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20時間前

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genre : ニュース, 社会

「ネットリンチする人が1人減ったので、後悔はしていない」

 また、犯行時のことについて、「1対1の殴り合いというか殺し合いを挑みにいったが、一方的にやってしまった」「私が否定している『いじめ』をやってしまった」と述べ、「反省」して交番に出頭したと説明した。その一方で、「ネットリンチする人が1人減ったので、後悔はしていない」とも語り、他にも「(自分を)リンチしている人間はだいたいターゲットで、殺す優先順位も付けていた」と吐露した。

 15日の論告弁論公判で、検察側は、松本被告が抱える「自閉スペクトラム症」について「この症状によるコミュニケーション障害や視野の狭さが、犯行動機に影響を与えた」としつつも、周到な準備に基づく計画的な犯行だったことや、現場から逃走する際に血に染まった上着などを捨てていたことなどから、完全責任能力があったと指摘し、懲役20年を求刑した。

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 20日の判決で、岡崎裁判長は「一方的に強い殺意を抱いて執拗に攻撃した。悪質で身勝手だ」として完全責任能力を認定し、懲役18年の実刑を言い渡した。岡本さんの妻は「被告が、また何年かしたら社会に戻ってくると思うと恐怖しかない。夫を失って以来、私たち遺族はずっと終わらない地獄の中で暮らしている。そこに、さらに別の恐怖が加わることが私たちの心を圧迫する。夫が願った自由なインターネットの世界は消えてしまう。被告は反省もしていないし、おそらく今後も反省や更生をすることもない」などとするコメントを発表した。遺族が負った傷はあまりにも深い。

何気ない投稿が殺人者を生むかもしれない

 今回の事件では一つの側面として、被害者のネットでの何気ない投稿が、取り返しの付かない悲劇の引き金となった。ネット空間は、匿名の応酬が可能な分、発言が過激化する。その中でトラブルが起きても、相手が匿名のままなら、双方が接触することはない。しかし、一方の実名や行動が、相手に知られてしまった場合、ステルス的に狙われるリスクをはらむ。だからこそ、投稿者は肝に銘じなければならない。あなたの何気ない投稿が、殺人者を生むかもしれないということを。

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