非常に良くできたゲームである。
そもそもストーリー型RPGは自分の苦手とする分野なので、よほどできが良くないと遊び続けることが難しいし、ストーリーをバンバンスキップしてしまって、意味不明になってやめてしまう事が多いのだが、ペルソナは、ペルソナ5の時点でも、ひっくり返るほどよくできていたので、キチっと最後までプレイした。(収集要素はやってない)
ペルソナ5ロイヤルは、ペルソナ5に、新キャラx2、新システム少々、新ペルソナ、新ダンジョン、新シナリオを足した感じの品物らしい。
以後ネタバレ全開で書くため、未プレイの人は注意。
■感想箇条書き
・ペルソナ5は、「日本型RPG(JRPG)に、CGゴリゴリジャない方向で大金をぶっこむとこうなる」という作り方をしている。
その結果、FFやドラクエとは又違う、一つのJRPGの究極系だと思う。
日本のRPGはドラクエが、週刊少年誌的な少年の成長譚を取り入れることで、Lvアップで戦闘力が100倍になる、といったリアリティを感じにくい戦闘を、そんなもんだと思わせ定着させて現在に至る。
少年の成長譚を描くのにとても適したフォーマットである。(だから愛され、多数の作品が生み出された)
そこに日本的な、アニメ、サブカル的なお約束をぶち込み練り上げ、莫大な金額で積み上げてあるペルソナ5およびRはJRPGの集大成といえる。
P5のす凄さは、まさにそこで。JRPGというジャンルに大金をぶっこんでそれを成功させている所にある。
大金をぶっこまないと成立しない。
要素が莫大にあるゲームなので、普通の予算では作れない。
チープに作ったら、このゲームシステム、このシナリオでも、この完成度や人気(ひいては売上)は維持できないであろうから、「ものすごく正しい、金の使い方」がなされたゲームだと思う。
世の中間違った予算の溶かし方をしたゲームの方が多いので、これは素晴らしく正解な判断がされていて、拍手喝采である。
・このタイプの、色々なゲームシステムが盛り沢山なゲームを、俺は「全部盛り」と呼ぶ。
普通はあの機能もほしい、この機能もほしい、と必要と感じた機能を全部ぶち込むと、予算を食い潰し、ゲームとして散漫になるので、あまり良い結果を産まない。
P5は、比較的癖の強いバトル、凝ったダンジョン、自動生成ダンジョン、ペルソナ合成システム、RPG的成長システム、人間的成長システム、好感度システム、それらをつなぐアドベンチャーパート、ミニゲーム、と正直やりすぎの盛りすぎである。それらをすべてパラメータ的にもシナリオ的にも関連付けている。
これを甘く考えてはいけない。この大量のシステムを全部ぶっこんで煮込んで関連させてゲームをつくることがどれほど大変か。
なにしろデバッグが大変だ。(そこかよと思うが、これは同業者は皆思うだろう)
要素を増やせば、バグはかけ算で増えていく。チェック時間はなにをかいわんやだ。よくこのボリュームで目立ったバグをなしに成立させている。
大予算の盛りだくさんゲームであり、それぞれのパートがちゃんと、シナリオに奉仕している。シナリオはゲームに奉仕している。
なかなか実現が難しい偉業である。
・ シナリオのあるゲームには、ゲームがシナリオに奉仕するタイプと、シナリオがゲームに奉仕するタイプがあるが、ペルソナは、前者と後者の塩梅がすごい。
シナリオがゲームに奉仕するタイプのゲームとは、マリオやスト2のようなものを指す。ピーチがさらわれた、ベガを倒せ。といった、ゲームの目的をシナリオで与えているもので、シナリオがなくてもプレイに支障がない。インベーダーゲームは、敵がインベーダーであるという設定があるからインベーダーとして遊ぶが、タコタコウォーズだったらタコだと思って遊ぶし、イカイカ砲撃戦だったら、イカだと思って遊ぶ。その面白さに支障はない。
ゲーム自体を面白く遊ぶためにシナリオが存在する。これをシナリオがゲームに奉仕するという。
逆に。
ゲームがシナリオに奉仕するタイプのゲームとは、アドベンチャーゲームや、美少女シム(このジャンルには知見が薄い)があり、お話、キャラクター、世界観を表現するためにゲームが作られているもので、シナリオなしではゲームが成り立たない物を指す。
一般的に、ゲーム性とはプレイヤーを選ぶ(うまくないと面白くない)ため、シナリオによる面白さのほうが、一般人に広く刺さりやすい。もちろん、刺さりやすい題材を選ぶ必要があるが。
