“サンドバッグ状態”から抜け出したい25歳女性に鴻上尚史が教えた「結果、一番楽になる方法」
連載「鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい『世間』を楽に生きる処方箋」
鴻上尚史の人生相談。「言い返す」より「言い返さない」ほうが楽だけど、「なんでも言いやすい人」になってしまうと嘆く25歳女性。対処法を教えて欲しいと問う相談者に、鴻上尚史が言い返す意味と、その後の交渉スキルの上達。
【相談50】「言い返さない」ことを選んだらサンドバッグ状態です(25歳 女性 ぽつん)
わたしは基本的に言い返すということをあまりしません。言い返すことと、そこで流して終わらせる苦労を天秤にかけたとき、流す楽さが勝つのです。というのも、そもそも反論したり諭したりする事で相手に何かしらの変化が見込める人ならいいのですが、「この人はどうせ何言っても変わらないだろうな」と思う人は相手にするだけ無駄だと感じるからです。結果の出ない議論は怒りで自分を消耗するだけに終わることを何度も経験し、24歳くらいでやっと理解しました。
しかし「言い返さない」が定着してくると相手から「言い返してこないからなんでも言いやすい人」になってしまいサンドバッグ状態です。流石に何も感じないわけでもないのですが、不快感が外に漏れないようにするのが今のわたしにはやっとなので言い返す瞬発力がありません。あとに少しの後悔が残るだけです。理想はそもそも怒りが湧かないレベルに達したく、身近にいるそういう人に教えを請うてみたのですが、「全て一回受け止め、すぐに手放す。深く考えない、バカにされたとか見下されたとかどうでもいい」でした。
ここまでくれば生きるのが楽そうだなあと思う反面、なんだか冷たさを感じてしまって結局どうするのがいいんだろうと頭を抱えています。そもそも土俵が違う人と喧嘩をするのが面倒なのですが、現状をなんとかしたい気持ちもあります。
未熟者へ対処法をご教授ください。
【鴻上さんの答え】
いえいえ、ぽつんさん。「未熟者への対処」と書かれていますが、これは、大人になってもなかなか解決しない永遠の課題です。
ぽつんさんが未熟なのではなく、これがうまくいけば、「人間関係のトラブル」の大半は解決するでしょう。