「生んだのは夫の子ではない」と最後まで隠し通すべきだったのか? 電話口で泣く赤子の声が悲しい「テレフォン人生相談」先週のハイライト (1/2)
他人の子を身ごもったまま結婚した相談者。
「テレフォン人生相談」(ニッポン放送・月~金曜11時~ 配信)先週のハイライト。今回ピックアップしたのは11月25日(月)放送の加藤諦三パーソナリティー回。6カ月の子どもを抱えた女性が、夫から離婚を切り出されていると言うが……。
「夫の子ではない」と夫の両親に明かすべきか
相談者は31歳女性。夫40歳。6カ月の子どもがいる。
1カ月ほど前に夫から「離婚したい」と言い出された相談者。その理由は、6カ月になる子どもを夫の両親に会わせるのを拒んでいたため。
「ご両親とはうまくいってなかったんですか?」
「いえ、そうではなく、その子どもがですね、夫との子どもではなくて……」
夫と結婚したのは約1年前。その時点で相談者は別の男の子どもを妊娠しており、夫は全て知った上で結婚したのだという。
「父親とは理由があって結婚できなかったので、シングルマザーとして産む予定でいたんですね。そのむねを説明して、承諾をした上で結婚したという形です」
夫を騙して結婚したわけじゃなくて本当によかった! しかし、全てを知った上で結婚したのなら、今さら離婚話にはならなそうだが……。
実は、夫の両親にはこの事情を説明しておらず、「夫の実子」ということで通すつもりでいたのだ。
「私の方がその事実をずっと隠しているのはどうなんだろうっていう疑問を持ってしまいまして。本当のことをご両親に説明をして、その上で会わせた方がいいのではないかっていうふうに夫に言ったんですけれども」
しかし夫は「言わない方がいい」という意見。色々と揉めたものの、相談者の方が押し切って、夫から両親に本当のことを伝えてもらったという。その結果、両親は「別れた方がいい」と主張し、夫も同意しているという。
「(夫は)知ってて結婚してるわけですよね?」
「そうですね、ただ私が(真実を伝えない状態で)ご両親に会わせるのを拒んだので、それは当初の話と違うということになって」
金銭的援助をしてもらえるか
結婚前にも「両親に真実を伝えるかどうか」という話は出ており、その段階では相談者も「伝えない」という夫の意見を尊重していたが、途中で気が変わってしまったようなのだ。
どうして子どもの実父と結婚しなかったのか? 現在の夫はどんな経緯で他人の子どもを身ごもっている相談者と結婚することになったのか? その辺の事情は明らかにされなかったが、ここまでの話を聞くとどうしても夫に同情してしまう。
夫もいろいろなことを飲み込んで、他人の子どもを実子として受け入れる覚悟をしたのだろう。両親にまでは余計な心配をかけたくないという気持ちはよく分かる。
「離婚するに当たって、シングルマザーになるわけなので、保育園に預けたり、私の仕事が決まるまでの生活費というのがどうしても必要なので、何カ月間かの生活費をちょっといただかないと困るというふうに夫に言ったんですが……」
当然、夫からは「離婚後の面倒は見る必要もないし、見きれない」と突っぱねられた。何らかの金銭的援助をしてもらえるかというのが相談だ。
「子どもも騙す」と覚悟したなら一貫しろ!
この日のアドバイザーは弁護士の中川潤。普段、比較的マイルドにアドバイスをしている印象があるが、この日はかなり辛口アドバイスだった。
「婚姻費用だとか生活費だとかそういう問題は、もう離婚で赤の他人になりますから、そういう概念が出てくる余地はなくて。離婚にあたっての経済的な、なにがしかの支払いの問題というのは財産分与と慰謝料。これしかないんですよ」
相談者のケースでは、もちろん慰謝料をもらう立場にはないし、婚姻期間が短いため財産分与も期待できない。
「あの、扶養的財産分与っていうのも適用にはならないんですか?」
「ありますよ、ありますけども、あまりにもちょっと短期間ですからね」
扶養的財産分与とは、離婚するに当たって夫婦一方の経済力が弱い場合、収入のある方が一定期間、生活の補助となるお金を支払うこと。ただしこれは法的に規定があるわけではなく、夫婦の話し合いによって定められるもの。この状況で夫が扶養的財産分与に合意してくれるとは考えづらい。
ここまで法律的な面からアドバイスをしていた中川だが、一気に感情的な方向に舵を切る。
「ハッキリ言ってさ、どうして一貫してね、ご主人が言ったようにさ、実子として届け出たんだったら、『ふたりの子だ』っていうことで一貫しようとなさらなかったの?」
「嘘をつくのはよくないっていう風に、最終的に思ってしまったので……」
「だって実子として届けた時点で、踏ん切りつけたんでしょうに『子どもも一生騙す』と。その覚悟で届けたんでしょ?」
「一貫性がないのは……そうですね、指摘されるとそうなんですが……」
相談者は黙り込んでしまった。
正直に真実を明かされたところで、夫の両親が喜ぶ要素はゼロ。「嘘をつくのはよくない」というのは相談者が自分の気持ちを軽くするための理屈でしかないだろう。
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