ふと時間が空くことがある。眠っていた才能が目覚めたのか、いつもは全然終わらない仕事が急に早く終わったり(その才能はまた長い眠りにつくのだけれど)、打ち合わせと打ち合わせの間にポッカリと時間が空いたりなど。
この時間をどう使うかが、できる大人の分かれ道だ。ビジネスに関わる本を読むのもいいだろう、ノートパソコンを広げて仕事をするのもいいだろう。スポーツジムに行って体を鍛えるのもありだ。
私の場合は、そんな時間は大抵、寝る。ぐっすりのスヤスヤだ。寝る以外の選択肢はゲーム。最近、Nintendo switchを買ったのだ。これがもう本当に面白くて、あっちに祠があるんじゃないか、こっちにライネルがいるんじゃないか、と大忙しだ(ゼルダの伝説ブレス オブ ザ ワイルドの話です)。もう合間にゲームをしているのか、合間に仕事をしているのかわからないくらい、ブレス オブ ザ ワイルドだ。
この空き時間は海外に行った際によく発生する。特に、直行便ではなく、安く済ませるために乗り継ぎで行くと発生する。トランジットでの待ち時間があるのだ。すごい時はこの待ち時間が24時間とかある。それはもう1泊2日の旅。そこまで時間がかからなくても、5時間とか、6時間とかは普通にありえる。これをどう過ごすかが問題だ。
私はだいたい寝て過ごしている。空港を見ているとよくそういう光景を目にする。めちゃくちゃ寝ているのだ。マクラ持参の人もいる。私はリュックサックをマクラにして寝ている。グースカピーと寝るのだ。やることがないので仕方ない。
カタールのトランジットの過ごし方
しかし、カタールにある「ハマド国際空港」は違った。トランジットを有意義にすごしましょう、というサービスがあるのだ。ハマド国際空港はカタールのドーハにある空港。カタールは一部では魅力のない国と言われている。そんな国に楽しく空き時間を過ごすサービスがあるのだ。
カタールと言われてもドーハの悲劇くらいしか思い浮かばない。あと油田がすごそうというイメージだ。そして、イスラム教でカンドゥーラを着ている気がする。私もトランジットでカタールに行ったので特に勉強していない。
そんな状態でトランジットの空き時間に観光するのは非常に難しい。何も知らないのだから。ただハマド国際空港では、5時間以上の乗り継ぎ時間がある場合に限りツアーを実施している。バスに乗って、ドーハ観光に連れて行ってくれるのだ。これで惰眠(だみん)をむさぼる必要がなくなる。
料金は日本円で2,250円くらい。昔は無料だったそうだけれど、今はその値段になっている。さらにお金を払えば、広大な砂漠ツアーなどにも行けるけれど、7,500円かかるので却下。2,250円の市内観光ツアーを申し込んだ。48時間前から予約できて、空きがあれば当日でも申し込むことができる。
さくらインターネットのサービスも、レンタルサーバだけのイメージがあるけれど、「さくらのクラウド」もあれば、「高火力コンピューティング」もある。カタールの空港のように飛行機の離発着だけではないのだ。自分に必要なものを考え、お金の相談をして申し込めばいい。私は「さくらのレンタルサーバ」を使っています。
担当者と一緒に入国手続きなどをするのでスムーズ。ひっかかるかな、みたいな心配があまりない。私は顔のせいかもしれないけれど、入国出国でめちゃくちゃひっかかるのだ。以前、インドから出国しようとしたら、なぜか1時間足止めされた。旅行だ、って言っているのに、そんなはずない、と言われ1時間。そんなこと言われても旅行なんだもん。そんなわけで、担当者と一緒に入国はとてもよかった。
油田でお金がある国なのだろう。街並みは美しい。ガイドさんがこの後、フェラーリのお店があるから買えばいい、と言っている気がする。あと金細工が有名なので、やっぱり買えばいい、と言っている気がする。こっちは2,250円で高いな、おい、と思っていたけれど、こちらの国としては、フェラーリに、金だもの。2,250円は端数なのだ、きっと。
ツアーは2時間から3時間ほど。ドーハの主な名所を回ってくれるので、自分でタクシーやバスを使って回るよりも効率的だ。あと、どうも物価が高いようなので、このツアー料金でこの内容なら安いように思える。
