深海――底辺作家が住む世界
小説家になろう深海世界――。
ここには私を含め、沢山のお魚さんたちが棲んでいます。
お魚さんたちはいつも水圧にいじめられ――。
呼吸困難で口をパクパクさせながら、見えない海面から餌が落ちてくるのを、ひたすら待っています。
まずはこの深海――いわゆる底辺作者たちが住む世界がどういうものなのか、ダイジェスト方式で説明しましょう。
「おもちろーい!」
読者さんが船の上から『評価ポイント』という名の餌をぽいぽい投げます。
「ポイント&ブクマおいちいいいいいっ!」
水面にいる“でかい魚”に、ほとんどの餌を喰われます。
「もらったぁぁぁっ! ザプーンッ!」
さらに中間層にいる魚に餌を取られ、
「「え……?」」
深海魚(Me & You!)には、まったく餌が届きません。
はい、餌タイムは終了です。――本日もおつかれさまでした。
「「……」」
なんというか……番付がすべての『相撲の縦社会』のような世界です。
横綱が『ちゃんこ鍋』食べて、次に大関がむしゃむしゃと食べて……(省略)
最後にあなたと私が、鍋にこびりついたものを食べるみたいな場所です。
大抵が遅かれ早かれ、お腹が空いて動けなくなります。
執筆活動する為のエネルギーが足りなければ、作品を生み出すための『原動力』が生まれなくなるのです。
つまりはガソリンがなくなった車と同じです。
「競争社会だからしょうがないね」
その言葉で片付けるのは、非常に簡単です。
ランキング形式を採用しているこのサイトには、深海にはポイントが流れてこない……という法則があります。
すなわち、お魚さんたちによる『餌』の奪い合いです。
「ブックマークがほしい……」
「評価がほちい……」
「感想がほしい……」
他者よりも一歩先に……。
二ポイントでも多くの餌を……。
苦しめば苦しむほど、こんなことしか考えられなくなります。
「もう駄目だ俺は人間をやめるぞッ! ――やめた」
「あたちもやめるーッ! ――もう何も怖くない」
「落ち着けおまえら! ――感想欲しいから僕もやーめたッ!」
そして――。
「コーホーッ……」
フォースの暗黒面に堕ちたアナ○ン・ス○イウォーカーのように、ダークサイド――否、ダウンロードサイトへと向かいます。
さあ、準備はできましたかアナ○ンさん?
それでは、あなたに真のフォースの使い方を教えましょう。
評価ポイントやブックマークを増やす方法……実に簡単です。
有名なのは下記のふたつになります。
1.複数アカウントを使って自作を評価しポイントを水増しをする。
2.相互クラスタの仲間入りをし、互いに評価しあう。
これが小説家になろうを攻略するための、正攻法では絶対に勝てない方法です。
大体50Pt取れば、ジャンル別で日刊一位は取れるのですが……常にこの方たちがランキングにドヤ顔で居座っています。
しかも占拠するだけでは飽き足らず――。
気に入らない相手や、群れを形成していない弱い人をみつけると、ありとあらゆる手段を使って
どうして――なぜそこまでするのか。
もちろん評価とブックマークを増やし、やがては書籍化したいからです。
邪魔なライバルを蹴落とし、たとえBANされる危険があろうとも、光も当たらない深海で過ごすよりは……つまらない誇りなど捨てて、チャンスを手に入れたいと考えているからです。
これはそんな暗黒面へと堕ちた、ひとりの作者の物語……。