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【羽ばたけ中部勢】碧山からのプロテインを力に…栃幸大が“四度目の正直”で初の幕下勝ち越し2019年12月4日 0時21分
大相撲の西幕下55枚目の栃幸大(20)=春日野=が九州場所で4勝3敗と勝ち越し、一年を締めくくった。“四度目の正直”で幕下では初の給金直しに「気持ちは楽になったけど、まだまだこれから。十両を目指して番付を上げたい」。2020年は、さらなる飛躍を誓う。 はね返され続けた幕下の壁を、ようやく突破した。栃幸大は、九州場所11日目の六番相撲。得意の左おっつけで相手の圧力をそいでから肩すかしで回り込み、身長が10センチ高い相手を押し出し。勝ち越しが懸かった一番を制した。幕下4場所目で初の勝ち越し。それでも「追っ付けで一気に前に出るのがベスト。上を目指すため、もっと馬力を付けたい」と満足することなく、口元を引き締めた。 静岡でも屈指の相撲どころの三島市出身。身近に憧れがいた。中大で学生相撲に打ち込んだ父・信二さんの影響で小学2年からまわしを締めると、すぐに関取と触れ合う機会に恵まれた。小、中学校で所属した三島相撲クラブOBの幕下経験者で、現在幕下の磋牙司(入間川)だ。 毎年元日の稽古始めに参加し、迫力のぶつかり稽古を披露してくれた。今でも「何番勝った?」と気に掛けてくれる17歳年上の大先輩の存在が、角界入りの後押しになった。「部屋にも誘ってもらったんですけど、大学進学と迷っていた時期で…。直接対決で感謝を伝えたい」と初顔合わせを心待ちにしている。 昨年の春場所で新幕下に昇進したが、場所前に右足首をねんざ。3番休場して復帰したものの、白星は挙げられなかった。この時の経験が、引き技が多い取り口を見直すきっかけになった。 兄弟子への感謝も、大きな力になっている。現在は静岡・飛龍高時代、片道40分間の自転車通学で鍛えた下半身の粘りを武器に、前まわしを狙う積極的な攻めを身に付けつつある。手本にするのは十両栃煌山。先の九州場所では「やっとだな」と勝ち越しを祝福してもらった。 付け人としてつく幕内碧山からはプロテインを買ってもらい、「幕下で満足するなよ」と励まされる日々だ。「勝ち越しは自信になった。関取に上がることが、兄弟子への恩返しになる」。勝負の一年が待ち遠しい。 ▼栃幸大英樹(とちこうだい・ひでき)本名は鈴木英樹。1999(平成11)年1月9日生まれ、静岡県三島市出身の20歳。176センチ、120キロ。静岡・飛龍高では3年で高校総体ベスト8。2017年春場所初土俵。最高位は昨年九州場所の西幕下37枚目。得意は左おっつけ、右前みつ。
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