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【社会】

小5、同級生に集団たかり 名古屋 10~20万被害、いじめ認定

 名古屋市の市立小学校に通う五年の男児が複数の同級生から要求され、自宅から多額の現金を持ち出していたことが、市教育委員会への取材で分かった。現金は計約十万~二十万円に上り、市教委は二日、要求行為をいじめと判断、いじめ防止対策推進法で規定している「重大事態」に認定した。

 市教委によると、男児は今年八~十月、同級生六人から「お金ちょうだい」「持って来ないとのけ者にする」などと言われ、自宅にあった五百円玉用の貯金箱から十数回にわたり現金を持ち出した。

 現金は持ち出した男児と同級生が商業施設内のフードコートで飲食したり、ゲームセンターで遊んだりするなどして使っていた。

 十月八日に男児の保護者が「貯金箱の現金がなくなっている。誰かにたかられているのでは」と学校に連絡するとともに、十一日には愛知県警に相談した。

 学校は同日、重大事態の可能性があるとして市教委に報告。県警はその後、同級生と保護者を厳重注意した。同級生は男児に謝罪したが、男児の保護者は受け入れていないという。

 河村たかし市長は十二月二日の記者会見で「(市として)子どもを日本一応援しようというのに残念だ」と述べ、詳しい経緯を調べる考えを示した。

 今後の対応について「小学校に対して常勤のスクールカウンセラー配置を進める」と話した。

◆教育評論家・尾木さん「お金の大切さ、家庭で教えて」

 教育評論家の尾木直樹さんは、子どもによる家庭からの金銭持ち出しは、いじめを受けている恐れがあるとし、被害、加害の両面から「家庭で子どもにお金の大切さを教えることが、未然防止の点で大切だ」と訴えた。

 昨今はプリペイドカードやキャッシュレス決済が普及し、現金を使う機会が少なくなっているため「子どもにとってお金の大切さが分かりづらくなっていることも問題」と指摘。「家族で同じ貯金箱を使うことなどで、お金が労働の対価で大切であることを伝える機会をつくることができる」などとアドバイスする。

 

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