誰にも会いたくないときの10の対処法

誰にも会いたくないときの10の対処法

誰にも会いたくないときの10の対処法

今の仕事に就いて数年が経ち、たいていの業務はひとりでこなせるようになった。

新人や後輩の面倒を見るようなったり、時には責任が伴う重要な案件を任されたりすることもあったり、まさに脂の乗った状態でがんばって毎日を過ごしていた。

なのに、なぜかある日突然モチベーションがダウンして、何もかもやる気が起きなくなってしまって……。

そんな経験がある人は少なからずいると思います。

会社に行くのもおっくうで、家のことも何もする気になれず、誰にも会いたくないとすら思ってしまう無気力状態。

実は、一生懸命がんばっている人ほど、こういう状態に陥る危険性が高いのです。

いったいどうしてこういうことが起こるのでしょうか?

もしそうなってしまったら、どうすれば回復できるのでしょうか?

今回は、心理カウンセラー・笹氣健治が、急に無気力になって誰にも会いたくないと思ってしまったときの対処法をご紹介します。

■人に会いたくないと思う私って変?

いろいろな仕事を任されるようになると、やりがいが増す半面、ストレスを感じる機会も多くなっていきます。

すると、ネガティブな感情を頻繁に生じるようになり、心身が疲弊して精神的ダメージが蓄積していきます。

そんな中でも無理してがんばり続けていると、誰にも会いたくなくなるほどの無気力状態に陥ってしまうことはあり得ることなので、あなたが変なのではありません。

生きていればいろんな出来事があります。

仕事もプライベートもうまくいって気力が充実しているときもあれば、思い通りにうまくいかないことが続いてふさぎ込むときもあるでしょう。

普通は、モチベーションがダウンしたとしても、時間が経てば自然にまた元のやる気のある状態に戻ります。

私たち人間に備わっている自然治癒力のおかげです。

ところがまれに、なかなか元に戻らないときがあります。

自然治癒力でも回復に時間がかかるほど精神的に大きなダメージを抱えているときです。

大きなダメージは、非常にショッキングな出来事によって急激に受ける場合と、日々のつらい出来事が積もり積もってもたらされる場合があります。

特に後者は、自分では「まだまだ大丈夫、がんばれる」と思っていたのに、実際には限界ギリギリの状態になっていて、張りつめていた糸が最後のダメ押しによってプツンと切れるように、ある日突然やってきます。

そうなってしまうと、やる気がまったく起きなくなり、「会社にも行きたくない」「誰にも会いたくない」「何もかも面倒くさい」という気分になります。

これは、脳が自分の体を守るために活動の継続を強制終了したのだと考えられます。

「もうこれ以上は無理だから、いったんがんばるのはやめなさい」と脳が判断したのです。

いわゆる“燃え尽き”と呼ばれる状態であり、重いときには回復に数日から数カ月を要する場合もあります。

そこまで重症でなくても、やらなきゃいけないことがあるのになぜかやる気が起きないと思う日が定期的にあるとしたら、注意が必要です。

燃え尽き予備軍と考えられるからです。

燃え尽きやすい人は、有能で、責任感が強く、がんばり屋な方だといわれています。

そういう人ほど自分の限界ギリギリまでついがんばり続けてしまうので、心身の疲弊によるダメージが蓄積しやすいのです。

がんばりすぎてつぶれてしまっては元も子もありません。

適度にがんばるよう調整することも必要になってきます。

■誰にも会いたくないと思ってしまう原因とは?

「誰にも会いたくない」「何もかもやる気になれない」……。

そんな無気力状態になってしまうのには、さまざまな理由があります。

どういうときに人に会いたくない無気力状態になってしまうのか、代表的な5つの原因について説明しましょう。

◇(1)評価が得られていない

一生懸命仕事をしているのに、それに見合った報酬をもらっていない。

こんなにがんばっているのに、努力や結果をちっとも認めてもらえない。

このように、自分の努力が評価されず、がんばりが認められない状況が続くと、「なんかもうどうでもよくなってきちゃった……」と情熱が失せてしまって、気力が保てなくなっていきます。

◇(2)批判的な人がいる

仕事のあら探しをしてくる上司。何かとクレームをつけてくる顧客。

相談すると「だからあなたはダメなのよ」とひとこと否定的なコメントを付け加える家族や友人。

このような批判的な言葉を発する人に常に囲まれていると、次第に「私はダメな人間だ」と考えるようになってしまい、「私には無理なんじゃないだろうか」と無気力になっていきます。

批判され続けることがつらく、人を避けるようになるのです。

◇(3)終わりのない仕事

一向に終わらない作業。途切れない客の列。

このように終わりが見えない仕事をしているときは、やる気を維持するのが困難になります。

やってもやっても終わらない。今日もまた同じ作業の繰り返し。

こんな状況では達成感や充実感を得られることがないので、やる気が維持できなくなって当然。

やがて、「なんか、疲れちゃったな……」と無力感を感じ、自分の殻に閉じこもりがちになります。

◇(4)何をやってもうまくいかない

仕事でミスが続いた。プライベートでも人間関係で悩んでいる。

やることなすことうまくいかない。いいことなんて何もない。

この暗く長いトンネルに出口はあるのだろうか……?