RPGが、日本で一世を風靡した理由の一つとして、このゲーム性をゆるくした(経験値を稼げばどうにかなる)と、シナリオによる報酬設計がある(シナリオを進めるためにゲームをプレイする構造)。面白かったゲームのどこが面白かったか?を聞くとお話が良かったという回答が帰ってくる昨今である。
シナリオを楽しむためのゲームシステム。これがゲームがシナリオに奉仕するという。
ペルソナは、ペルソナという世界観を表現するためにゲームシステムが練り上げられているが、作られたゲームシステムを表現するためにシナリオも練り上げられている。ゲームとシナリオの融合という意味では、かなりのレベルで互いが互いに奉仕しており、すばらしい。分断が少ない。
・普通はゲームとシナリオは分断するし、ゲーム内部でも、バトルパートとイベントパートや、成長とバトルが分断する。顕著な例ではFF7などで、寡黙陰鬱美少年をキメていたクラウドが突然嬉々としてゲームシステムを説明し始めたりするアレだ。他、世界に危機が迫っているのに、カジノにこもるドラクエや、チョコボレースをし続けるFF,平和な日常を繰り返す待ち人のRPGといったところ。
これはゲームの利便性を考えてもそうなるし、複数人数で作るからでもそうなる。ゲーム的なお約束としてアリとされる。
ペルソナ5はかなりこの部分に気を使っていて、そもそも現代でどうやってダンジョン攻略するのよ?みたいな部分を、ちまちまねっちり設定を積み上げて作り出しているし、キャラの成長、収集も、ゲームに消化して、シナリオにも逆流させている。
・こういう、シナリオとゲームの融合というのは、ゲーム開発者の夢であり、俺も夢見ているわけだが(もっとゲームよりだが)。
ペルソナは、かなり多くの人に刺さる塩梅で、それを大金で実現させ、売上をドカンと建てるという、すばらしいゲーム開発者ドリームを成し遂げていると思う。 何度も書くが、素晴らしい。
・P5と比べて良くなったと感じるところとしては、
・パラメータ上げがゆるくなった:たぶんだが。おかげで中盤でやること無いが、コープ上げたい人が見当たらないにはなりがちだが。
・ペルソナとの交渉のヒントがついた:これがなかった頃はゲーム性というより、バクチ&暗記寄りだったので良いと思う。
・銃弾打ち放題になった:銃撃弱点の敵をダウンさせるために、弾数をずっと調整しなければならなかったわりに、そもそもそんなに威力無いので、岩井とのコープあげる意味があんまりなかったので、改良だと思う。(おかげで効かない奴が増えてる気もするのでちょっと悩ましい)
・新キャラの女の子はかわいいね;フトモモがいいとか、モーションがうるさくていい、とかもあるが、まぁヒネリなしってことはないだろうと思わせておいて、ありきたりなヒネリではあったが、ヒネリの方の顔グラが可愛いので良し。みたいな。
・ワイヤーによるエンカウント:遠距離背後からのエンカウントが可能になり、バトル前の探索シーンの単調さが回避された。これよって的状態異常からバトル開始というのは、相手に如何にターンを回さないかというペルソナ独特のバトルにおいてかなり意味を持つ。
・P5と比べて好みでないところは感じるところとしては、
・スタンプと花。メメントスというダンジョンを攻略する中で、スタンプと花を集めるという仕組みが増えたのだが、基本的にくまなくマップを虱潰しするしかなく、ランダム発生するものがでるまで周回する(しかもターン制限があるので、一度メメントスに入ったら可能な限り消化せざるを得ない)という、総当たり戦を余儀なくされる仕組みがあり(無視してもいいが、レベル上げとアイテム収集にかかわるので、手を抜くと苦労する)これが、どうにも肌に合わない。
・ショウタイム:バトル中確率で発生するコンビ攻撃。これが今回から追加されたのだが、何でもありの世界観とはいえ、それを成立させるために、ネチネチコマコマと積み上げてきたロジックをわりとパーにするというか、はいはい認知認知なんでもありね。みたいな感じになってしまっている。興が削がれる。
・イシ:新規に追加されたパレスでの収集物が、これも虱潰しが必要で好みではない。
・新規追加パレス;謎の種類が、面倒くさい。解けないことはないんだけど、メモが必要。これも好みの問題だが苦手。
・ワイヤーによる移動:虱潰し要素+マップの接続がミニマップから把握できない。楽しいよりも、面倒臭いが強く感じる。ただカメラワークを固定することで、パレス内の見せ場を作ることに成功しているので、良し悪し。
・P5、P5R共通して苦手な部分
・詰む:
普通にやってりゃ詰まないが。プレイスタイルが雑かつ高みを目指すと詰む。自業自得。
ヘタなタイミングに上書きセーブは厳禁だ!
