直子も覚えてるやろ。
あかん お前 そんなもん頼めるか。いやいや 頼まれへんわ そんなもん!
お父ちゃん! お父ちゃんから頼んだら大ごとになるさけうちから頼むわ。 お父ちゃんはもう 知らん顔しててええから!
なっ? うちが勝手にやったことにして。
あかん… あかん!
もう ここは 意地も誇りも一旦 置いとこ。
ほんまに何かあったんやったらどうするん。
ほっとくわけにはいかへんて。
草間さんに言うといてくれ…。
直子を… 蒲田から…。
草間流柔道で ダ~ッ 投げ飛ばしてくれ言うて。
分かった。あっ あっ あの 琵琶湖通り越して日本海までダ~ッ 投げてくれてかまへんわ!
もうええから もうええから。
ほな! ごはんにしよか。(百合子)せやな!
ごはんにしよ。
幸いにも草間さんとはすぐに連絡が取れました。
ありがとうございます。ほな 直子のこと頼みます!
はい! はい ほんま 助かります。すみません ありがとうございます。
はい。 ほな よろしゅう頼みます。失礼します。
(信作)おお~い!あ あ あ… もしもし!?
ええ~! 草間さん話したかった!ごめ~ん。ええ!
ごめん そんなに?何してん お前!もっかい かける?
かけろ! かけろ!(陽子)うるさいなあ。あんたは また今度 改め。
はよ準備しぃ。…んだよ。
喜美ちゃん 喜美ちゃんこれ 飲んでみぃさ。すいません。
草間さん 何て?
蒲田まで行ってくれる言うてくれました。優しい。
優しいなぁ。草間さん 昔から優しかったもんなぁ?
柔道は厳しかったで。そら あんたが下手やからや。
何 これ!?コーヒーや。
そう コーヒーやねん。お茶か思た…。
(大野)ほな 棟りょう いっぺんちょっと実際 見てもうてやね。
あっ 喜美ちゃん おはよう。おはようございます。
ここを わ~っと改装してやね…。(坂)ああ ほんで こういう感じけ。
ええ。 ほんで ここにド~ンと カウンターを置く。
ちゃう ちゃう ちゃう!カウンターは ここやで ここ!
カウンターは こっちの方がええやろ。いや~だって 入り口は そっちやしほやから こっちの方がええんよ。
(大野)いや それは どっちでも一緒やこっちにカウンターかて…。
(坂)ほしたらよ玄関もあれした方がええな?
玄関は 予算ちゅうもんがあるさけ…。
棟りょうの言うとおり入り口は大事やで?そうかあ?
まあ 細かいとこはおいおい決めていこか?
まっ そやな。ほな よろしく…。(2人)お願いしますぅ。
何で いきなり カフェ?大野雑貨店は どうなんの?
駅の近くに でっかい店 出来たやろ。えっ?
お前 ほんま絵付け以外のこと知らんねんな。
でっかい店 出来たから大野雑貨店あかんようになったん?
品ぞろえが ちゃう。客足止まってん。
そうなん…。
ほやからいうて カフェやるいう発想がよう分からんねんけどな。
まあ おいしいコーヒーの店まだ ここらにないさけ ええんちゃう?
畑違いのこと 始めるんやな…。
まあ… 変わっていかなしゃあない。
真面目な話 滋賀毎報新聞にも載ってたで。
「火鉢の生産 日本一やった信楽の町は大きな変換期を迎える」て。
丸熊も そやろ?
絵付け火鉢かて前みたいな勢いなくなってるやろ。
お前 分かってんのけ?分かってるわ そんなん…。
それは うちかて 分かってる…。うん…。
お見合い大作戦も そういうこの信楽の町を活気づけるためにやろういう話になったんや。
にぎやかにやったんで。
♪~
(ふすまが開く音)
寒ない?うん 大丈夫。 もう終わるし。
今日 ありがとうな。
草間さんに頼んでくれて…。ああ。
考えてみたら お父ちゃん お母ちゃんが行くより ええかもしれん。
うん うちも そう思た。
草間さんやったら直子も落ち着いて会うんちゃう?
草間さん 任せて下さい言うてくれたよ。うん。
また 絵柄の練習?うん 手が怠けんようにな。
ふ~ん…。
あっ うちの試作品 完成したで?
ほんま!?うちの初めてのデザイン!
それ もらえんの?安う買うとかでけへんの?
お父ちゃんが要らん言うやろ絵付け火鉢なんて。
ああ…。
お母ちゃん。うん?
朝2時間 早う行って夕方2時間 遅う帰ってきてもええ?
何で?十代田さんいう人がいてな。
そよださん?商品開発室いうとこで朝夕2時間 自分の作品作ってやんねん。
作品て…?昨日は うどん皿作ってた。
へえ~。面白そうやし 興味わいてきてん。
うち 陶芸を学んでみたい…。
陶芸を? また修業すんのん?
う~ん… 修業いうか…見させてもろて勉強させてもらえへんやろかてお願いしよう思うんよ。
絵付け火鉢もこの先 どうなるか分からへんし…。
絵付け以外にもいろいろ学ばせてもろて考えていこ思うんよ。もっと… 自分の世界を広げたい。
あかん?あかんことないよ。
(小声で)今 このうちで手ぇかかんのお父ちゃんだけやし。
(笑い声)
ほな 身につくまで何年かかるか分からへんし物になるかも分からへんけど…。ええ ええ。 気長に学ばしてもらい?
うん。それ タダなんやろ?
タダや。 ええ人やで?そう。感じのええ人や。
♪~
回想 (八郎)これで ようやく…。生き返った。
(戸が開く音)おはようございます。
こないだは ありがとうございました。(八郎)おはようございます…。
今日もええですか?えっ?あっ 今日もやのうて 今日から見させてもろてもええですか? 毎日。
毎日…?ずうずうしいのは承知でお願いします。
邪魔せんように気ぃ付けますし見させて下さい!
困るわ そんなん。えっ…。
あきません。何で?
あかんのです。何で? こないだは大丈夫やったやん。
堪忍して下さい。何で?
あっ また こんな目ぇして見ときましょか?
堪忍して下さい。若社長に断り入れた方がええんやったらうちが入れておきます。そんなんされたら 余計や。
何があかんの?
朝夕 毎日 2時間?はい。
僕と 川原さんと2人?はい。
2人きり? 毎日 朝も夕方も2時間…そんなん… 何て言われるか…。
周りに知られたら何 言われるか分かりませんよ。
がっかりや…。
今 がっかり言いましたね?なに 怒ってんねん。
怒ってんのは そっちや。がっかりした言うただけやん。
がっかり言うて怒ってるやん。
ハチ 信作って呼び合ってうちのことは川原さんで…。
いつまでたっても喜美子 言うてくれへんのはそういうことやったんですね。何が そういうこと?
こんなにも何回も会うてようさん おしゃべりしてんのにここと ここの間は男と女いうことでしょ!
男と女や!
僕にとって 川原さんは 女や。
今までも これからも ずっと。
僕は つきおうてもない人のことを気軽に名前では呼べません…。
そういう古くさいとこあるんです。
喜美子なんて… 呼びとうても呼ばれへん。
ほな つきあったらええやん…。
呼んで? 喜美子 呼んで。つきあって下さい。
♪~