黒崎の独り言

ご機嫌麗しゅうございます。黒崎でございます。

今回は、お嬢様に宛てた日誌ではございません。

私の独り言をつらつらと書き綴ったものにございます。

お見苦しいところもあるかもしれませんので、お読みにならなくてもようございます。

申し訳ありません。

私の勝手をお許しください。



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「二人で一緒に、立派な使用人になれるよう頑張ろうね」


あれからもう2年半以上の時が経ちましたか。


私はあの時君と交わした言葉の通りになれたでしょうか。


もちろん自信はありますよ。


お嬢様にお仕えする為に、たくさんのことを学び、経験してきましたからね。


ですが、君を見ていると自信が揺らぐのです。


君は私など到底及ばない程に、立派な使用人でしたから。


でも、君はずっと隣にいてくれた。


まぁ隣だと思ってたのは君だけですけどね。


私は、君がいなくては一人で立てないのだから。


私のずっとずっと先にいて、私の手を引いていてくれたのです、


君は全然自覚していなかったみたいだけどね。


君の唯一の欠点は、鈍感なところかな。


それが良いところでもあるのですが。










私と共に過ごした2年半、君は楽しかったですか?


私は、君とは運命だと思った。


時を同じくしてお屋敷に来て、こうも気の合う仲間ができるなんて思っていなかった。


君は合わせてくれていただけかもしれないけどね。


私にとっては、生まれて初めての存在が君なのです。


お屋敷に来て2年経って、君と初めてカクテルや紅茶をお屋敷で振る舞える日が来た時、


私は本当に幸せでした。


君と私が一緒に作り上げたものが、お嬢様の笑顔にかわったのですよ。


これ以上の幸せなんてないと思ったよ。


そしてこれからも君とずっと一緒にいたいと、そう強く思ったものです。


一緒に笑って、一緒に学んで、一緒に給仕して、


私は、私は本当に楽しかった。


でも、君はきっと楽しさよりも苦労の方が多かったはず。


私は手のかかる同僚だったと思います。


困ったらすぐ君に頼りますし、


面倒事は全部君がやってくれましたし、


すぐ疲れたり落ち込んだりする私を、いつも励ましてくれました。


君にはたくさん、たくさん返さなくっちゃあならないんです。


君からもらった両手から溢れるほどの愛情と友情は、


私が使用人として生きていく糧となった。


君には返し切れないほどの恩があるのです。


でも「行かないで」なんて言える権利も勇気もないから、


一人で立たなくちゃあならない。


こんなにも目が霞んで、前もはっきり見えないのに。










でも安心してください。


必ず返すから。


君はお嬢様の側にいてあげるべき使用人です。


そしてもっともっとお嬢様を笑顔にして差し上げられる人です。


でも君は行ってしまう。


だから、


私が君の代わりになろう。


君の分まで、お嬢様を笑顔にして差し上げよう。


私では君の代わりになんてなれないかもしれない。


それでもやるんです。


それが、私ができる君への恩返し。


だから安心していってらっしゃい。


君のお嬢様を想う心は、私が大切に預かるから。














君はいつまでも、僕の光だよ

消えやしないさ










お疲れ様、杉村。





Filed under: 黒崎 — 21:00