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 やはり、カツオに異変が起きていました。昨年に報告された食中毒の件数は、寄生虫アニサキスによるものが最多となり、中でもカツオの事例が急増したことは、以前にこのコラムでも取り上げました。なぜだったのか、理由と予防策を調べていた厚生労働省の調査研究結果がこのたび公表されました。

 これまでアニサキス食中毒といえば、サバやサンマによるものが主で、カツオは多い年でも10件程度でした。ところが、昨年は100件、特に4月から5月の初ガツオの時期が半数以上を占めました。

 太平洋で漁獲されたカツオ100匹を調査したところ、カツオ1匹あたりの寄生数は、別の調査で蓄積されていた2012年から16年のデータに比べ、昨年5月は7倍、8~11月は4倍多かったのです。

 カツオの漁獲直後、水揚げ後、流通後の3段階でアニサキスの寄生実態を調べると、いずれの段階でも、腹側の身からアニサキスが検出され、背側の身からは見つかりませんでした。漁獲直後に船上で内臓を取り除いたカツオであっても身にアニサキスが見つかり、検出されたアニサキスはカツオの組織に包まれた状態であったことから、カツオが生きている間にアニサキスが筋肉である身の部分へと移動していることが分かりました。現在のカツオの流通は水揚げから販売まで低温に管理されていて、流通の間に筋肉へ移動する可能性は考えにくいとしています。

 従って、流通業者や飲食店の管理や処置のせいではなく、昨年、特に春のカツオにはアニサキスが例年より多数寄生していたために、食中毒の多数発生につながったとみられます。

 ではなぜアニサキス寄生が多かったのか。どうやら海の異変が関連していると考えられています。

 漁業関係者への聞き取り調査に…

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