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【私説・論説室から】

招待名簿の廃棄に憤る

 「桜を見る会」に国民が怒っている。首相が地元後援会の人々を特別に招待したら「選挙運動と同じだ」と映る。何しろ税金を使う公的行事だからだ。だが、誰を招いたのか。招待客名簿は内閣府が廃棄していた。

 怪しいのは野党議員が「委員会質問を念頭に置いた勉強用」として内閣府に資料要求した当日、しかも直後に廃棄していることだ。五月の出来事だった。調査妨害とも質問封じとも誰もが感じるであろう。

 名簿の保存期間は「一年未満」だというが、その根拠を問われると、十月末に改定された規則だという。はあ? この時系列の矛盾はいったい何か。しかも、「政治家枠」などの名簿情報のみ、しっかりデータ丸ごと廃棄するとは。

 モリカケ問題でも自衛隊の日報問題でも、公文書の扱いはでたらめ。何か怪しいことが起こると、この政権ではとたんに文書が消える。廃棄や改ざん…。開示されても黒く塗りつぶされた「ノリ弁」だったり…。せっせと役所が証拠隠滅している感じだ。

 今回も「セキュリティー」だの「個人情報」だの情けない言い訳が続く。今は超高機能のシュレッダーが注目を集める。隠滅装置として…。共同通信の世論調査では約70%の国民が首相発言を「信頼できない」と答えた。怪しいどころか、ウソまみれだと見抜いている証しだ。 (桐山桂一)

 

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