いざという時に頼りになる薬も、使い方しだいで毒になる。番組を見たあなたも、見なかったあなたも、薬の危険性を甘く考えてはいけない。自分の命を自分で守るための知恵をつけておこう。
「番組放送後、『薬をたくさん飲んでいるから相談したい』と、外来の患者が増加しています」
こう語るのは、10月22日放送のNHK『クローズアップ現代+』に登場した神戸市・吉田病院脳神経内科部長、平田温氏だ。
この日のテーマ、「たくさんの薬は害になる!?~〝多剤服用〟の深刻なリスク~」が、放送後、大きな波紋を呼んでいる。
番組の元になったのは、東京大学大学院医学系研究科の秋下雅弘教授(老年医学専門)を中心に発表された「高齢者が気を付けたい 多すぎる薬と副作用」という研究だ。
秋下教授はこの研究を元に、「基本的には、薬が多くなればなるほど薬の副作用は出やすくなる」と警鐘を鳴らした。
薬をたくさん飲んだり、飲み合わせが悪かったときに起こりうる副作用には、吐き気やだるさといった軽いものもあれば、頭蓋骨内の圧力が高まって脳ヘルニアになり、最悪の場合、死亡するようなものもある。
秋下教授たちの研究で明らかになった事実は、「6種類以上の薬を飲むと副作用が出やすい」ということだ。
75歳以上では4人に1人が7種以上の薬を飲んでいるというデータもあり、不安に思う人も多かったはずだ。
番組で登場した、薬の副作用のせいで寝たきりになってしまった80歳女性の姿も視聴者を仰天させた。
女性は3年前、うつや狭心症、不眠などで複数の医療機関にかかり、12種類の薬を処方された。次第にふらつきや転倒がではじめ、動くことが少なくなり、介護が必要な寝たきりにまでなってしまったという。
しかし、原因だった薬をやめて5種類にまで減らしたところ、なんと一人で出歩くことまでできるようになった。
病院で処方される薬は、ときに恐ろしい事態を引き起こす。番組が取り上げた5つのテーマを深掘りしてお伝えしよう。