・ゲームシステムを理解するのに時間がかかる:
いろいろと凝ったことをしているのだが、説明が足りないので正しいプレイがわからない。
せめて時間が経過する行動としない行動の区別はほしい。
そういう暗中模索自体がゲーム性ではあるのだが、繰り返しプレイするには1プレイ100時間超えは厳しすぎる。
・期間要素:ゲームの中で何かをする度に時間が流れるので、取り漏らしがないかを常に意識しての行動が必要になる。これがゲーム性なので仕方がないが、プレイスタイルに合わず辛い。
・誰かとのコープを上げる時、対応したペルソナを持っている方が上がるというシステムは、シナリオ的にはそれで良いし、ゲーム的にもわかるのだが、やることといえば、ペルソナインベントリ整理して都合の良いペルソナ作ったり買ったりという固定作業なので、面倒くさいだけな感じが強い。普通に、全書に乗ってる数で数字が変わればいいのにと思う。
・シナリオバトル:癖の強いバトルシステムはよく練り込まれているのだが、それ故に要所要所のバトルはかなりきつくなる。属性を一通り確認して再プレイ、といったプレイスタイルが必要なのだが、セーブポイントややり直しポイントはそれに適応していない。これはググりながらゲームをする誘惑が強い。
プレイ関係なくシナリオの都合でバトルが左右される場所もあるのでなおさら
・中2要素、恋愛要素;これは俺がおっさんだからつらいだけで、若者にはジャストミートだろう。
ただどうにも、人の心の闇や、つらい経験を、雑に扱わざるを得ないので(まぁそういう話なので)エピソードとして陰惨なものをカジュアルに扱っているのは、苦手意識がある。
以上、寝る前に、ダダーっと書いたので、重複やまちがい、「てにをは」がおかしい、などはあると思うが後で気がついたら治す。
ほんと、非常によくできたゲームであり、純粋に造り手として羨ましいし、プレイヤーとしてとても楽しめた。
自分が、JRPGを、エンディングまであそぶのはなかなかないのだが、P5は2周遊んだしP5Rはそろそろエンディングである。
ちなみに押しキャラは、ポンコツ姉妹の姉(ニイジマ姉)と、真実が見えたあとのレオタードと、そのコーチ、喋らなければ一二三ンである。
P5では、全マタプレイとなっており悲惨だったので、P5Rでは純愛でやるかーと思って、なぜかベッキー先生一筋になってしまった。(イベントの順番による)
恋愛イベントを全部見たい、とかの欲求はあまりない方なので(およびポンコツ姉は恋愛イベントないしな)まだいいが、これコンプリート欲求があったら、クソ面倒くさいだろう。
さらに言えば、ほんとうにデバッグチームご苦労さまである。こんな仕様のゲームって何人何ヶ月でデバッグ終わるのかちょっと計算するとヒク。
いやーほんとすげぇなと思います。
| ホーム |
COPYRIGHT © 2004 POWERED BY FC2 ALL RIGHTS RESERVED.