このように、将来に明るい希望を持てなくなるような状態が続くと、どうしてもモチベーションを保ち続けるのは難しくなります。

「もう無理。これ以上はがんばれない」と自暴自棄になって、やる気を保てなくなります。

そして、人と会う気力も持てなくなるのです。

◇(5)仕事や人生の目的が見出せない

私たちは自分の仕事や人生に何らかの意味を見出そうとするものです。

自分がやっていることの重要性を感じることで、モチベーションがわいてくるのです。

ところが、仕事に慣れて当たり前のようにこなせるようになってくると、ふと「私がやっている仕事は、社会で本当に必要とされていることなんだろうか?」「私なんていてもいなくても同じなんじゃないだろうか?」といったような疑問が生じることがあります。

その疑問が頭を離れなくなると、すべてがむなしく感じてしまうようになり、何もやる気になれなくなってしまうため、人と会うことにも意味を見出せません。

■誰にも会いたくないときの対処法

人と会う気すら起きない状態というのは、「休みなさい」という脳からのサインです。

そのため、しっかり休養をとることが大切です。

いったん休むことで、自然治癒力が活性化して回復が早まります。

そうやって少しずつやる気が出てきたら、簡単な行動からはじめて体を慣らしていきましょう。

ここでは、誰とも会いたくないほど無気力になってしまったときの対処法を10個ご紹介します。

これならできそうだと思うことを、無理せずに取り組んでみてください。

◇(1)毎日しっかり寝る

がんばりすぎていて睡眠時間が足りていない可能性がありますので、普段よりも早く寝て、しっかり睡眠をとるようにしましょう。

ここで注意したいのが、就寝1時間前はスマホを見ないこと。

画面の明るさで目がさえてしまって眠りが浅くなり、疲労が解消されにくくなります。

◇(2)好きなものを食べる

がんばっているのに誰も評価してくれないなら、自分で自分にご褒美をあげましょう。

たとえば、「自分の大好物を食べに行く」というのもいい方法です。

一回や二回くらいなら少しくらい奮発したりして、自分で自分を喜ばせてあげてください。

◇(3)マッサージを受ける

がんばりすぎて体を酷使しているために、肩や腰がこっていたり足がパンパンになっていたりします。

ゆっくりマッサージを受けてみるのも自分へのご褒美としておすすめです。

体がほぐれると、気持ちもリラックスできて身も心も軽くなります。

◇(4)温泉に行く

ゆっくり湯船につかることで血流がよくなり、全身の筋肉が弛緩して体がリラックスします。

自宅のお風呂でもいいですが、開放感のある広い温泉なら、さらにリフレッシュ効果が得られるでしょう。

◇(5)散歩をする

考えすぎることが無力感につながっている場合が多いので、考えるのはやめて体を動かしましょう。

疲労がたまっているはずですから、激しい運動よりも軽めの運動のほうがおすすめです。

30分から1時間くらい、何も考えずにボーっと散歩をするのがおすすめです。

◇(6)ストレッチ運動をする

散歩ができないときは、軽めの運動として室内でできるストレッチ運動がいいでしょう。

布団やベッドに体を楽にして寝そべって、伸びをしたり、腰をひねったり、膝を抱えたりといった動作をゆっくり行うことで、筋肉がほぐれて体もスッキリします。

◇(7)音楽を聞く

気分転換のために音楽を聞くこともリラックスするには効果的です。

ノリのいい曲がいいか、スローで落ち着ける曲がいいか、いろいろ聞いてみて、今の自分にとって心地よいと思える曲を選ぶといいでしょう。

◇(8)瞑想をする

簡単な瞑想のやり方は、目を閉じてゆっくり深呼吸することです。

目をつぶるといろいろな音が耳に届きます。いろいろな感覚がわき上がってくると思いますが、ひとつひとつにじっくり意識を向けてください。

深呼吸は、4秒間かけてお腹がいっぱいに膨れるまでゆっくり息を吸い込み、少し息を止めたら、ゆっくり8秒かけて口から息を吐き出すようにします。

まずはこれを5分間行い、毎日やって慣れてきたら、10分、15分とのばしていきます。

瞑想は自分自身の身体感覚に気づくことが目的です。

気づくことによって心が静かに安定していきます。

◇(9)おしゃれをする

いつもよりていねいにメイクをしたり、アクセサリーを変えてみたりするというように、おしゃれすることに意識を向けてみるのも気分転換にはいいかもしれません。

美容院に行って髪型を変える、普段よりも明るめの服を買ってみるなど、形から入るのもいいでしょう。

自分にできる小さなことから変化をつけていくことで、無気力状態も徐々に改善していきます。

◇(10)ほしいもの・やりたいことリストをつくる

いつかお金がたまったら買いたいと思うものは何ですか?

いつか余裕ができたらやってみたいことは何ですか?

あなたがほしいもの、やってみたいことを自由に考えてリストにしてみてください。

現実にできるかどうは別として、「これができたら楽しいだろうな」とワクワクするようなことをできるだけたくさん考えましょう。

楽しいことを考えるのは精神的なエネルギー補充になります。

それを目標にしてがんばってみようと思えたら素敵ですね。

■誰にも会いたくなくなったら、心のエネルギー補充をしましょう

「誰にも会いたくない」というのはよほどの状態ですが、現代社会に生きていれば、どうしてもストレスがたまっていきますので、それをうまく処理できないと、いつか燃え尽きてしまうことになりかねません。

「ああ、なんだか最近疲れているな~」とむなしさを感じたり、わけもなく涙がこぼれたりするようなことがあったら、それは体からのSOS。

がんばるのはいったん休んで、しっかりとリフレッシュすることが大切です。

心身が疲弊してくると考えもネガティブになってきてよくありません。

スマホだって充電しないで使い続けていたら、やがて動かなくなるのと同じ。

がんばった分と同じだけ自分自身にエネルギー補給するのを忘れずに、仕事もプライベートも楽しんで日々を過ごしてほしいと思います。

(笹氣健治)

※画像はイメージです

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