世界を沸かせた名勝負から1カ月足らずで「モンスター」が早くも次のターゲットを定めた。ボクシングのWBA・IBF統一バンタム級王者・井上尚弥(26)=大橋=が2日、東京・後楽園ホールでいとこ浩樹(27)=大橋=が出場したWBOアジアパシフィック・スーパーライト級王座統一戦を観戦。浩樹の勝利を見届けると取材に応じ、次戦の目標をWBOバンタム級王者ジョンリール・カシメロ(30)=フィリピン=にしたいと表明した。
タヒチでのリフレッシュ休暇で少し日焼けした井上尚弥が、もう次戦に燃えていた。ターゲットはWBO王者カシメロ。日本時間1日、尚弥との対戦をアピールしてきた前同級正規王者テテ(南アフリカ)を3回TKOに沈めた選手だ。
「今一番やりたい相手はカシメロ。(所属ジムの大橋秀行)会長にもお願いしました」
日本時間1日の試合内容は、ショートの右を思い切り効かせる鮮烈なものだった。「試合結果は予想していた。フィリピン独特の野獣感がある。テテより興味深い相手です」と、尚弥は目を輝かせた。
11月7日のリング上では直前に弟・拓真に判定勝ちしたWBC同級王者ウバーリ(仏)とやりたいと話していた。だが、この日は「それは拓真が。WBC王者が変わっても拓真が行けばいい」とトーンダウン。「自分で借りを返したい」としていた弟の気持ちを尊重、目標を切り替えた。
大橋会長もすでに動いている。1日までの米国ラスベガスに滞在中に尚弥から「カシメロとやる選択肢はあるでしょうか」との連絡を受け、すぐ新たに契約した世界的プロモート会社トップランクに打診。同社も前向きで「現時点での第1ターゲットはカシメロになった」と断言した。
日程や場所は未定。前戦で負った右眼窩底骨折の回復具合次第となる。ただ本人は「アメリカで春」ときっぱり。3団体統一戦を目標に、尚弥がもうギアを切り替えはじめた。