さくらインターネットの媒体だから言うわけではないけれど、私はマジで使っている。レンタルサーバはさくら、ドメイン取得もさくらを使っている。安くて高性能だから。このカタールのツアーと一緒。安いだけではなく、内容も伴っているのだ。
どこかでなにかを見るツアー
さくらインターネットは問題ないけれど、こちらのツアーには問題がある。英語オンリーなのだ。私は英語がわからないので、懇切丁寧に「あれはあれで」的なことを担当者が説明してくれているのだけれど、全くわからない。「なにかだ!」と何かわからず写真を撮っている。でも、「なにか」なのだ。それでいいじゃない。なにか、なのだから。人はそれを愛と呼ぶんだぜ、きっと。
「なにか」だけではなく、「どこか」というパターンもある。遠くから見ていると「なにかだ!」なのだけれど、連れてこられた場合は「どこかだ!」となる。「どこかのなにか」、なのだ。でも、綺麗だからそれでいいじゃない。このツアーに参加しなければ、空港で寝ているだけ。その無駄な時間を使い、知らない国を旅しているのだ。有意義じゃないか。具体的に何かはわからないけれど、どこかのなにか、なのだ。知ったところで人生に変化はないので、ただ美しい景色を見た、ということだ。日本に戻り誰かにこの話をすると嘘話みたいになる問題はある。
「カタールに行って、バスに乗ってどこかに行って、なにかを見たんだよ」
嘘みたいだ。具体的な話が一切ない。私が女優を下の名前で呼ぶのと一緒だ。下の名前で呼ぶと、周りはもしかしてこの人はあの女優と知り合い、いや付き合ってる? と思うかもと考え下の名前で呼んでいる。ガッキーと呼ばず「結衣」と呼ぶ。ただ具体的なことは知らない。だって知り合いじゃないから。それと一緒の現象だ。
ツアーの参加者もいろいろな国の人がいるけれど、みなそれなりに英語を理解しているようだ。ツアーは1日6回行われているので、自分が参加しやすい時間に参加すればいい。バスに乗って、どこかに連れて行ってもらい、なにかを見るので退屈しない時間を過ごせる。最後には「どこか」に連れられ、自由に散策する時間もある。
カタールの通貨はもちろん、ユーロを使うこともできる。私はカタールのお金を持っていなかったので、ユーロで買い物をした。カタールと言えば、砂漠なので、砂漠っぽいものを買った。日本円で1,500円。高いか否かは不明だけれど、買った。
カタールって書いてあるもの。どこに行ったか一発でわかる。私は常に分かりやすさを大切にしている。東京からどこかに行く際にお土産を持って行く場合、絶対に「東京ばな奈」を買う。美味しいからという理由もあるけれど、「東京」と書いてあるのがいい。どこのお土産かわかるのだ。特にカタールは「どこか」「なにか」の連発なので、カタールという文字を大切にしたいのだ。
屋台もあったので「なにか」を買った。これがすごい。「なにか」を鉄板に広げ、「なにか」を塗り、「なにか」を畳むと「なにか」が完成する。全て「なにか」なのだ。でも、作っている過程を見ているので、食べてもたぶん大丈夫だろう。
味は美味しかった。なにかの味だ。私は豚肉と牛肉の違いがあやふやで、何を食べても美味しいという幸せな舌を持っているので、なんの味かはわからない。ただ美味しいということは間違いない。200円弱だったので、物価としては安くないというのがわかる。
さくらインターネットの場合は、「なにか」というものがない。キチンと説明があり、「まりなの自動チャットサポート」で気軽に質問もできる。「なにか」という謎がないのだ。カタールのツアーも英語がわかれば、「なにか」という謎はないのだけれど。
これでツアーは終りだ。5時間のトランジットで3時間ほどが潰れたことになる。かなり有意義な時間の過ごし方だった。「どこか」とか「なにか」とか関係ないのだ。「どこか」で「なにか」を見た、という事実が大切。なんか好きなんだよね、くらいの感覚から運命の出会いって始まるやん、そういうことなのだ、たぶん、きっと。
カタールはトランジットで訪れることが多い国だと思う。そんな時に便利なツアーだった。間違いなく時間を有意義に潰せる。「なにか」と「どこか」の連発だったけれど、それでいいのだ。一番大切なことは「なにか」と「どこか」でいいと思える広い心だけれど。
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