暗黒放送・横山緑氏
動画投稿で稼ぐというのは、莫大な収入を得るユーチューバーが注目された事もあり、一般的にも知られるようになったかと思う。多くの動画投稿サイトでは動画投稿者が収入を得る仕組みを整えている。あまり知られていないが、日本発の動画投稿サイトである「ニコニコ動画」でもこの仕組がある。
ニコニコ動画で稼ぐには「クリエイター奨励プログラム」という制度を利用する。クリエイター奨励プログラムに作品を登録すると、その作品の「人気度」に応じてクリエイター奨励スコアが貯まる。このクリエイター奨励スコア1点を1円で交換可能となっている。
この記事ではニコニコ動画で稼ぐ前に知っておくべき
▶ ニコニコで広告収入を得る方法
▶ ニコニコ動画とユーチューブ、どっちが儲かるか?
から
▶ 動画で稼ぐ方法
まで詳しく紹介したいと思う。
ニコニコで広告収入を得る方法
ニコニコ動画への動画投稿で収入を得るには「クリエイター奨励プログラム」という制度を利用する。
クリエイター奨励プログラムとは、
niconicoプレミアム有料会員費や動画・静画ページからの広告収入を原資として、niconicoの投稿作品に対して奨励金(クリエイター奨励スコア)を付与するために作られた制度。クリエイターの創作活動とコラボレーションの発展・推進を目的としている。
ニコニコ動画の動画、ニコニコ静画のイラスト・マンガ、ニコニ・コモンズの素材作品に加えて、ニコニコ生放送も対象となった。
クリエイター奨励プログラムに作品を登録すると、その作品の人気度に応じてクリエイター奨励スコアが貯まる。また、オリジナルの作品から派生して作られた子作品の動画に奨励スコアが貯まる場合、親となるオリジナルの作品にも「子ども手当」としてクリエイター奨励スコアが別途支払われる。
貯まったスコアは
10点から、1点=1ptでニコニコポイントに変換することができ、
10000点からは1点=1円で現金への交換も可能
つまり、クリエイター奨励スコア1点=1円となる。
ニコニコ生放送も「直接」クリエイター奨励プログラムの対象に
今までのニコニコ生放送はコンテンツツリーで放送に紐づけられた子作品(動画)からの「子ども手当」のみクリエイター奨励プログラムの対象だった。しかし、2017年10月からは直接的に、ニコニコ生放送から収入を得られるようになった。
クリエイター奨励プログラムがニコニコ生放送に対応しました|ニコニコインフォ
2018年6月にはニコニコ広告がリニューアルし、配信者にはニコニ広告の消費ポイントに応じ、クリエイター奨励スコアへ加算されるようになった。
このクリエイター奨励スコアは再生数や広告消費数で何点(何割)もらえるといった明確な基準が存在していない。ただ、ニコニコ生放送へ対応したことで「ふわっち」などの投げ銭配信サイトから、ニコニコ生放送へ帰ってくる配信者も増えている。ニコニコ生放送へ帰って来ているのは、それなりに稼げるというのが大きな理由だろう。本人は明確に宣言していないが、大手配信者の横山緑氏は1時間の生放送だけで1万円程度、要は時給1万円稼いでいるとのことだ。
加えて、2019年4月11日からはギフト機能と呼ばれる実質的な投げ銭もスタートしている。ニコニコ生放送のギフトについて詳しくは下記記事を参考に。
ニコニコ生放送は「関連動画からの子ども手当」「ニコニ広告」「ギフト」の3つから収入を得られるようになったのだ。
ニコニコ動画とユーチューブ、どっちが儲かる?
動画投稿により広告収入を得たいと考えている場合、投稿するサイトはニコニコ動画かユーチューブかで迷うかもしれない。
上記記事でも紹介したようにユーチューブでは1再生辺り0.1円程度の収入を得ることが出来る。
ニコニコからの広告収入
ではニコニコ動画からはどのぐらいの収入が得られるのだろうか?
動画や静画を含めたニコニコ全体のクリエイター奨励プログラムによる支払額は過去に何度か発表されている。
2011年12月~2012年9月(10カ月間)
2011年12月にスタートし、2012年9月までの10カ月間で、総計3億336万8632円分が支払われた。受け取ったユーザーは合計3973人で、このうち1000万円以上が3人、500~999万円が4人、100万円~499万円が56人いたという。
ニコニコ奨励金で収入1000万円超のケースも 現代の絵師が生計を立てるには――佐藤秀峰さんや岸田メルさんが語る - ねとらぼ
2011年12月~2014年2月(2年3カ月)
クリエイター奨励プログラム スタートから2年3カ月が経ち、総支払額は8億3901万3368円で、100万円以上を受け取ったユーザーは171人。500~999万円は18人(直近12カ月では8人)、1000万円以上は11人(同3人)と、「これだけでご飯を食べていける程度」(伴さん)の収入を得る人も出てきている。
niconico「クリエイター奨励プログラム」、総支払額8億3000万円超 「これだけで食べていける人も」 (1/2) - ITmedia ニュース
2011年12月~2015年10月(3年11カ月)
約4年間の総支払い額は18億7013万6964円(10月時点)、登録作品数は42万6741点(9月時点)となっている。支払い額は今年2月からの8カ月だけで約5億円増加しており、今後も増額のスピードは加速していく見込みという。
niconico「クリエイター奨励プログラム」総支払い額は18億7000万円超 全動画対象の年末「大抽選会」で最大20万円“押し付け” (1/2) - ITmedia ニュース
ニコニコ動画の再生数あたりの収益
ニコニコ動画では公式に再生数あたりの収益額が公表されており、2011年12月~2014年2月(2年3カ月)の間では
2月における1再生あたりの支払額は0.388円となった。 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1403/31/news114.html
ユーチューブにおける再生回数あたりの広告収入は0.1円程度なので、それよりも平均的には高いと言えるだろう。近年支払い額が増加していることからも、現在は0.4円程度まで収益率は高まっているかもしれない。
ただ、この再生回数辺りの収入で優劣の判断をしない方が良い。ニコニコ動画の特徴としては、アニメやそれに関連した作品が多く、再生回数もこういったジャンルが伸びやすくなっている。
また、訪問者数はユーチューブに比べると圧倒的に少ない。再生回数あたりの広告収入が高くとも、再生回数自体が伸びなければ意味が無いだろう。
動画で稼ぐ方法
動画で稼ぐことを考えた場合、動画配信と動画投稿といった形がある。現在の日本では、動画配信ならYouTube Live、ニコニコ生放送、動画投稿ならユーチューブがメジャーになる。10代から20代前半ではツイキャスの人気も高い。
動画配信、ニコニコ生放送での稼ぎ方
人気動画配信者の中にはプロとして、それだけで生活している人も出て来ている。
ニコニコ生放送では「ユーザーチャンネル」といった形で有料の放送チャンネルをサイト内に作る事が出来る。月額料金をユーザーからもらうことによって、配信者が収入を得る仕組みである。
人気生主である暗黒放送の横山緑氏はここからの収入で月40万円程度(会員数500人程度)、NER氏も数十万円得ていると考えられる(2016年1月現在)。他にも、彼らはTシャツやパーカー、ステッカーを販売している。
ニコ生では数々の伝説を作り有名となった元AV男優の横山緑氏。素顔は晒さず、マスク姿で配信している。
チャンネルからの収入や物販の他、ニコ生主によっては、乞食行為と呼ばれるお金を振り込んでもらったり、Amazonのほしい物リストで商品を送ってもらったりして生活している人もいる。
街中でドローンを飛ばそうとして捕まったドローン少年「ノエル氏」もリスナーから多額の資金援助を受けていたことがのちに問題となった。
生主は訪問者の殆どがファンを含めたリピーターとなる。一部では恋愛感情を含め熱狂的なファンが生まれることもある。ここから一人当たりの収益がブログ等も含め、他の媒体とは比べ物にならないぐらい高くなることもあるのだ。
動画投稿での稼ぎ方
配信は基本的に一箇所での放送となるが、動画投稿では投稿場所も限定されない。例えば、ニコニコ動画もユーチューブも権利者であれば両方へ投稿する事が認められている。
ニコニコ動画
オリジナル作品でなくても、クリエイター奨励プログラムに登録することはできますか?
以下の条件に当てはまっていれば、クリエイター奨励プログラムに登録できます。
・奨励プログラムに登録しようとしている作品が、第三者の権利を侵害していないこと
・コンテンツツリーにおいて、元となった親作品を正しく設定していること
・niconico利用規約、およびクリエイター奨励プログラムの参加規約を熟読し、内容について同意すること第三者の権利物を使っている場合でも、権利者が許諾をしていれば、クリエイター奨励プログラムに参加する資格があります。
ユーチューブ
非独占的な契約から得られる柔軟性 - YouTube はパートナーのコンテンツのアップロード先や配信先を制限しません。パートナーはコンテンツを YouTube で収益化することも、別の場所で収益化することもできます。
※規約は今後変更される可能性もありますので、利用時にはご自身でもご確認下さい。
ニコニコ動画は再生回数あたりの収益が高いとはいえ、抱えるユーザー数を考えるとユーチューブも外すことが出来ない。この場合も手間はかかるかもしれないが、ニコニコ動画、ユーチューブ両方へアップロードすれば良いだろう。
ちなみに、動画配信者は配信した動画を動画投稿サイトへ投稿することでも収入を上げる事が出来る。上の横山緑氏の動画も動画投稿者が親作品として横山緑氏を指名しているため、スコアが入る。このスコアは現金への換金も可能なため、横山緑氏の場合、ユーザーチャンネル、Tシャツやパーカー等の物販、動画投稿の3つの収入源を少なくとも持っているのだ。
コンテンツメーカーとして人気者になれば、それなりの収入を得ることが出来るだろう。横山緑氏も副収入を含めれば月100万円以上の売上を得ている可能性が高い。
ニコニコ動画やニコニコ生放送、YouTubeは自分もテレビ以上に良く視聴するメディアとなった。こうした個人メディアでしか出来ない企画もあり、テレビから多くのトラフィックを奪っていく傾向は今後も続くのは目に見えてわかるだろう。
ネット広告は広告市場の停滞により、今後成長が止まるのは確実視されている。ただ、エンターテイメントにかんする分野は、産業の効率化が進めば進むほど資金が流れる分野だ。
活字で稼いでいる人達も、動画配信からの動画投稿といった「動画」でいかにして稼ぐかを考える時期にあるかもしれない。
動画の投稿ではなく、ニコ生など動画配信からの収入で、長期的に生計を立てる方法については下記記事も必読である。